誰が為に筒を持つ
@Marshal_WT_53
プロローグ
なぜここにいるのだろう。
どこへ向かっているのだろう。
私はパン屋で働いていたはずだ。
父と母と妹と。
毎日パンを焼き、街の人々へ売り出していた。
鳥がさえずり、人の話し声がラジオのように心地よかった。
私はなぜこんなところへ来ているのだろう。
なぜこれを持っているのだろう。
なぜ私は・・・
・
・
・
「ぼさっとするな新兵!ほら早く行った行った!」
急かすような言葉と同時に背中に強い衝撃が加えられたと思うと意識が現実に引き戻され、目の前がチラチラと点滅するような感覚に襲われる。
周りは煙に覆われ、硝煙の臭いが充満した街。
私が過ごした街ではない街。
ここは楽しかったあの街ではない。綺麗だったあの街ではない。
ここはただただ殺伐とした戦場なのである。
誰が為に筒を持つ @Marshal_WT_53
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