抵抗

抵抗1

 私は私に抵抗する。

 

 中学生の頃、部活の最後の大会があった。小学生のころからやっていた競技で、高校でもやる予定がなかったので正真正銘最後の大会だった。負けた。周りの同級生も後輩も皆泣いていた。皆、今までの練習の努力を悔いていた。私は悔やめなかった、私のせいで。


 その日の夜はひたすらに自分との対話だった。私とて悔しかった、ただ私を私は否定した。


『お前は悔しがるほど努力していない』

『私だって9年やったんだから』

『本当に努力したって言えるのか、たまたまこの部活に経験者がいなかっただけだろ』

『したさ』

『じゃあ泣けるはずだ』

『お前が邪魔したんだろ』

『だってな、お前泣いてる自分想像してみ、気持ち悪いだろ』

『お前きもいぞ』

『そんなこと考えてどうすんだ』

 

 私は私と対話すると言ったが二人だけではない。私を擁護してる私が居て私を否定する人がいると思えば、別の視点から見た私が居、擁護してる私はそれに納得し、それに対して私は私に対抗する。どれが私なのかわからない。私が私に抵抗している筈なのに私は一人達観している。


『そうやってまた現実から逃げる、その姿が一番かっこつけてんだろ』

『そんなことないさ』

『じゃあどう考えてんだよ』

『どうせなんも思ってないんだろ』

『周りに合わせようと悔しがってるだけ』


 論点はずれ、私は私となぜ悔しがっているのか対話し、その間に私は私と私について話す。ふと時計を見るとベッドに入って電気を消してから2時間弱。未だ夜は始まったばかりだった。

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