第5話 【Equip Adventure World】について
「相談?ってなんだよ?」
実は今はゲームが壊れていて出来ませんとか言わないだろうな。
「実はな、ユーゴの使っていた暗黒騎士ってキャラはな」
「待って、俺ってそんな名前のキャラ使ってたのか?」
キャラ名が気になりすぎて話を遮って聞いてしまった。
「ああ、お前は…そうだな説明するのが面倒くさいが【Equip Adventure World】は製作会社に自分の顔と全身をあらゆる角度で撮影した写真を送って写真を元に自分そっくりのキャラクターを作んだ。そんで素顔をゲームで晒したくないお前は顔も体も黒い鎧で隠してプレイしていたから、自分のキャラ名を『暗黒騎士』ってのにしたんだよ」
なるほど、確かに素顔でするのは嫌だな。記憶を無くす前の俺も今の俺も性格は変わらないんだと知って少し嬉しく思った。
「ごめん、それで相談って?」
自分で止めておいてアレだが強引に話を戻す。
「ああ、【Equip Adventure World】にはプレイヤーのランキングがあって、お前の使っていた暗黒騎士はランキングで上位に入る強さだった」
「それで?」
強いなら誰も寄って来なさそうだし楽そうだな。
「今回の続編の【Ner Equip Adventure World】は前作のステータスもランキングも始めての状態からスタートするから上位に入りたいって奴は最初にステータスが弱い状態の暗黒騎士を倒したがるはずだ」
たしかに、前作のやり方を知らないうえにステータスが低い上位ランカーなんて良いカモだな。
「じゃあどうしたら良いんだよ?プレイヤーに逃げながら冒険しろて忠告したいのか?」
「いや、それだと暗黒騎士の順位も評判も下がるし、このゲームをやりこんでいたユーゴの記憶が戻った時に『逃走騎士』なんて異名になっているのは可哀想だからな。だから相談したい」
逃走騎士か嫌だな。
「それで相談って?」
「マリアのキャラとお前のキャラを入れ替えてプレイする」
俺が見た目マリアのキャラを使って、マリアが暗黒騎士を使うのか。いや、でも…
「マリアが使ったとしてもカモにされるんじゃないのか?」
当たり前の疑問を聞く。むしろ俺よりもカモにされそうな気がするしな。
「安心しろ、マリアはゲームがかなり得意だ。俺やお前もマリアにゲームで勝った事がない。あるけど7歳までは勝っていたが、そっからは俺たちは勝った事がない」
マジかよ。もしも本当なら俺の暗黒騎士を任せても良いかもな。
「分かった。こんな状況で嘘つくとは思えないし、もしも俺の記憶が戻った時に暗黒騎士の評判が下がっていたとしてもマリアの所為だったら俺も許すと思うし入れ替えてしてみるか」
兄の横で小さく「よっしゃ!」と聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
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