私の本音。
私が仕事が決まり働き始めると
彦さんは新たな資格を取るために勉強を始めた。
今のままでは収入は先が知れてるから…
そういう理由だった。
彦さんは私と違い頭が良く資格もたくさん持っていた。
私はそんな彦さんを「資格マニア」と笑って呼んでいた。
彦さんはこの頃の合格率20%の資格を
勉強し始めて半年で合格し、その資格を生かす為の職につくべく病院を退職し新たな職についた。
私はというと旅館の仕事は実家である程度していたから仕事内容も難なく覚えられ1人でお客様を担当させてもらえるようになっていた。
何事も順調だったように思えた。
彦さんの新しい仕事は営業のようなものも兼ねていて
車移動が多いし、出張も多くなった。
それでも、私は日々の生活に必死で寂しいとか思うこともなく彦さんの言動を疑うこともなかった。
彦さんが新しい職につき、私の仕事も順調で生活は一気に楽になり彦さんのお小遣いもUPすることができたのもこの頃。
そして、半年…
多分そのくらいだったと思う。
彦「明日はお前は仕事?」
そんなことを彦さんは頻繁に聞くようになった。
私「仕事だけど?」
彦「忙しいの?」
私「どうして?何かあるの?」
昔なら勘が働くような時も、この頃の私は仕事に家事に…と彦さんをかまってられない状態だった
彦「明日は職場の人と花火を見に行くから
帰った時には俺はいないかも…」
私「そう。ご飯は?」
彦「いいや。」
私「わかった。」
普段の会話もこんな感じだった。
この日、私は仕事を早目に終わらせて帰宅。
彦さんから「帰ったからゆっくりお風呂にでも入っておいで」のメールも帰宅してから読んだ。
彦さんからのメールは20時30頃に来てたのに
家に彦さんの姿はなかった。
それでも私は『あれ?出掛けたのかな』そんな風に思って呑気に洗濯物をたたみお風呂に入っていた。
お風呂から上がると彦さんは帰ってきていて
テーブルの上には料理がタッパーに入ったまま置いてあった。
彦「お帰り~」
私「ただいま(笑) お父ちゃんもお帰り~
これは?どうしたの?
お父ちゃん帰ったら居ないんだもん(笑)
どこかにでかけてたの?」
私は何気に尋ねた。
彦「え?今日は花火を見に行くって行ってたでしょ?
これは山田さん(職場の女性上司)がお前に持って帰れってくれた(笑)」
私「何で?花火で手料理なの?」
彦「なんでって…山田さん家で見たからだよ」
私「そうなんだ。
花火はどうだった?良かった?」
彦「んー、あまり印象に残ってないからな…
んま、花火なんてどこも一緒だよ(笑)」
私「そうなんや(笑)」
彦さんと話せば話す程、嫁の勘が働き始めた…
彦さんはウソをつくとき生唾を何度も飲み込む。
この日の彦さんはそうだった…
私「ねぇ?そういえばメール、帰ってから見たんだけど、1度帰ってからまた出掛けたの?」
私はそう聞きながら彦さんの顔を見つめた
彦「いや…お前が心配するかと思って山田さん家を出る時に送ったんだけど…お前の方が早かったみたいで(笑)」
彦さんはそう言いながら何度も生唾を飲み込んでた
私はそんな彦さんをよそに山田さんの手料理を開けてみた。
カレイの煮付けにほうれん草のお浸し。
唐揚げとエビフライに手作りタルタルソース。
サラダとご丁寧にお味噌汁が2人前の量が入ってた
私「すごいご馳走やね(笑)
しかも2人前やない???」
彦「あ、…そうだね…たくさん来てたから(笑)」
私「へぇー、そうなんだ
せっかくだから頂こう♪」
彦「俺も腹へった~(笑)」
私「彦さんは食べたんじゃないの?」
彦「んー、話しに夢中になってて
あまり食べられなかったんだわ(笑)」
私「花火を見に集まってて話し~?(笑)」
私は怪しんでいる事を隠しながらも
彦さんの一語一句聞き逃さないように話し続けた。
私「何人でお食事だったの?
あっ!このタルタル手作りじゃん♪」
彦「んー、5人かな???」
私「これ!美味しい♪
お父ちゃんも食べたら?美味しいよ(笑)
山田さんって市営住宅みたいやとこやなかった?
あそこ、そんなに広いんやね(笑)」
彦「………あ、けど2人が急に来れなくなって
結局3人だったかな?」
私「へぇ~俺、飲んだの?
記憶おかしくない?大丈夫?(笑)」
彦「………お前、さっきから何が言いたいの?」
私「なーんも。
ただ、ウソつく癖が出てるから何が本当でウソなのか気になっただけ。
私、ウソや隠し事は嫌だって言ってたよね?
私にウソついて、行かなきゃいけなかった理由が知りたかっただけだよ。」
その後、彦さんは山田さんの料理に手をつけず
黙ったまま寝室へ向かった…
この頃の私は本当に時間が足らないと感じてた。
朝は5時に起きて夜は12時過ぎに寝る生活…
仕事は楽しかったけど、午前中は家に帰ると愛犬の散歩をしてから掃除に洗濯、炊事をこなして休憩する間もなく仕事に出てた頃。
やきもちとかじゃなく、本当に『私はお前を女と遊ばせるために働いてるんじゃない』そう思った…
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