浮気。

私が実家に帰って直ぐに彦さんから何度も電話があった。










けれど、私は完全に離婚の意志が固まるまでに

彦さんと話す気になれず…

ずっと、電話口に出ることはなかった。







 



そんな私達を心配した父は

電話の子機を持って毎回私の目の前に差し出してきた。














父「おい、彦からまた電話だけど

そろそろ出てやってもいいんじゃないか?

戻るにせよ、離婚するにせよ話をしない限り進まんぞ」












父の言葉に私は悩んだ…












私が実家に帰ってから2週間。











彦さんは毎日電話をかけ続け

父は毎回私に聞いてから電話を切ってくれていた。











私「わかった。明日は電話に出るから。」












私はそう言って父から逃げた。












父はその後、何を話していたのかは解らないけど

彦さんとしばらく電話で話していた











この日のことは良く覚えてる。











明日までに気持ちを固めなくては…

と、思った私は懐かしい人に連絡した。












電話に出てくれるのか解らなかったけど…

出てくれたとしても私だと解ってくれるのか不安だったけど私はとおるさんに電話をかけた。












と「もしもし?久し振りだね」











とおるさんは私だと解ってくれた上で電話に出てくれた。











私「久し振り。元気にしてました?」










と「俺は変わらず元気だよ。

それにしても本当に久し振りだけど…どうしたの?

奴と何かあったの?」












私「あった!あった!(笑)」












と「今は実家なの?

もえちゃんが会ってくれるなら行くけど?」












私「うん。来て。」












と「解った。20分くらいで着くから

着いたらこの番号に電話するよ。」











私「解った。」










久し振りなのに、こんな簡単な会話で

私はとおるさんと会うことにした。













とおるさんとはたかひろと付き合っていた頃から

私が彦さんと出会うまで続いていた。












彦さんと出会い、彦さんと向き合うと決めた時に

「彦さんとちゃんと向き合いたいからもう会わない」と話した私に「結婚をしたらもえちゃんも解ると思うから俺はもえちゃんからの連絡を待ってる」と言ってくれていた人。












あれから2年近く会ってなかったけど

私が携帯番号を変えるまでたまに連絡は取っていた人。












そんなとおるさんと会って決心がつくとは思ってなかったけど、私はこうしてとおるさんに会おうと思って連絡した。












とおるさんが迎えに来てくれて

私はとおるさんの車に乗り込んだ。












向かう先は、ホテル。












私の初めての浮気らしい浮気の始まり。












本当に身体だけの浮気。













の、はずだった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る