第10話 EXスキルと加護について

 どこに向かっているかは分からないがマリアの後ろを付いて行く。道中、マリアが使う暗黒騎士を見たプレイヤー達がヒソヒソと話している。

「暗黒騎士だ…」「初日にインしてないから辞めたって噂だったのに…」「本物はカッコいい…」「どうせ中身はおっさんだろ」

 周りから色々言われている。暗黒騎士ってそんなに有名だったのか。


「着いたよ」


 歩いて3分ほどで目的地に到着した。ここは店か?少し上を見ると看板があり【宿屋 安心し亭】と書いてある。


「宿屋は自分とパーティーメンバーしか入れない『マイルーム』っていう部屋があるの。マイルームでなら聞かれたくない話も出来るでしょ」


 そう言い、宿屋に入って行く。続けて入るとメニュー画面が表示される。

【暗黒騎士のマイルームに行きますか?〈YES〉〈NO〉】と現れたので〈YES〉を選択すると気がつけば部屋の中にいた。部屋は隅にベットが置いてある。右を見ると大きめの棚があり真ん中には小さな机と椅子が置いてある6畳ほどのシンプルな部屋だった。


「適当に座っていいよ」


 言われて椅子に座る。目の前に暗黒騎士がベットに座る。


「私が目の前で違う動きしてるのって変なかんじだね。名前は私の名前に似たかんじにしたんだ」

「嫌だったか?」

「別にダサい名前とかじゃないし良いよ」


 声的に笑ってるかんじはしているが仮面のせいで全く表情が分からない。


「それよりジョブ何にしたの?何か加護貰えた?」

「ジョブは召喚士と格闘家にした」


 小さく「え?」と声が聞こえ数秒ほど間ができる。


「……召喚士ね!なるほど!召喚獣と一緒に戦うかんじね」

「あと覚醒ジョブってのとエクストラスキルと妖精女王の加護っていうのを貰ったんだけど」


 小さく「え?ユーゴも…」と聞こえた気がした。


「覚醒ジョブは知ってるよ。タイミングがきたら覚醒して珍しいジョブが使えるようになるって噂だよ。エクストラスキルはどんなのだったの?…って聞いて良いのかな?手の内を晒すことになっちゃうけど?」

「別に良いよ。効果の意味が分かりづらいからマリアに聞こうと思っていたし」


 エキストラスキルの『完全装備』の効果を説明する。


「反則だよ〜」


 説明し終わると暗黒騎士の仮面のせいで感情は分からないが、マリアは呆れたような羨ましがるような言い方をした。


「やっぱり強いのか?」


 小さく「う〜ん」と言いながら、どう説明しようか考えている。


「このゲームってジョブは決まった物しか装備できないの。でも『完全装備』があれば好きなものを何でも装備できるんだから最強過ぎでしょ!」


なるほどと思い、後半の意味も聞こうとしようとしたらマリアが説明を始めてくれた。


「あとステータスがプラスされないってのは簡単な算数だね、自分のATKが10で装備して増えるATKが50だとして、本来なら足して60になるけど『絶対防御』は自分のステータスが足されないから装備の50だけになるってことだと思うよ、たぶん。きっと」


 なんか最後の方は自身失くなってきてないか?まあいいか。


「ありがとう、なんとなく分かったよ。あと加護なんだけど『妖精女王の加護』っていうの何だけど」


『妖精女王の加護』について説明する。


「これも反則レベルに強過ぎ」

「そんなにかな?」


 よく分からなかったので聞いてみる。


「このゲームって確率が結構関わる効果が多いんだよ。例えば状態異常とかは『低確率で麻痺になる』とかだから簡単な話、ユーゴには状態異常の効果が効かないって事だよ」

「それは凄いな…」


 状態異常にならないって強いな。


「あと錬金とかの生成系も確率が関わるから生成系も無双できるね。ていうより始まりの鐘を鳴らしたのも加護のおかげだと思うし、ヤバすぎ」


 もしかしたら、あの時のクイズのボタンみたいな音は確率の勝負に勝った音だったのかな?


「どんだけ運あるのユーゴ。でも他の人には絶っっっっ対に言ったらダメだよ!パーティーに無理矢理入れられたり羨ましがる人も多いし嫌がらせとかされるかもだから」

「わかった」


 コクリと頷き約束する。

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