離婚へ

私が荷物を手に階段を降り玄関で靴を履いていると気配に気付いた彦父が声をかけてきた。








彦父「もえ?こんな時間に何処に行く気なんだ?

その荷物はなんだ?彦は知ってるのか?」









最初は穏やかな声だった彦父は

私の荷物を確認すると少しだけ興奮した様子になった









私「ごめんなさい。ご覧の通りです…

お父さん、こんな嫁ですみませんでした。」









私はそう言い頭を下げると荷物に手を伸ばした










彦父「まて。今は行かせられない。

もう少し時間を置いて考えられないか?

彦とはちゃんと話したのか?」










彦父はそう言いながら私の手首を掴んできた。










私「彦さんとは話してないけど、解ってると思います…それに…もう少しってどこまでですか?

私はずっと、考えてました。

お父さんにも娘さんが居ますよね?

フミちゃんが私と同じような環境に居たとして

限界だと言ってるとして…それでも我慢しろと言えますか?

もう少し待てと言えますか?

私にも育ててくれて心配しながらも幸せを願ってくれてる家族が居るんです。

彦さんの借金だけならまだしも、女グセも悪い…

その上、お母さんはあんなだし…

お父さん…どこまで私は我慢すればいいんですか?

いつまでですか?


お願いです…帰らせて下さい

もう限界なんです…」











なぜ、こんなことを彦父に言ってしまったのか…









ずっと私の味方でいてくれて頭を悩ませてくれてたのは知ってたのに…








お酒を飲むと「もえ堪えてくれよ…」そう言いながら涙を流してくれてた優しいお父さんなのに…








私はこの時、自分を守るために彦父を傷つけてしまった…










彦父は私の言葉を聞きながら少しづつ

掴んでいた手の力を緩め黙ったまま私を解放してくれた。









私「お父さん…本当にごめんなさい」









私は謝るしか出来なかった…









そして、私は実家へと戻った。










「彦さんと喧嘩しちゃった」









最初はそう言っていたけど

彦母からの電話で父が知ることとなり

何度も家族と話し合い、私は離婚へ向けて気持ちを固め始めた。

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