不妊治療の前に…
不妊治療の前に問題が1つあった。
私はまた出血と尿検査の数値が中々下がらなかった…
けれど、MRIで私のお腹の中は見えている。
見えてる範囲には赤ちゃんは居ない…
と、なると子宮内にまだ居るのか、または腹腔内のどこかに居るのか…と、先生を悩ませた。
井奥「ここまで数値が下がらないのは
明らかに赤ちゃんがまだ居るのは確かです…
ですが、どこに居るのかは解らない。
もえさんには、残酷な話しになりますが
赤ちゃんは胎盤がなければいずれ絶命します…。」
私「どこに居るのかは解らないんですか?
赤ちゃんを助ける方法はないんでしょうか?
どこに居るのか探してもらえませんか?」
井奥「残念ですが成長できない赤ちゃんを探すのは難しいです。
赤ちゃんはいずれ絶命し、もえさんの身体が吸収してしまうのが現実です…。」
私は絶句した…。
井奥「万が一子宮内に居るとしたら…
子宮は吸収する能力がないのでそこで赤ちゃんは腐ってしまいます…その万が一を考えてやはり堕胎手術を…」
私「それは赤ちゃんが子宮内に居る可能性が全くない訳ではないということですか?
逆に数値が下がらないと言うとこは子宮内に居ないとしても存在はしてくれてるんですよね?
なら、もう少し私はこのままで赤ちゃんの生命力を信じたいです。」
井奥「先日、ご主人も交えて話させて頂きましたが
もえさんの場合は妊娠を急がれた方が…」
私「今まさに私はその妊娠をしてるんですよね?
なら、急がなくても生理は来ないですよね?」
井奥「そこまでおっしゃるのなら…
ですが、このままでは子宮内で赤ちゃんの腐敗が始まるかも知れません。
それは危険を伴うことなのだとご理解下さい…」
私「わがままばかりですみません…
でも、もう少しだけこのままでお願いします…」
井奥「大丈夫ですよ。
ただ1つ。少しでもお腹に違和感や痛みを感じたら
いつでもいいので診療を受けて下さい。」
私「はい…」
井奥先生とのこの会話の後、直ぐに私は腹痛を感じ
この病院を受診。
その日はお休みだった井奥先生の代わりの
別の先生の手で堕胎手術を受けた…。
その処置は局所麻酔で行われ
ガリガリという子宮内の感覚と痛みでとても耐え難いものだった…
処置の後、私は彦さんに懇願し病院を後にした。
帰り道、吐き気に襲われ何度も車を止めてもらい
もどし、私は泣いた…
彦さんはそんな私の背中を優しくさすってくれていた。
この日、結婚して初めての大晦日の日に
私達はまた子供を失った…。
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