不妊治療と彦母と…

堕胎手術をしてから数週間、私は出血も止まり

尿検査の数値も下がってしまった…







この事からひめは子宮内に居たと知った。







けれど、私にはこれ以上落ち込む訳にはいかなかった…






彦母に「嫁」ではなく「娘」として認めてもらう為には内孫を抱かせてあげるしかないと思い込み

独立したばかりの井奥先生と共に子宮の病気との追いかけっこに勝つしかないと妊娠に向け走り始めていた。






私が「娘」に拘る理由…

それは私の幼少時代にあるとこの時は気付きもしなかったけれど、今やっと気付けた。


母親という存在が欲しかった…

そして、憧れてもいたんだと。







『私だけの私の家族』に拘り『家族』は永遠の『愛』の象徴なのだと思い込んでた…








そして私は卵管造影に踏み切った。







卵管造影の後は妊娠ゴールデン期と言うらしく

とても妊娠しやすいとかで、その後は3ヶ月間タイミングを見ての妊娠を試みた。







その後は半年間、卵子をたくさん育てるための注射を毎日打ち、排卵誘発剤、そして黄体ホルモンを打ち高温期が続くのを願う日々…







私はそれでも妊娠できなかった…。







その内、甥っ子や姪っ子の声や存在が段々と疎ましくなり始め…彦母のおかず一品一品に対しての注文も私に対する言動も腹立たしいものとなって行ってしまった…







彦母「もえさん?これは何?

油もんよね?これもそう…

ハッキリ言うけど私達の歳になると夕食のおかずに油を使った料理が2品もあると食べられないの。

もっと頭を使って作ってもらえる?」


彦母「お弁当には前の日の残りは入れないで!

後、お弁当には5品以上おかずを入れてもらえる?」


彦母「お給仕さん!カレーはもう二度と作らないで。

後、粉ものを使った食事も麺を使った料理も夜はやめてもらえます?

私の言ってる意味が解る?

私達は働いてるの。日中働いて家に帰って食事がこれだとせいがでない。」


彦母「○○さん家は結婚してまだ3ヵ月だというのに子供が出来たんだって。

畑が良いと直ぐに出来るもんなのね」



彦母「彦にはもっと良い嫁さんが居ると思うの。

もえさんもそう思わない?」








不妊治療で女性ホルモンを毎日打たれている中での彦母のこの攻撃は私を精神的に追い込むには十分だった…。








『妊娠すれば…きっと変わってくれる、』


『早く子供を授からなくては…』








私は不妊治療開始から1年もしない内に焦りに焦ってしまい病院を転々とするようになった。







新たな病院を受診し、注射とタイミングを計る

それを数回繰り返し妊娠できなければ違う病院を探した…








そんな事を繰り返して行く内に月日は流れ

私は30歳を迎えようとしていた。









そんな中でたどり着いた先は体外受精を専門とした病院だった。








この頃はまだ全ての支払いは個人。









高額になる治療費を彦さんに相談するも

彦さんは協力的ではなかった…








彦「何でそんなに焦るの?

まだそこまでしなくてもいいでしょ、」








私「何でそう思うの?

子供欲しくないの?

私はいつか子宮を取らなくちゃいけないんだよ?

早ければ早い方がいいじゃん!」








この頃の私の焦りは彦さんとの仲も悪くさせるものだったような気がする…。

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