待つ。
彦さんを疑うようになってからも
お互いの仕事が忙しく私達はスレ違いの生活が続いてた。
それでも私は甲斐甲斐しく急遽出張が入った時には着替えを持って行き、泊まらなければならなくなった時にはお弁当なんかを持って事務所に届けたりしていた。
『とりあえず、ダメ嫁ではないことだけはアピールしとこう…』
そんな思いからだけだった。
ある日、同じ職場のチカちゃんが突然お父ちゃんの仕事を聞いてきた。
チカ「ねぇ?もえちゃんの旦那さんって○○ってとこで働いてる人?」
私「うん。そうだよ。」
チカ「もしかして、?」
私「私と同じ名字だもん(笑)そうだよ」
チカ「山田さん…気を付けた方がいいよ」
私「なんで?」
チカ「私の彼のお姉さんがそこで働いてるんだけど…
出張の日に、もえちゃんの旦那さんが忘れ物してたみたいで追いかけて駐車場に行ったら車の所で旦那さんと山田さんが…ね、」
そう言いながらチカちゃんは人差し指と人差し指を意味ありげに絡めたりしていた…
私「へぇー、チカちゃんの彼のお姉さんって名前は?」
チカ「○○って言うの。旦那さんに聞いたら分かるとおもうよ。」
私「そうなんや、ありがとう。」
駐車場で何をしてたのか知らないし何もなかったかも知れない。
ただ、私の職場に旦那さんのアホな行動を興味本意で探っている人がいて、しかもそれを探っているのがその事を私の耳に入れるような幼稚な頭の人間なのだと思っただけで怒りで震えた…
が、私が現場を押さえることは不可能に近く、
腹は立ってるものの、今すぐ止めさせたい!とか
浮気して許せない!とかは不思議と思わなかった。
山田さんはバツイチ子持ちの彼氏ありの50代前半の小柄な女性。
山田さんの彼はタクシードライバーだけれど病気勝ちでこの頃は入院中だと聞いたことがあった、
『どこが良くてそんなことになったんだろ?』
正直、そう思えるような人だった…
それでも彦さんは休みの日にはせっせと山田さん家の棚を作りに出向いたり、テレビの接続だとか何とか言い山田さんのところへ通い、帰りには私への料理も貰って堂々と帰宅していた…
その内、彦さんと山田さんの行動はエスカレートしていき、最終的には下着まで違うものと交換して帰るようになった…。
それでも、これ!という決定的な物を私は見つけることができずひたすらチャンスを待った。
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