第3話 僕の眷属はある意味最強かもしれないにゃん

 『………』


 言い訳を考え中。


 『そうだにゃん! 僕を連れて行くと好きな大陸を選べないにゃん!』


 「別に構わないわ」


 『だから、モンスターが強い所だから……』


 「え? そうなの? うーん。何か方法ないの?」


 『……う、にゃん』


 サポーターなので答えなくてはならない。


 『僕の眷属と言う事で、刻印を刻む事が出来るにゃん。ただしそれには10ポイント使うにゃん。しかも僕用のシナリオも発生するから大変……』


 「ビルダーになれない?」


 『それは、長い目で見れば可能ですが、かなり遠回りに……』


 「だったら構わないわ! クロちゃんの住む世界なんでしょう? という事は、猫ちゃんワールド!!」


 『にゃ!』


 ――ダメだにゃ。これ決定だにゃ。


 『わかったにゃ。でもこのままだとノーマルステータスになるけどいいですか?』


 「いいわよ別に」


 ――ですよね、にゃん……。


『では、最終確認になります。これがメデルのステータスです』


 ネーム:メデル

 HP:10

 MP:10

 攻撃力:1

 防御:10


 力:1

 体力:10

 魔力:10

 スタミナ:100

 素早さ:1(+10)


 魔法:―

 スキル:設計LV1/採取LV1/鑑定LV1

 耐性:毒


 装備:最初のリュック(種類:10)

 その他:クロの刻印(素早さ+10/毒耐性)


 『刻印の為、伐採を減らしました。変更ありませんか? ここから出るともう変更できません』


 「ありがとう。クロちゃん。OKよ」


 『さっきも言った様に、僕の眷属と言う事になるから僕専用のシナリオが発生して、それをこなしていかなくてはならないですが、大丈夫ですか?』


 「問題ないわ」


 『では、向こうでお待ちしてます……』


 ――はぁ……。大丈夫だろうか?


 こうしてメデルは、召喚される事になったのだった!



 「さあ、いでよ! 最強剣士!」


 ――うん? 剣士?


 パーッと眩しくなりそれがおさまると、メデルの目の前にはずらっとかわいい猫が並んでいた。しかも色とりどり。白や黒なんて当たり前。緑、赤、金に銀。服を着ている猫もいる。二本足で立ち、現実にはいない猫達だ。


 「何ここパラダイスだわ!」


 「クロよ。修行が足りんな。どう見ても剣士ではないだろう」


 「あはは。クロ。一応合格で卒業だけど働き口はないだろうな!」


 どうやらクロは、落ちこぼれ・・・・・という設定らしかった。


 「はぁ……最悪だ」


 「まあ、クロちゃん。剣士がよかったの? そんな事、言ってなかったじゃない」


 「……君は、黙ってろにゃん!」


 そう言うとため息をつき、とぼとぼと歩き出す。


 ――あら勝手に体が動いたわ。


 「君の行動は、僕に制限されている状態です。なので、勝手な行動はできませんから」


 「凄いわ! ここ、猫が住んでいる世界なのね!」


 「僕の話を聞いてよにゃん! ビルダーになりたいなら最終的に、僕をここの達に認めてもらうか、他の場所に行って成功を収めないと、家を建てる場所の確保は難しいから。いや、もう一つある。僕が死んじゃう事。そうしたらメデルは自由だ」


 「死んじゃうだなんて。クロちゃんと一緒にいたいから選んだのに意味がないじゃない。あなたを守るわよ!」


 「守るって……弱いのに。まあ、僕自身も強くなればメデルも強化されるけどね」


 「まあ、頼もしいわ!」


 「けど僕は、落ちこぼれだから。ただメデルは、ビルダーになりたいって事だから僕が落ちこぼれでも、問題はないと思う」


 「大丈夫よ。二人で力を合わせてビルダーを目指しましょう!」


 「……違うにゃん。そこは、僕を認めさせましょうだろ~にゃん!」


 「ふふふ。一緒一緒」


 ――全然違うにゃん!


 「とりあえず、登録しに行くよ」


 「登録?」


 「一応、メデルを召喚したから召喚師として登録出来るんだ。言うなれば、冒険者?」


 「え? 私ではなく、クロちゃんが冒険者なの?」


 「そうだよ。僕が立派になれば色々自由に動き回れる。そうすれば、君の夢も叶うかもしれないって事」


 ――それにしてもこのシナリオは、レアシナリオで殆ど知られていないのに。これでバレバレだよ。どう見てもこのメデルおばちゃんはプレイヤーだ!


 最初の設定段階で選ばないと発生しないシナリオなので、数名しか知らないのだ。しかも出会ってもNPCがプレイヤー風に設定されているので、知られていない。

 知ったところで、やり直さないとこのシナリオはプレイできないのだが。そういうわけで、NPCを体験出来るシナリオとなっております。


 だがメデルには、関係ないようだ。


 「猫パラダイス。お家はずっと後にならないと出来ないみたいだけど、これだけで癒されるわぁ~」


 「お願いだから変な事だけはしないでね!」


 「わかってるわよ、クロちゃん」


 こうして、クロの冒険が始まったのだった。


 ――嬉しくないにゃん!

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