酔ってる彼女

この日、私は新しい服を求めて久し振りに買い物に出た。














昔は当たり前のように普通に買っていた服。

お店に入り気に入った物を試着して購入できていた服。

が、この時は着れるものを探すのが大変だった…













気付かない内にサイズアップしていて

大きなサイズが置いてあるお店を探す…














店内に入り物色するとまた次のお店へ…














夕方には行くと言っていたけれど

気に入って着れる服がなく、時間はどんどん遅くなり焦った私は結局、妥協して購入した服を着て化粧もそこそこに向かった。













私が到着すると子供達はもう食べ終わり遊び始めた所だった。












彦「遅かったね、何かあったの?」














彦さんは私が久し振りに新調した服に気付きもしなかった…













私「ごめんね、遅くなって…」














彦さんの目にはもう私は入らないのだと

この時、私は痛感した…













彦「遅くなってすみません。嫁です(笑)」














彦さんは私を待たずして談笑している皆の元へ行き

後ろから足早に追い付こうとしている私を紹介した。














私「あ、いつもお世話になってます…」














私が彦さんに追い付き挨拶している途中で

彦さんは生徒の1人に呼ばれその場を去っていった













親「初めまして。彦コーチにはお世話になってて

あら、コーチあっちに行っちゃいましたね(笑)

どうぞ、ここに…」













最初にそう声をかけたくれた女性の横に私は腰掛け

談笑しながらお酒を頂いていると

私の正面に座っていた彼女が私に話しかけてきた。













彼女「お久し振りですね♪

あの~、彦コーチって若い子が好きですよね?

失礼ですが、奥様はおいくつなんですか?(笑)」













彼女のこの1言で一瞬空気が凍った…














私「そうですか?(笑)

どちらかというと熟女系が好きだと思いますよ(笑)」













私は凍った空気を何とかしようと笑って答えた。













彼女「えぇーそれは知らなかったです(笑)

でも、でも~胸の大きな人は好きですよね?」













彼女はそう言いながら自分の胸を強調させるかのように姿勢をただし胸を張ってみせつけてきた。














彼女の満面の笑みと前につき出された大きな胸を目の当たりにして、私は今日の出来事を思いだし(胸だけではなく全体的に大きくなっただけの自分の姿)何も言えなくなってしまい苦笑いをするのが精一杯だった…













親「隣に座ってると解るけど奥様も大きいですよ(笑)今日はお洋服で隠してらっしゃるけど…」













私の隣に座っている親御さんの助け船だったけど

体型を隠したくて妥協して買った服がまた私を惨めにさせた…













親「なんか、すみません…

彼女は酔ってるのかな???(笑)」














私の様子を見て助け船を出してくれた親御さんは

小声で私にそう言ってきた。













私「いえ…私もなんか、すみません…」














親「普段は…そうじゃないとは言えないけど

でも、ここまでおかしな事は言わない人のはずなので…(笑)」













私「私は大丈夫で…」














大丈夫だと私が言おうとした時だった…














「きゃーっ!」














遠くから彼女の悲鳴が聞こえ、私は思わずそちらに目をやった。













薄暗い広い芝生がひかれたスペースの真ん中で

まるでスポットライトが当たってるかのように見えたその光景…














私は多分、一生忘れない。














横たわる彦さんの上に股がり腰を振りながら

「やだぁ♪」「きゃーっ♪」と叫ぶ彼女…













「お母さん降りて~!」


と、彼女の子供であろう女の子が彼女を彦さんの上から降ろそうと必死になっているにもかかわらず

彼女の激しい腰の動きは止まることはなく



彦「おい!降りろって(笑)」



と、言いながらも彼女の腰に手を当てている彦さん…







その内、騒ぎを聞きつけた子供達が2人を囲み

「コーチを助けろ!」と聞こえてきたが

彼女は「やめて~♪コーチを一人占めしてるんだから(笑)」と楽しげに彦さんにもたれかかるかのように身体を重ねた姿から私はここでやっと目をそらすことができた…











 


親「ごめんなさい!本当にすみません…

彼女はきっと酔ってるんですよ

じゃなきゃご主人もいらっしゃるのに普通は出来ないですから…」













親御さんの言葉に私はビックリした。














私「え?ご主人がおられるんですか?」














私の問いに親御さんはご主人を教えてくれた













私の視線の先には…グラスを片手に苦笑いしながら私を見ている1人の男性が立っていた…














まだ、遠くで聞こえる彼女の楽しげな笑い声と悲鳴の中、私と彼女のご主人は無言のまま軽く会釈しあった。

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