ひめ。
私達は、その子のを「ひめ」と名付けた。
ひめを失い私は3日間寝込んでしまった…
何もする気が起きず、食事も取らず誰とも話す気もなくなってしまっていた。
私が寝込んで2日目の夜に見かねた彦さんが
明日の朝に私を実家に連れていく用意をしてくれた。
この時の私は自分で荷造りなど出来るような状態ではなかった…
3日目の朝、彦さんに促され私は久し振りに布団から出た。
パジャマのまま階段を降りていくと
そこには心配そうな顔をした彦母が立っていた。
彦さんは私に「玄関で待ってて」と言って荷物を手に車を取りに一足先に家を出た。
ここで、私は彦母に初めて怒りを覚えた…
彦母「もえさん?大丈夫?
と、聞いても大丈夫じゃないわよね。
家事も何にもできないほどだもんね、
でもね、私はスルスルと子供が出来て産まれているから解らないの。
だから教えて欲しいんだけど、ご飯も食べられない程、家事も何も出来なくなるほど悲しいものなの?
毎日、胎動を感じてた訳じゃないよね?
なのに、そこまで落ち込まなきゃいけない程悲しいものなの?
私には解らないから教えて。
実家に帰らなきゃいけないほど悲しい事なの?
ねぇ?答えて。
どうなの?本当にそこまでの悲しみなの?
私は母親っていうのはツワリを経験して胎動を毎日感じて少しずつなっていくものだと知ってるけど、もえさんはそこまでじゃないじゃない?
なのにどうしてそこまで?
ねぇ?教えてよ、」
彦母のこの言葉を私はどんな表情で聞いてたのか解らない…
でも『何でこの人はこんなことが言えるんだろ?』そう思いながら聞いてた。
彦母「もえさん?泣くの?答えずに泣くの?
私の質問には答えてくれないの?
泣いてたって解らないのよ…
彦だって、もえさんがそんなんだから心配してるじゃない…。」
私は彦母に言われるまで気づかなかったけれど
いつの間にか泣いていた…
彦「もえ?どうした?」
私が何か言わなきゃ!と思った瞬間
彦さんが戻ってきてそう声をかけてきた。
彦母「彦…もえさん泣いちゃった…」
彦母はそう言うと「私は何もしてないから」と言い訳をしていたような気がする…
私は何か答えなきゃという気持ちを失い
黙って玄関へ向かった。
彦さんは彦母に何かされたのか、何か言われたのか?と必死に聞いてきてたけど私は答える気力さえ失くなっていた。
ただ、時間が経つにつれフツフツと湧いてくる怒りを抑えるのに必死になった…
結局、私は実家に1週間程お世話になった。
そして、彦家に戻ると彦母は私を名前ではなく『若嫁さん』と呼ぶようになっていた。
私と彦母の嫁、姑問題の始まりだった。
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