第2話 最後の最後でダメだしにゃん

 『では、ビルダーを目指すステータス振りをしましょう。ビルダーになるのには最終的には、設計できなくてはいけません。このスキルをプレイ中に手に入れるのは大変ですので、ポイントは30使いますがこれを取得しておいた方がいいでしょう。ポイントは、100ありますので、残り70はプレイスタイルによって振り分けるといいでしょう』


 「なるほど。そういえば私、戦闘をしなくてもいのよね?」


 『え? しなくていいとは?』


 「だって、お家を建てたいだけだもの。悟によるとね、結構大変らしいのよ」


 『……全くモンスターがいない大陸は存在しません。お家を建てるにしても、モンスターから材料を取得します。材料を買う事もできて、お金を稼ぐ為にクエストをしますが、一番効率的なのは討伐になります』


 「という事は、討伐以外のクエストもあるのよね?」


 『はい。存在しますが、例えば採取ならスキルがないと効率的ではありません。ビルダーになるなら伐採や加工などのスキルも必要になり、欲張るとスキル貧乏になりますよ』


 「スキル貧乏?」


 『スキルばかり取得して始めると、ステータスがほぼノーマルで弱いって事です』


 「問題ないわよ。戦わないんだから!」


 ――話しが通じてないんだけど!


 『わかりました。では、戦闘を極力しない為のスキルを獲得しておきましょう。さっきも言ったように、採取が必要になります。またそれなら鑑定もあった方がいいでしょう。採取が10、鑑定が30ポイントを消費しますが、よろしいですか?』


 「うん。いいわ」


 『あと、ビルダーを目指すなら伐採も最初から持っていると、木を切る事が出来ます。ただし、この世界でも無限に物を持つ事が出来るわけではありません。鞄で容量を取得します。そうなると、ポイントが足りません』


 「足りないんだ」


 目の前に、リュックが現れた。それにファンタジー系の服や鎧なども出現する。


 『装備には、レベル制限があるもの存在しますが、ここで選ぶモノにはありません。いわゆる初期装備になります。但し鎧などには、体力制限がありそれ以上の数値でないと重くて装備出来ません』


 「なるほど。でも私、戦闘しないから装備はいらないわ」


 『ですが、その格好のままですよ? あと容姿はどうするのですか? 皆さん変えてますが』


 愛子基メデルは、うーんと唸ると頷いた。


 「このままでいいわ。だって、私のマイホームだもの」


 『そ、そうですか。ですがリュックだけは、選ばないといけません。リュックには重量でカウントするものと、種類でカウントするものがありますが、木材なども最終的に運ぶなら種類の方がいいでしょう』


 「うん? 木材まで入るリュックなの? 四次元ポケットみたいね。凄いわ」


 『選んで始めると、カウント方法を変える事ができなくなります。容量自体はプレイ中に増やす事が可能です。種類の場合は、同じ物なら際限なく入れれますが、最初は10種類なのであっという間にいっぱいになりますが……』


 「だったら重量の方がいいんじゃない?」


 『こちらも最初、あっという間にいっぱいになります。将来的な話をしています。例えば、重量が100あっても木材なら1個しか入らないですが、種類にすればその木材は無限に入るのです』


 「それ凄くない? では、種類で」


 『鞄には10ポイント使いますので、あと20ポイントです。伐採も取得しておきますか? これは10ポイントです』


 「わかったわ。それで」


 『では後はステータスです。戦闘は極力しないという事ですが、スキルを使うのにMPを消費しますので、こちらは増やして置いた方がいいでしょう。1ポイント増やすと10増えます。魔法もスキルもレベルの数値分消費します』


 「それって、例えば採取がレベル10なら10消費するの?」


 『はい、そうです。採取は、発動させてからレベルよって時間は違いますが、その間採取速度などが上がります』


 「そう。だったらあった方がいいわね」


 『あとこの世界には、スタミナがあり休憩や飲食などで回復させる事が出来ますが、体力を上げる事で減り方を緩やかにできます』


 「ふーん。だったらそれも上げておきましょう」


 『では、5ポイントずつ増やしておきますね。レベルが上がれば、ステータスのパラメータも上がります。ここで増やしたパラメータは、上がりやすくなりますので』


 クロは、これでやっと仕事が終わったと安堵する。


 「本当にクロちゃんは、物知りね。これからも宜しくね」


 『いえ僕のサポートはここまでです』


 「え? なんで?」


 『なんでって、一般的にはいなくても大丈夫だからです。わからない事があったらNPCに聞くなり、プレイヤーに聞くなりすれば大抵の事はわかりますよ。後は、大陸ですが……』


 「クロちゃんを連れて行けないの?」


 『にゃ? つ、連れて行けない事もないですが、ポイントが足りません……』


 「クロちゃんは、いくつなの?」


 『ふにゃ!? ……10ポイントです』


 「じゃ、10ポイント使って連れて行くわ!」


 『にゃんですと~!!!』


 ――このおばちゃんから解放されると思ったのに!


 残念だったな。クロ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る