抵抗3

『死にたいんだろ』

『もうメンヘラずにすむな』

『ほら、最終クオーターで後輩に攻撃丸投げしたろ』

『ほらはやくネット開いて助け求めれば?』

『苦しんで死にたくない』

『はやく死んで仕舞えばいいのに』

『こうやって考えてるのもお前だろ』

『ほらあの子もサボってたし』

『うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい……』


 私の否定から人格の否定、更には友人の否定まで始める始末。私は私の思考を止めたいのに私はそれを止めたがらない。言い訳は言い訳を生み、自分に弁解するなんて不可解な状況が起こりうる。

 一度知り合いに聞いてみたことがある。自問自答はしないのかと。知り合いはすると答えた。ただ、そんな自分からその自問を振りほどけないことはない。やめようと思えば辞められる、とも言った。自分で自分を問いただすなんて訳の分からないことがどうして起こるのか。何度も何度もやめようとした。


『そうやって考えることからまた逃げるんだな』


 と、私はぽつりと言うのだ。真顔で目をしっかり合わせて。何故かわからないがそれに私は怯むのだ。怯もうが怯まなかろうが、どちらにせよこの永遠ともいえるループは終わらないのだが。

 私は何に怖がり、なぜ私を言及するのか。なにか考えることから逃げてはいけない理由があるのか。


『お前如きに逃げなきゃいけない程追いつめられることなんてねぇよ、逃げんな』


 私は自己肯定感の低さゆえに私にはっぱをかけられ私に否定されるのだ。私は私に怖がり、更に私のせいで精神を破壊させていく。援護する私を私は援護なんかするなと戒めるのだ。

 



 私はどれで、私は誰なのか。

 そもそも誰が私なのか。

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