壊れる
彦さんの出会い系問題と、借金問題…嫁、姑問題。
そして、不妊治療を続けてきていた私の身体の異変…この時期には次から次へと問題が私に襲いかかってきていた。
私の身体の問題は…病気が進行していて(腺筋症)その場所が子宮の裏側(背中側)で成長した内膜がイビツな形になってしまうようになったのと、卵巣が腫れてしまうという症状が出てしまった。
とりあえず、卵巣を休ませる為に2ヵ月間不妊治療はお休みしようとなった。
もう、私にはすがるものがなくなってしまったかのような、そんな感覚に陥った。
そして、抑えきれない怒りと不満が更なる身体の異変としてで始めた…
最初は買い物から家に帰ろうとすると手足が震え吐き気をもよおすようになった。
次に彦母が帰宅し、声が聞こえると身体中の力が入ってしまい動けなくなった…
彦父が帰宅すると、それでも勇気と力を振り絞り
何とか下へ降りて夕飯の支度はしていた。
けれど、そんな行動も長くは続けられなかった…
ある日、彦母は私のその異変に気付き部屋へとやって来た。
彦母「もえさん?聞こえないの?」
何度呼んでも返事のない私を心配してか、彦母はそう言いながら私に近付いてくる…
私の身体は硬直し、もう声すら出せないでいた。
『お願い!来ないで!私に近付かないで!』
そう心で思った瞬間と、彦母の手が私に伸びてきた瞬間だった…
恐らく私は大声で悲鳴を上げた…
彦母は驚いたような顔をして
彦母「そんなに叫ばなくても…
今日は夕飯の支度はいいから。」
そう言って部屋から出たいってくれた。
『助かった…』と、思った瞬間
次々と涙があふれでてきた。
どれくらいの間、部屋の片隅で身体を硬直させたまま泣いていたのか解らないけれど、突然部屋の電気が付き、彦さんが私の目の前に現れた。
彦「もえ?大丈夫か?どうした?」
女性問題と借金問題が発覚してからも
何度も見ていたはずの彦さんを久し振りに見るかのような、そんな感覚だった…
私は彦さんのそんな問いにも首を横に振るしかできなかった。
それでも彦さんはゆっくりと私に近付いて来た…
そして、彦母と同じように、きっと私は発狂した…
彦「ごめんな、俺の声が聞こえるか?
もえ?お願いだからゆっくりと息をして…
俺の声に合わせてゆっくり、息をして…
吸って……吐いて……」
私は気が付くと麻酔が切れかけている感じの
身体が重く視界は暗く、でも声だけは聞こえる
あの状態になっていた…
彦「もえ?大丈夫だから。
もう、誰もお前を傷つけない…
安心していいから、ゆっくり息をしてくれ…
吸って……吐いて……そう、上手だよ。
それをゆっくり続けて…」
私は暗闇で唯一聞こえてくる彦さんの声に応え
言われるように、ゆっくりと呼吸を繰り返した。
しばらくすると、ボンヤリと彦さんの顔が見え始めた…。
目に涙をいっぱいためて彦さんは私の口元に袋を当てていた。
彦「気が付いたな、大丈夫だな?」
私は何も考えることが出来ず、素直に頷いた。
この日の夜の事は覚えていないが、私は次の日
彦さんの薦めで心療内科を受診した。
診察後、心療内科の先生には次の受診はご主人と来た欲しいと言われたのは覚えている。
けれど、私はこの事は彦さんには言わなかった…
そして診察にも行くことはなかった。
第3者の人に話を聞いてもらう内に
このままでは自分が壊れると気づいたからだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます