第2話 悪意と罰

ウィンクキラーゲーム 2話



如月迅(cv)

赤坂智也(cv)

大神隼斗(cv)

ナレーター(cv)






ウィンクキラーゲーム






4人用声劇台本

男性3人 、不問1人






主人公

如月 迅(きさらぎ じん)

(性別:男)

17歳、高校2年生

幼い頃にとある事件で両親を亡くしている

心に深い絶望を抱えていて危なげではあるがそれでもどこかでは希望を信じて必死に前に進もうとしている








迅の親友

赤坂 智也(あかさか ともや)

(性別:男)

17歳、高校2年生

高校に入ってから迅と友達になり、今となっては親友と呼べるまでの仲

親友想いで迅の過去を知って

少しでも元気になってほしいと考えている






大神 隼斗(おおがみ しゅんと)

(性別:男)

年齢不明

迅のことを知っているようだが

迅は覚えていない





ナレーター

(性別:不問)









ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






ウィンクキラーゲーム



第2話


悪意と罰








ナレ

時は少し遡り………智也は駅前のカラオケのあるビルの4階のネットカフェでウィンクキラーゲームについて調べに来ていた






智也

「さて、迅が来る前に少し調べちゃいますかねぇ…えっと確か

ウィンクキラーゲーム…だったな」






ナレ

調べるも、それほどおかしなものは

出てくることは無かった






智也

「んー、たかだか遊びってレベルのことなら迅も春乃ちゃんも取り乱すなんてことはないだろ……検索方法が悪いのか。

あ、そーだあのワードなら引っかかるかもな」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「隼斗さん…そうか…前回のウィンクキラーゲーム参加者だったんだ。

こんな狂ったゲームに身を投じるのが2回目……そこまでして」







ナレ

迅はバスに乗ってからウィンクキラーゲームについて、隼斗さんについて考えていた







隼斗

(僕も参加者だからいずれ君と戦うことになる………かもね?)






「隼斗さんはあぁ言ってたけど

本当に敵対したくはないな

あ、どんな能力なのか聞くべきだったかな

とは言っても能力は

下手すると弱点を教えてしまうことになるし教えてもらえないか」








ナレ

幸いバスには誰も乗っておらず

迅の独り言を聞くものは誰もいなかった







ーーーーーーーーーーーーーーーーー






智也

「さて…と、そろそろ時間か

迅もそろそろ着くって連絡来たし」







ナレ

智也はネットカフェから出て

待ち合わせ場所に向かった






「悪ぃ待たせたか?」






智也

「んや?俺もつい数分前に着いたしな」






「そうなのか

んじゃ、まぁ行くか」






智也

「あ、そうだ迅」







「ん?なんだ?」






智也

「ウィンクキラーゲームについて調べてただろ?」






「?!………あ、あぁ気になってたからな」






智也

「俺も気になって調べたんだよ

そしたら面白いもの見つけてさ」






「ま、待て調べたって

変な画面になったりしたか?

参加するとかしないとか」






智也

「ん?いや別にそんなことはなかったぞ?

どーしたんだ?顔青いぞ?」







「あ、いや大丈夫だ

それで?面白いものって?」





智也

「まぁ本当かどうかは置いといて

ウィンクキラーゲームって

大昔から存在したらしくてさ

今となっては

『ウィンクキラー』なんて呼ばれてるけど

昔は呼び方が違ったらしいんだわ」







「昔の呼び方?」







智也

「ウィンク…つまりは

片目を閉じる行為のことを言うだろ?

これは目のことを表すらしくて

キラーという部分は狩りとるもの

目を狩りとるゲームだったらしい」






「それって……」






智也

「あぁ、要は殺しのゲームだった

けどまだこの話は終わらないんだ」






「まだあるのか?」







智也

「むしろここからが本当に面白いとこ

よく中世の時代に『魔女狩り』ってのが存在したのは歴史の授業で習ったろ?

居たらしいんだ日本にも」







「は?いやまて話が飛躍しすぎて」






智也

「だから本当かどうかは置いといてって言ったろ?まぁ続けるぞ?

それで魔女とは文字通りじゃなくて

特殊な目を持った者達を指し示す言葉で

その特殊な目で

人を魅了し、欺き……時には奇跡を起こしたり摩訶不思議なことを出来た人間が居たんだと」







「まさか…ウィンクキラー……目を狩りとるゲームってその魔女と呼ばれた人間の目を?」







智也

「大正解!」





「でもなんでゲームなんだ?

もし仮にその特殊な目を持った者達が居て

それを危険視した者達による虐殺ならまだ分かる

けどゲームってプレイヤーがいて

お互いが対等な条件下で成立するものであるし、ましてやその人達は狩られる側なんだろ?ゲームとして楽しむなんてできっこない」







智也

「言いたいことは分かる

本来ならゲームではなく

ただの虐殺になるはずだった

けどゲームにしたのは

その魔女側らしいんだ

『これはゲームだ

我々が根絶やしにされるか

それとも汝らが根絶やしになるか』ってな」






「というかお前どこでそんなの調べたんだよ俺が調べた時はそんなの1個もなかったぞ?」






智也

「ん?あぁそこはだな

『ウィンクキラー 起源』

って調べたんだ」







「なるほどな

あぁ悪い話の腰を折ったな」






智也

「まぁ気になるのは仕方ないさ

俺も面白いと思って迅にこうして話してるわけだしな!

それでゲームとして成立したらしい

その歴史が今となっては

『ウィンクキラーゲーム』

なんて可愛げのある若者たちの間で流行るゲームになってったんだと」







「確かに面白いし興味深いな

俺もまた帰ったら調べてみるわ」






智也

「っとすまんな結構長話になっちまった

さてと!行きますか!カラオケに!」






「そうだな」








ナレ

迅と智也は話を切り上げ

カラオケに向かった





ーーーーーーーーーーーーーーーーー






隼斗

「ここに来るのも10年ぶりになるね

さてと……お、あったあった♪

10年も経つのに残ってるなんて

思わなかったけど……ふふ♪ふははは♪

これはやっぱり宿命なんだね

ねぇ?そう思うだろ?迅くん?」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






智也

「くっはぁ~っ!やっぱり親友と行くカラオケって熱くなるな!てか迅が歌ってたあの曲いいな!」






「だろ?俺もお気に入りなんだよ

それよりお前、また歌上手くなってたじゃねーか平均が91点とか」







智也

「へっへーん!どーだい!これが1人寂しくヒトカラに通いつめた俺の力の一端よ!!」







「いや、それ自慢することか?」







ナレ

2人は楽しそうにカラオケ帰りに雑談し合いながらバス停でバスが来るのを待っていた







ーーーーーーーーーーーーーーーーー





隼斗

「さて、お目当てのものは見つけたし

早く次のゲームが始まらないかなぁ♪

おっと…その前に」






ナレ

隼斗は空を見上げて

何かを呟いたあと

その場を後にした





ーーーーーーーーーーーーーー






ナレ

迅は家に帰る際

春乃の家によって呼び鈴を押してみたが

誰も出てくることは無かった為

そのまま家に向かった






「なんで母親も父親も春乃の家にいなかったんだろこんな時間だし

買い物に行ってるってことは無いだろうし……まぁ考えても仕方ねーか」






ナレ

迅はそのまま部屋のPCを起動して

昼間、智也が言っていた

ウィンクキラーの起源について調べ始めた






「………あった!ウィンクキラーゲームの起源の詳細について

んーと、若者の間で流行りだしたウィンクキラーゲームその起源は女の人がウィンクをし、男の人を…ってこれじゃない」






ナレ

智也が見つけたという記事については

なかなか辿り着けずにいたので

迅は智也に電話をかけた





「あーもしもし?

悪いなこんな時間に電話して」





智也

「別に構わねーけど

ちょうど暇してたしな!

それよりどーしたんだ?」





「今日の昼間に話してただろ?

ウィンクキラーゲームの起源の話」






智也

「あー、話したな

それがどうかしたか?」






「それがさ、検索しても

智也が話してくれた内容の記事

どこにもないんだよ」





智也

「え?マジか?

ちょっと俺も今調べてみるわ

…………………………

ホントに無くなってる」






「なぁ智也

ウィンクキラーゲームについて

調べるとき、なんか変わったこと起こらなかったか?」





智也

「変わったこと……。

んー、別になんもなかったけど

どーしてだ?」






「いや………ほら

そんな残酷な事が日本で本当に起こってたのなら」






智也

「だから、ホントかどうかもわかんねー話だしさ」







「そう……だよな

智也が見た記事の内容

覚えてる限りでいいから

また話してくんねーか?」







ナレ

迅は智也の話を聞きながら

ノートに書いていった

あらかた話を聞き

電話を切ったあと

迅は布団に入り眠りに落ちた







ーーーーーーーーーーーーーーー







ナレ

翌朝の日曜日

特に予定も無かった迅は

ふと、両親がウィンクキラーゲームに

参加していたという隼斗の話が気になり

両親の墓がある所まで来ていた






「父さん、母さん

俺のせい……だったんだな

なぁ…2人はウィンクキラーゲームに参加して何を願おうとしてたんだ?

願いが本当に叶うなら…

もし……叶うのなら」







ナレ

その先の言葉を言う前に

後ろから声を掛けられた







隼斗

「おや、やっぱり如月くんだったか

どうしたんだい?そんな辛そうな顔して」






「隼斗さん?どうしてここに?」






隼斗

「僕の両親もここに眠ってるからね」






「そう……だったんですね

俺も両親の墓参りです」






隼斗

「それよりどうしてそんな辛そうな顔してたんだい?両親もきっと悲しむよ?」







「………。俺、やっぱりよく分かってなくて…ウィンクキラーゲームのこと

そして両親のことも

そうだ、隼斗さん

この前は時間が無くてあまり詳しく話せなかったんですけど色々とお話聞きたいなと思いまして

これから時間とか大丈夫ですか?」







隼斗

「構わないよ♪

僕も君と話をしたかったし」






ナレ

迅と隼斗は墓地を後にし

近くの公園まで来て話を始めた







「最初に聞いておきたいんですけど

前回のウィンクキラーゲームで

最後まで残れなかったって

言ってたじゃないですか?

このゲームはどちらかが敗北…つまり死ぬまで終わらないはず

隼斗さんはどうやって生き残ったんですか?」








隼斗

「あー、なにも難しい話じゃないよ

中断されたからだよ」





「中断?それってつまり

隼斗さんともう1人は戦わずして

ゲームは中断ってことですか?」





隼斗

「まぁそんなところだね

何かしらのトラブルが起きた…と僕は推測してる

あのゲームが途中で終わるはずがないからね」







「隼斗さんがこうして生き残ってるってことはその人も生きてるってことになりますよね?」






隼斗

「そうだと思うよ

まぁ、あくまでこの開催に参加していれば…だけどね」






「え?中断ってことで

隼斗さんとその人は強制参加とか」






隼斗

「いや、それは無いと思うよ

少なからず僕は僕の意思で参加しているからね」






「………………。

あの…隼斗さん

俺の両親はウィンクキラーゲームの参加者だったんですよね」








隼斗

「そうだね2人とも参加者だったよ」






「隼斗さんは俺の両親とどんな繋がりがあったのかなって気になっちゃって」







隼斗

「そうだねぇ…なんて説明するのが1番なんだろう

んー、仕事仲間…だったかな

君のご両親とは」







「そうなんですね……。

そっか…俺の父さんと母さん

人付き合い苦手そうだったから

隼斗さんのような仕事仲間がいて

少し安心しました」







隼斗

「君はどもまでも純粋なんだね

きっとご両親は誇りに思うよ

自分たちの子供はこんなに立派に育ったってね」







「そんな事ないですよ…幼なじみとはなんか喧嘩っぽくなっちゃって音信不通だし今もこんなゲームに参加してるって実感がそんなに湧かなくて」







隼斗

「そうだろうね

如月くんの目は綺麗な色をしているから、人を殺めてしまったと僕に話してくれたがそれでも綺麗な色だよ」







「あ、ありがとうございます

あっそうだ、隼斗さんに他にも聞きたいことがあって

ウィンクキラーゲームの詳細画面に

ウィンクキラー側とERROR側って現れたこと

そしてもし分かるならウィンクキラーゲームの起源についてお話したくて」







隼斗

「僕の分かる範囲でいいなら喜んで

まずはこのウィンクキラーゲームのルールは知っての通り

ウィンクキラー側と

ERROR側に分かれる

ウィンクキラー側もERROR側も

両方とも特殊な力を得ることになる

ちなみにウィンクキラーとERRORが対峙すると殺し合いが始まる感じかな」







「ってことは隼斗さんは

ウィンクキラー側…ってことですか?」







隼斗

「まぁそうだねぇ君と殺し合いにならないのが何よりの証拠だし

でも、このゲーム

特例があるんだよ

普通に考えても分かると思うけど

最後の一人にならなきゃ

自分の願いは叶えられない」







「?!」







隼斗

「気づいたようで何よりだよ

2陣営ある時点でこのゲーム

最初から矛盾してるんだ

そしてウィンクキラー同士

ERROR同士で殺し合いが出来る」







「じゃ…じゃあ、なんでわざわざ2陣営なんかに、それにそもそも

そんな説明全く無かった」







隼斗

「それは君も知ってると思うけど

ウィンクキラーゲームの起源から来るものなんだ」






「隼斗さんもウィンクキラーゲームの起源を知ってるんですか?!」






隼斗

「君はどこでそれを知ったのか僕には分からないけど

魔女狩り…つまりウィンクキラー

力を持たないただの人がどうやって

異能の力を持つものたちに対抗したと思う?」







「それは……どのくらい昔の話か分かりませんが武器とかですか?」






隼斗

「まぁそれも少なからずはあっただろうけど違うんだよ

日本で魔女狩り…ウィンクキラーが始まったとされるのは安土桃山時代

江戸より前だね

その頃が発端とされている

その頃の武器といえば

せいぜい刀、弓矢、槍、火縄銃がいい所だろうからね」







「じゃあ、どうやって?

そんなの狩りにすらならないじゃないですか」






隼斗

「今の時代…いや、もっと正確に話すとね明治時代の頃には

撤廃されたんだけどその頃まではあったんだよ…人体改造実験が」






「人体改造実験?

でも、もし仮に人体改造実験したとしても異能の力に対抗できるんですか?」







隼斗

「まぁゆっくり話すからさ

まず魔女側は異能の力を目に宿してる

これが何故判明したかという所から話を始めるんだけど

そもそも何故目だと言うことがわかったか……結論から言うんだけど

魔女と呼ばれた者の死体は

全員目が無かったんだよ

何百という犠牲を払ってその魔女と呼ばれたものを屠った後、死体を確認したら

目だけがまるでどこかに消えたように」







「消えた?」






隼斗

「そう、消えたんだ

そしてまた数百の命と引き換えに

魔女を狩りとった時も目が無かった

そして確信したんだ

奴らの力の根源は目にあるってね

かの有名な織田信長も実は魔女だったという噂もあるねぇ」





「なんでですか?」







隼斗

「まぁ諸説ある話の中のひとつの話だけど、その信長公の死体には両目が存在しなかったとか

あぁごめんね話が逸れたね

そして目が力の根源だとわかった人達は今度はどんな行動に出ると思う?」






「目を手に入れる…ですか?」







隼斗

「んー、40点だね

当時の大名やら武将はこぞってこの力を欲したんだよ

そりゃ1人で数百の命を狩りとる程の力だからね

何としてでも

魔女を味方に付けたかった

だが、そう考えるものもやはり多いのは当たり前な話で

みんなが躍起になって魔女と交渉しようとした」






「まぁそうなりますよね」






隼斗

「だが、魔女は誰一人として

どこかの勢力に与することは無かった

彼らが武力行使に出るのはあくまで自らに危険が迫った時、同胞が危機に晒された時…そう明言したからだ

それでも人間は欲深い生き物だ

欲しいものは手に入れる

ここである人物が

絶対に侵してはならなかったことをおかしてしまうんだ」






「そのある人物って?」





隼斗

「日本人なら誰でも知ってるんじゃないかな?豊臣秀吉だよ

織田信長の意志を継ぎ天下を統一した彼が禁忌に触れたんだ

同胞が危機に晒された時

つまり、魔女と呼ばれるものの家族を拉致してどこ何処の国が攫って行ったんだ~とね」







「え、でもおかしくないですか?

例え女子供でも等しく能力はあるんですよね?それを誘拐なんて出来るんですか?」








隼斗

「ご最もな意見

だけどみんなの能力が万能って訳でもなく、一騎当千出来るほどの力がある訳じゃ無いんだ

だから攫うまでそんなに苦労はしなかったんだろうね

そしてようやくここで

人体改造実験の話が出てくる」









「まさか攫った家族を…」







隼斗

「その通り、秀吉らは攫ったものを解剖した……生きたままね」







「生きたまま!?」






隼斗

「そう、生きたまま

どういう原理か知らないけど魔女達は死ぬと両目が無くなるからね

そして繰り返される解剖によって

とうとう魔女の両目の取り出しに成功した秀吉軍はその両目を普通の人間に移植出来ないかと考えた

そして同じく人体実験が幾度と繰り返されることになる」






「なんて惨いんだ…

だって…魔女達も同じく生きる人間じゃないか…それをどうして…」






隼斗

「そして秀吉が天下を統一する頃

人体改造実験が成功したんだ

そして豊臣秀吉に協力した魔女らは同胞が殺され弄ばれていたことを知ることになり、秀吉軍と魔女側の熾烈な戦いが8年も続いたとされる

そして豊臣秀吉の死去と共に

魔女らは初めて日本全土に宣戦布告するんだ…『 これはゲーム 』だと」







「歴史の背景にそんなことがあったなんて……隼斗さん…このゲームのERROR側って魔女ってことになるんですか?」







隼斗

「まぁウィンクキラーゲームの起源は今話した内容でその話から推測すると

ERROR側が魔女と見るよね

けど違うんだよ

そもそも現代までそのゲームが続き

今回もまたゲームは開催されている

けど、疑問に思わないかい?

人体改造実験によって擬似的な魔女を生み出した豊臣秀吉と戦争を起こし、そして魔女側が生き残り宣戦布告

けど、僕らはただの普通の人間だ

参加と共に能力を得たが

人体実験を受けたわけじゃない」






「確かにそうですね

俺もただ参加をクリックしただけです

その後自分の能力を実際に実感したのでそれ以外は何も変わったことは無いです」









隼斗

「だから僕はこう考えているんだ

異能を扱う彼らは

言わば神の使徒だとね

じゃなきゃこんな事象は起こりえないと考えてる

そして彼らの逆鱗に触れた日本でゲームが開催されることになった

もちろん、ひとりで数百の命を狩り取れる彼らはゲームにする必要はどこにもなかった……。

だけどゲームという形になった

これは神の意志なんじゃないかと」








「神の意志でゲームに…」








隼斗

「まぁ僕の考えだから

当たってることは無いと思うけどね」






「いえ、とても参考になりました

ごめんなさい長々と話に付き合って貰っちゃって」







隼斗

「いいよいいよ♪

如月くんと話してると

楽しいからね

また気になることがあればいつでも聞いてよ?あ、これ僕の番号」








ナレ

隼斗は迅に自分の番号が書いてある

名刺を迅に渡した







隼斗

「さてと、暗くなってきたし

またどこかで会えたらいいね♪」





「本当にありがとうございました!

またお話したいです!」







ナレ

そして迅は

隼斗の背中が見えなくなるまで

見送ったあと、再びまた座り込んだ







「…………ウィンクキラーゲーム

魔女……人体改造実験……

なんか俺も触れちゃいけない部分に触れた気がするな」









ナレ

ひとりで今聞いた話を携帯のメモに

ある程度書き込み帰路についたのだった








ーーーーーーーーーーーーーーー




「はぁ……なんか

どっと疲れたな」





ナレ

迅は自分のベッドに腰を下ろし

まとめたメモに目を通した





「ウィンクキラーゲームの矛盾…

なんで2陣営に分けた?

そもそも俺が手にした愚者の能力も

元々は魔女の能力だと仮定して

確かにこの能力の欠点と言えば

5秒間見つめることが出来なければ発動はしない…けど視界内に捉えてしまえば確定した死を与える」





ナレ

迅がもの思いにふけっていると

携帯が鳴り出した






「ん?智也?」







ナレ

画面のディスプレイの表示を見ると

智也の名前が映し出されていた






智也

「よー!悪ぃな突然電話しちまって

ちょっと春乃ちゃんの事で話したいことがあってな」







「春乃のことで?

なんか智也に連絡あったのか?」








智也

「それがな?ついさっきの事なんだけど春乃ちゃんから電話があってさ」






「あいつ…俺には全然連絡返さないくせに」







智也

「まぁまぁ落ち着けって

んで、春乃ちゃんから電話が掛かってきたから出たんだけどさ

春乃ちゃんずっとうわ言のように

同じ言葉を繰り返してて

俺の話全く聞こえてないみたいだったんだよ」






「その繰り返してた言葉って?」






智也

「矛盾はひとつじゃないって」







「?!…なぁ智也

ちょっと悪ぃ後でかけ直す!」







ナレ

迅は智也との通話を急いで切り

春乃に電話を掛けた






「クソっ!なんで出ねーんだ!

おい!エニグマ!春乃に気をつけろって言ってたよな?

まさか春乃も参加者なのか?!」






ナレ

迅の問に答えるものはなく

静かな部屋に

迅の声が響くだけだった






「あいつは……春乃はウィンクキラーのことを知っている…絶対に

あの取り乱し方は異常だった」







ナレ

迅は一旦深呼吸した後

智也に掛け直した







智也

「春乃ちゃんは電話に出たか?」






「いや…出なかったよ」






智也

「そっか……。なぁ迅」







「ん?なんだ?」







智也

「また明日学校でな」







「おう、さんきゅーな」






ナレ

迅は通話を終え

再びウィンクキラーのことについて

思考していたがいつの間に眠ってしまったらしく起きた時には

日も明けていた






ーーーーーーーーーーーーーーー







「んっ…いつの間に寝てたのか

とりあえず支度しないとな」





ナレ

迅はベッドから出ると

学校に行くため

一通りの準備を終え家を出た






「矛盾はひとつじゃない……か

ウィンクキラーゲームの今わかってる矛盾とすれば2陣営あるのに最後の一人にならなきゃ願いを叶えられないってところだよな

隼斗さんは特例があるって言っていた。

隼斗さんも参加者で叶えたい願いがあるはず……普通に考えたら俺も邪魔な存在になる」







ナレ

ぐるぐると思考を巡らすが

春乃が言っていた

矛盾はひとつじゃないという意味は

理解出来ずにいた

気がつけばもう校門前まで来ていた








智也

「なーに朝からブツブツ独り言言ってんだ?危ねーやつに見えるぞ?」






「ん?あ、智也か

おはよう

昨日の件で余計に分からなくなっちまってさ」







智也

「春乃ちゃんもなんかあるんだろーな

なぁ迅?お前はお前だ」






「急になんだよ?」







智也

「そんな考え込んでも今は分からねーんだろ?ならいつも通りでいいじゃんかってことだ」






ナレ

迅と智也は話しながら教室まで歩いていると予鈴がなった






智也

「ま、予鈴もなったし

今日も一日頑張りますかねぇ

俺はいつも通り寝るけどな!」








「いやいや真面目に授業受けろって

ったく、まぁまた後でな」






ナレ

ヒラヒラと手を振りながら智也が

席につくのを見たあと

迅はボーッと外の景色を眺め始めた





ーーーーーーーーーーーーーーーーー





「結局、今日も春乃は学校に来てなかったか……」





ナレ

学校が終わり帰り道を歩いていると

後ろから話しかけられた





隼斗

「やぁ、如月くん

また会ったね♪」






「隼斗さん!昨日はありがとうございました!色々俺もあれから考えてみたんですウィンクキラーゲームのこと」






隼斗

「へぇー、それでなんか分かったことでもあるの?」






「いえ…でもひとつ気になってることがあって」







隼斗

「どんなことをだい?」






「隼斗さん…三枝って苗字聞いたことありませんか?」






隼斗

「さえぐさ…んー、三枝かぁ

どーだろ少なからずパッと思い浮かんでは来ないかな」







「そう…ですか」







隼斗

「その三枝って苗字がウィンクキラーゲームとなんか関係でもあるのかい?」






「………まだ確証を持っては言えないんですけど、何かを知っている…って感じでした…

ウィンクキラーゲームについての事なのか分かりませんが

『 矛盾はひとつじゃない』って」







隼斗

「ふーん?矛盾はひとつじゃないねぇ

確かに意味深な言葉だね」








「だからもし何か情報があれば聞きたいなって思ってたんですよ」






隼斗

「そっかそっか♪

でもね?如月くん

僕はその矛盾はひとつじゃない

って言葉にも違和感を覚えたよ」







「違和感…ですか?」







隼斗

「もし、そのウィンクキラーゲームの矛盾を指しているのであれば

前回のゲームは10年前

それ以前のゲームの開催は少なからず僕が把握してるだけでも

更に19年も前になる

如月くん、君は僕以外のウィンクキラーゲームについて知ってる人には出会ったかい?」








「隼斗さんだけですね

10年前の生き残り…つまり隼斗さん以外は無いです」






隼斗

「僕はね、ずっと疑問に思ってたんだ

君のもとに情報が集まるのが

早すぎるんだよ

僕だってウィンクキラーの起源を知ったのもそれこそ前回の中断が原因で知ることになったんだ

それを君はウィンクキラーの起源にもうたどり着いているんだ

僕が話したとは言えね?」







「どーゆー事ですか?」





ナレ

その話を聞こうとした所で

智也の声が聞こえた






智也

「おーーーい!迅!春乃ちゃんについて話が……っておっとお邪魔でした?」






「変な妄想すんな!

ばかちげーよこの人は男の人だし

………父さんと母さんの知り合いだった人なんだ」





隼斗

「如月くんの友達かな?

どうも初めまして

大神隼斗って言います

彼……如月くんのご両親とは仕事仲間だったんだ」





智也

「あ、どもっす

迅の友達の赤坂智也っす」






隼斗

「懐かしいなぁ僕もよく学生時代は

友達と一緒に帰ったもんだよ♪

如月くん、友達は大事に、ね?

それじゃ僕はちょっと用事があるから」






「あ、隼斗さん!また今度話したいので電話します!」






ナレ

隼斗を見送ったあと

智也はおもむろに口を開いた






智也

「なぁ迅、さっきの大神さんって人

お前のご両親と仕事仲間って話だけど」






「そうらしいんだよ

たまたま会って話してたら俺の父さんと母さんの知り合いってことで

ほら、俺あんまり両親のこと知らないからさ……ってそれより

春乃の話がどうとか言ってなかったか?」






智也

「あぁ連絡あった訳じゃないんだが

春乃ちゃんを見たって言う奴が居てさ」






「本当か?!どこで?!」






智也

「落ち着けって

見たのは昨日の日曜日

春乃ちゃんのクラスの男子らしいんだけど、バイトが21時くらいに終わって帰ろうとした時に制服を来た春乃ちゃんを見たって話だ

駅前のコンビニあるだろ?

その辺で見たらしい」






「昨日……か

ん?待てよ日曜日なのに

制服ってのがおかしくねーか?」






智也

「いや、俺にその疑問をぶつけられても困るって

お前がとっとと帰っちまったあと

春乃ちゃんを見たって廊下でそいつが話しててさ?詳しく話を聞いて

急いでお前に電話したんだが出ないから走って追いかけてきたんだ」







「あ、すまん電源落としてたんだ

わざわざありがとな」







智也

「ったく、ここまで走って追いかけてきたんだ飯くらい奢れよ?」







「一人暮らしの俺にたかるなよ…

けどまぁ智也の割には?走ってきて頑張ったみたいだし牛丼小盛りなら奢ってやるよ」





智也

「小盛りかよ!?いやそれより智也の割にってなんすか?!」






「たかろーとするお前が悪い

ってことで1回家に帰って着替えてからでいいか?」








智也

「え、今の俺が悪いの?

え、待って俺なの?」







「おーい?人の話聞こえてっかー?」






智也

「いや聞こえとるわ!

まぁ俺も着替えたかったしんじゃ後ほどな!」







ナレ

智也はそれだけ言うと

駆け足で帰っていった

迅も帰宅し私服に着替え

智也と外食に行き現地で解散となった







「ったく、結局大盛り頼みやがって」






ナレ

迅が歩いて帰っていると

春乃の家の前によく見知った顔が見えた







「あれは…春乃?!

おい!春乃!!今までどこに!」






ナレ

迅が話しかけると春乃は駆け足で逃げていった

どんどんと遠くなる春乃の背中を追いかけるがただ距離が空いていく






「おい!……春乃!!待てよ!

春乃っ!!!!」






ナレ

そしてとうとう春乃を見失ってしまう迅

それでも懸命に探すが春乃の姿はどこにもない

ウィンクキラーゲームの矛盾

突然姿を消した幼なじみ

10年前のウィンクキラーゲーム

迅の両親の死の真相とは…





第2話


悪意と罰


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ウィンクキラーゲーム ろいくん @roikun___cas

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