龍の町に星が降る

てつひろ

 きっと失くしてしまったものがある。

 きっと忘れてしまったことがある。

 懐かしさにも似た想いは体の中を広がって指先でさえ感じる。

 だけどこの手は空を切るばかりで何も掴んではくれない。

 自分一人では何一つ思い出すことが出来ない。

 ただ空を見上げては込み上げた切なさを堪えて風に揺れる花と笑う。

 ああ、このまま、行かなければいけないのかな。

 時間は確実に迫ってきている。

 この胸の切なさを抱えたまま行けるのだろうか。

 

 そんな時、彼女が現れた。

 彼女はこんな私のお願いにほとんど考える間もなく答えて、そしてこともなげに笑った。


「私を探して」

「任せてください」

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