第5話 鑑定してみようにゃん
「もう勝手な行動はしないでほしいにゃん! それが採取と言う行動にゃん!」
「あら? お花を摘む事なの?」
「そうだにゃん!」
と、クロは深呼吸する。
「とにかく、行動にはスタミナを使うから気を付けてほしいんだ。僕の眷属だから移動にはスタミナを使わないけど、動作では消費するから。その摘む行為もスタミナが減るから」
「あらそうなの。わかったわ」
「メデルは、採取のスキルを持ってるから発動させると、発動している間はスタミナを消費しないんだ。ただし、スキルを使う時にスタミナを消費する。普通は、レベル1だと1消費する」
「なるほどね。では発動させればいいのね」
「待つにゃん!」
すぐに発動させようとするメデルを慌ててクロは止めた。
「メデルの場合、同じ物を採取していくなら鞄がいっぱいになる事はない。だから間違わない様に、やり方を教えるからその通りにやって」
「間違えようがないように思えるけど?」
「今回だけじゃなく、これからも使える方法だからね。メデルは、鑑定も持っているからそれを今摘んだマの花にしてみて。因みに鑑定するのにもスタミナを消費するからむやみやたらに使わないでよ」
「そう。わかったわ。で、鑑定はどうやるの?」
「この世界では、力を込めて言えば発動するよ。スキルは直ぐに発動して直後に使えるけど、魔法にはクールタイムがあって連続では使えない。まあメデルは魔法を持ってないから今は関係ないけどね」
「なるほど。で、力を込めるとは?」
「そ、そこからなのにゃ? 使うと思って力を込めるんだよ」
「OK。鑑定!」
■■▽■
■◎マの花/植物
■そのまま食べるとMPが10回復し、稀に魔力もUPする。
■また、毒が含まれていて、そのまま食べると毒状態になる。
■通常は、調合して毒を除去して、MPポーションにする。
■◎MPポーションの材料
■◎ノーマル/重量1
■■△■
「へえ。凄いわ」
「わかった? 毒がある植物だから。で、一度鑑定した物は、採取のスキルの時にわかるようになるんだ。見た目が一緒でも間違える事はないって事。また逆でも同じ」
「逆って?」
「採取のスキルが発動している時に、鑑定を行って明らかになれば、同じ物がわかる様になるって事」
「へえ。便利ね」
「そうだよ。だから鑑定も付けたんだ」
珍しくクロがどや顔だ。
「偉い偉い」
「………」
メデルに頭を撫でられクロは、眉間にしわを寄せる。
「子供扱いしないでほしいにゃん!」
「ふふふ。では、採取もしてみるわね。採取」
目の前のマの花がほのかに光りを帯び、マの花と字が浮き出て見えメデルは驚いた。
「わあ。面白いわね」
「面白がってないで摘んでよ。レベル1は1分間しか時間がないよ。帯びている光が消えたら効果が消えたと思って。レベルが上がれば、効果時間も伸びて、採取スピードも上がるから」
「凄いわね~」
メデルは、マの花を摘んでは鞄へと入れて行く。
「ところでクロは、摘まないの?」
「僕は、採取のスキルを持ってないんだよ」
「あら私がスキルを使ってもダメなの?」
「あのね……。難しい話をしてもわからないだろうから説明は省くけど、出来ないの。まあ普通は、スタート時に取得してるプレイヤーが多いスキルだけどね」
「ふーん。あ、効果が切れたわ。これ掛け直せばいいの?」
「うん。自分で選んだクエストなんだし頑張って100個集めてね」
「えぇ。あ、これ何かしら? 鑑定」
「何してるにゃん! むやみやたらに使わないでって言ったにゃん!」
「あら一回ぐらいいいじゃない」
■■▽■
■◎ホワイトクロバー/植物
■マの花が群生する所に稀に咲いている。
■マの花の毒素を抜く為に調合時一緒に入れる材料。
■マの花の毒に侵された時の解毒としても使用できる。
■◎MPポーションの材料/解毒
■◎ノーマル/重量1
■■△■
「そ、それにゃ! よく見つけたにゃなのだ。マの花を1万本摘んで1本見つける確率にゃのに!」
――凄く興奮しているわね。にゃを連発しているわ。興奮すると『にゃ』って出て来て本当にかわいいわね~。
「それも摘んでおくといいにゃ!」
「ね、鑑定してよかったでしょ?」
「ま、今回は多めに見る……ふにゃ! 抱き着くにゃ~!」
突然メデルに抱きしめられ腕の中でクロが暴れるも逃れられない。
「うんもう。このツンデレさん」
「誰がツンデレだにゃ~!!」
お花畑がお似合いのほわんとした雰囲気が漂う二人。
――何言ってるじゃん! 背景は黒じゃにゃいか~!
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