第八話
ギルドを出た三人は、酒場で食事をすることにした。途中でアンがルディを連れてきた。
「それで英雄様が何でこんな田舎町に来たんでしょうか?」
「それはね、数日前にこの辺りで帝国から指名手配されている者の魔力が観測されたからだよ。」
アーサーの言葉に俺はゴブリンを操っていた女の事を思い出した。わざわざ教えてやる事はないが。
「へぇ、そんな事が。しかし英雄様が出張ってくるって事はそんなに危険な人物って事なのか?」
「いや、なぜ指名手配犯なのか詳細は秘匿されていて聞けなかったけど帝国内で禁術を行おうとしたらしい。それがどんな物かも僕には分からないが。帝国として看過できる物ではなかったということさ。元々は別の騎士団が調査部隊として派遣される予定だったんだがゴルゴン王との戦争が長期化しているらしく僕の騎士団の方が先に帝国に戻って来たんだよ。それで僕の方から調査を願い出たってわけ。」
「随分働き者だな。帝国の英雄様が直々に調べるんだ。そいつも可哀想なこった。」
「僕は剣の腕以外は普通の人間だよ。ここに来る途中も話を聞いて回ったけどどうやら人のいるところには姿を現していないんだよ。でも幸運な事にこの町のギルドで聞いた所数日前に村が襲われた事件があったらしくそれを僕が知っている人物が解決したと聞いてね。あぁ、これはその者と共に行けという神様のお告げなんだと思ったね。」
剣の腕以外って自分で剣の腕は普通じゃないって認めてんのかよ。
「へぇー、あんたの知り合いがこの町にいるなんて初耳だよ。良かったじゃないか、頑張れよ。俺達は色々忙しいから手伝ってやれないが無事見つかるといいな。」
「レオ、どうしてそう冷たいのよ。さっきの話、あたし達が行った村の話でしょ?それならレオが森の奥に一人で行ったんだから手配犯のことも知ってるんでしょ。」
「そうです。誰かがゴブリンをけしかけていたのならまた同じ事が起きないとも限りません。是非協力しましょう。」
くっ、裏切り者が。いつからアーサー陣営に寝返ったのだ。こいつに関わったらどんな間に合うか分からないというのに。
「ありがとうアンさんルディさん。レオ、僕からも頼むよ。」
あの女が一体何をやらかしたかは知らないが全く面倒な事をしてくれる。
俺は深いため息をついてアーサーに答えた。
「取り敢えず明日そいつがいたところに連れて行ってやるよ。けど何も期待しないほうがいいぞ。ただの森だから。」
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