八つ当たり

最後にやっと名前を呼ばれ私は診察台へと上がることができた。








診察の結果は『出血が多く診察不可能』とのこと。







そして、紹介状を持って大きな病院へ今から向かえと…






時計に目をやると13時前だった。






前回の緊急手術となった時の記憶が蘇る…






『もし、今回も双子で…とかってなったら嫌だな…

そう言われたら誰に連絡すればいいんだろう?』






そんなことを考えながら私は紹介状を待った。






受付「もえさん、お待たせ致しました。」





受付の人に呼ばれ私はこの病院でのあの扱いを思い出してしまった…





『もしも、あの時、ちゃんと受付してくれて

早めに診てもらえてたら…まだここまでの出血じゃなかったのに…』




私の中でどんどん怒りが込み上げて来た。





『保険証に拘るからこんな事になったんじゃないの?』


『もし、私が貧血で倒れたらどうしてたんだろ?』





そんな事を考えながら私はゆっくりと立ち上がった。





私「はい。」





受付「お待たせしました。いくらです。」





受付の人はあくまで事務的な対応。





私も無表情でその対応に答えた。





看護「あ、もえさん。これ紹介状です。

お待たせして本当に申し訳ありませんでした、

大丈夫ですか?お一人で行けます?」





怒りであまり覚えてないが

そんなことを言われたような気がする…





私「もう、この子は助からないんですよね?

何が大丈夫で何が大丈夫じゃないのか解らないですけど(笑) とりあえず行きますので。」





優しかった看護師さんにこんな言い方をしてしまった。






看護「本当に申し訳ありませんでした

お気を付けて…」






私「どうも(笑)」





私はこんな感じでこの病院を後にした…






紹介された病院に付き、受付を済ませ

また、誰も居ない静かな閑散とした病院の長椅子に私は1人腰かけた。






看護「あ、もえさん?」






産婦人科の診察室の中から看護師さんがそう言いながら出てきて私の横に座った。

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