第76話
「うっ……うう……」
「…!?秋?」
「あ、ああ……リアか…」
「どうしたの?」
「ああ、少し無茶をしてな…おかげで疲れた」
「…ん。無事で何より」
こうして、夜天の世界にこもりっぱなしの秋がようやく帰ってきた。
「どれぐらい時間が経ったんだ?」
「ええ、2分でございます。マスター」
「ああ…そんなに経っていたのか…」
夜天の世界では時の流れ方が違う。夜天の世界では元の異世界よりも時間の流れが遅い。そのためスキルの創造に少しばかり時間を使ったところでせいぜいが10秒ほどしか現実世界では経たず、現実世界だけからなら10秒の間気絶していただけというそこそこの光景で終わってしまうのだ。
だが今回は2分という短いが長い時間が経った。もちろん理由は明白だ。秋が重大な決断とそれに至るまでの長考を繰り返していたからだろう。おおよそだが夜天の世界にいた時間は合計で体感時間にして約2時間。そしてそれが2分に縮小したことから、おおよそ夜天の世界と現実世界とでは1時間当たりの時間が1分に当たるのだろう。
「この世界で2分という事は…相当スキル創造に時間をかけていたようですね。こちらからも観測しておりましたが、途中マスターの力の結晶がいくつも消えていくのが確認されました」
アルタもまた、秋の魂世界を覗ける者の一人である。故にそれぐらいの事は分かってしまうのだろう。
「ああ。考えた結果だが、俺の持っていたスキルの中でも中核以外のスキルを全て消した」
「……!!!……マスターがそこまでする理由とは…………まさか、スキルの再構成ですか?」
「ああ、よく分かったな」
「そうでございましたか……」
アルタもこれまた驚いた。秋がそこまでするとは予測できていなかったのだ。
「だがおかげ様で新しい力を手に入れることに成功した。俺はまた強くなれる」
「そうですか、主の望みは我が望み。私も主の目的に近づけたこと。誠にお喜び申し上げます」
こうしてアルタとの話は終わり、置いてけぼりを食らっていたリアが話を聞きながら顔を斜め45度に傾けていたのを見て秋は思わず笑みをこぼした。
「……どういうこと?」
「ああ、それはだな――――」
秋はスキルのあらまし等を詳しく、ある程度かみ砕いて説明する事3分。
「秋……それ、人間ができるの?」
「うっ…言葉が辛い…」
「秋が言ってること全部正しいなら、秋はほぼ万能の力を持ってることになる。正直言って考えられない」
「ああ、でも、それでも事実だ」
「…秋はすごい」
「ああ、せっかくならそれだけ思ってくれたら俺も楽で鼻が高いぞ」
「そうした方がいい?」
「おう」
「じゃあそうする。秋はすごい」
「そう、それだけでいい。まあいつかは全てを知るときも来るだろう。多分な」
「それは知ってみたい。その力秘密の奥の奥。気になる…」
「まあ確かに、現地人からしてみれば、スキルという言ってしまえば神からの授けものを俺は自由に作って勝手に使えるんだもんなぁ…これがリアだったからよかったが、現地人が聞いたら正気を疑うか卒倒して倒れるかだなこりゃ」
そして秋は改めて自らの出鱈目さを知ったところになったのだった。
「それで、これからどうするのですか?」
「ああ、そうだな…まだ残りの中でも作り切れてないスキルがある。それを創造しておきたい」
「了解いたしましたマスター。ちなみにもう固まっているので?」
「ああ。ある程度はな」
「そうですか…。私の方もサポート等で対応はできますがどうしますか?」
「いやいい。最初のスキルだ。創造の仕方も前回とはまるで勝手が違う。おそらくだが取り扱える構成要素が増えたおかげだな。そのおかげでスキルを創造できる環境なんかも進化して行ってると思うから、少しでも慣れておかないと今後に響くかもしれない」
「了解しました。マスター」
「ああ」
こうして秋は少しばかりの談笑と共に休息を挟み、再びもう一つの夜が送る夜天の世界へと足を入れる準備を進めていた。時刻はすっかり夜になっている。
宿屋の一室で確実に強者への階段をまた一歩上った秋。もう日は完全に落ち切り、月夜のみが異世界を照らすこの夜に、秋は再びもう一つの夜を迎える夜天の世界へと潜ったのであった。
◇
「よし、やりますか」
そう秋は決意を込めたような間の抜けた声を響かせた。ゆっくりと構成要素を加え、精神を集中させ神経を尖らせていったのだった。
そして秋は潜った夜天の世界で、またしても新たに創造したスキル。それは合計で4つ。
それらすべてが新しい夜天の世界の祝福を受け、新たに強化され生まれた新スキルとして生まれ変わったと言っても過言ではないだろう。
「ふう……最後の一つだ」
そして創造された4つのスキルの詳細がこれだ。
==========
メーベル=ブルームの皇盾
究極の防護を求めた男が至ったスキル。仲岡秋専用スキル。
◇メーベルの盾
スキルを任意で発動できる。このスキルが発動した際にはステータス等の上下に関係してそのダメージや衝撃をカットすることができる。
◇ヴァリアーセの盾
スキルを任意で発動できる。このスキルが発動した際。発動の初めのみ魔力を消費して一時的に『メーベルの盾』のカットの割合を上昇させられる。
◇ブルームフィードの盾
スキル所持者が生命の危機に瀕する攻撃を受けると判断した際に発動される。その攻撃を一度だけ90%カットする。1日一度のみしか使用できない。
==========
◇
==========
皇帝の隻眼
究極の眼を求めた男が至ったスキル。仲岡秋専用スキル。
◇『皇帝眼』
常時発動。千里眼・魔眼・透視・時空眼・王魔眼・叡智眼の能力の内どれか二つを同時に発動することが可能。皇帝眼のスキル能力以外でこのスキルたちを発動させることはできない。ただしこのスキルを通してのみ魔力消費を25分の1にまで減少が可能。
・王魔眼
自分を中心に半径30mの範囲の全てを観測する事の出来る能力。障害物等一切を無視して相手の魔力などを確認する事が出来る。だが詳細な状態や状況などは確認することはできない。あくまでも魔力の様子と漠然とした情報のみを伝えることができる。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・叡智眼
“見たいものを見る事が出来る”能力。発動条件としては必ず確固たるイメージを常に思い浮かべ、その目に一定量の魔力を流し込むと発動する。だがその際目に全意識を向けておかないとならないため、体を動かしながら、などの作業は不可能。そして高確率で気絶などの効果がかかってしまう。発動にはある程度のリスクがかかる。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・時空眼
魔力を注ぎ込む事で発動する。魔力が一定量注ぎ込まれている間のみ、2~5秒間後の未来を知ることができる。ただし魔力消費は多く、発動には注意が必要。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・魔眼
魔力を見通すことのできる眼。それらの魔力は術式などの魔力なども見通せ、自然に存在する魔力か、人が術式として使っているかどうかなど様々な事が魔力を通してみることのできる眼。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
==========
◇
==========
最終王化
究極の絶対を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル
◇王化
任意発動。得られる経験値・ステータス上昇幅・スキルレベルなどが全て使用者の意思によって最大5倍まで増加させられる。
◇最終王化
任意発動。全ステータスを5倍まで、3分間の間強制的に引き上げる。効果終了後に強制的に意識をシャットダウンする。
==========
◇
==========
帝王の宝異箱
絶対の普遍を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル。
◇帝王の宝箱
異空間に物体を収納できる。生命体は不可能。容量は無限。
◇帝王の時空箱
異空間に収納した物の時間を遅くしたり早くしたり、戻したりすることができる。
◇帝王の私用箱
入っているものを調べることができたり、ロックをかけたりなどの便利な機能を付け加えることができる。付け加えるときはスキルに魔力を通して念じることで付け加えることができる。
==========
◇
「よし……俺は、また一つ。強くなれた……待ってろよ。陽」
こうして秋はこの夜天の世界にさよならを言い残し、この世界のどこかにいる陽を探すべくまた決意を新たに明日を迎えるべく眠りについた。
◇
==========
仲岡秋
15歳
職業:???
レベル:156
ステータス
筋力:70100
体力:68100
魔力:320000
魔耐:225000
俊敏:67500
スキル
・スキルランダム創造
・運命と次元からの飛翔
・アルタ・セラフィム
・魔剣創造・皇
・魔防具創造・帝
・極武皇闘術
・創皇魔導法
・メーベル=ブルームの皇盾
・皇帝の隻眼
・最終王化
・帝王の宝異箱
==========
◇
==========
【魔剣創造・皇】
魔剣を創造する事に究極を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル
◇皇魔剣創造
魔剣を思うがままに創造できるスキル。一切の縛りは存在せず。ただ自分の思うがままに魔剣を創造することができる。
魔力消費は存在しないが、『ある一定』のラインを超えた際には魔力の消費が発生する。
◇皇魔剣異界保存術
一度創造した皇魔剣を異界へと保存することができる。容量は無限。
◇皇魔剣複製術式<アルカイーダ>
一度創造した皇魔剣はもう一度創造する事ができる。魔力消費は発生しない。
※このスキルは【魔防具創造・帝】との二対で一つのスキルとなる。
==========
==========
【魔防具創造・帝】
魔の力を持つ防具を創造する事に究極を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル。
◇帝魔防具創造
帝魔防具を思うがままに創造できるスキル。一切の縛りは存在せず。ただ自分の思うがままに魔防具を創造する事ができる。
魔力消費は存在しないが、『ある一定』のラインを超えた際には魔力の消費が発生する
◇帝魔防具異界保存術
一度創造した帝魔防具を異界へと保存することができる。容量は無限
◇帝魔防具複製術式<ヴァースレイク>
一度創造した帝魔防具を複製することができる。魔力消費は発生しない
※このスキルは【魔剣創造・皇】との二対で一つのスキルとなる。
==========
◇
==========
極武皇闘術
究極の力を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル。
◇極武
全ての武器の扱い方に関して達人級以上に扱うことができる。常時発動可能。発動のON・OFFも可能。
◇皇闘
様々なありとあらゆる武術を魔力を消費して一時的に武術の合成や再現を行う事ができる。魔力消費はこのスキルを発動したときに常時消費する。
==========
◇
==========
創皇魔導法
究極の魔術を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル。
◇創造魔術
魔術を創造して放つことのできるスキル。番外系統・基本系統などを一切無視して魔術を創造することができる。魔術の創造には魔力を消費しないが、創造した魔術は発動する際には魔力を消費する。消費する魔力は様々な事象から統合されて決められる。
◇普遍魔術
人々が最も得意とする四属性とある程度の番外系統の魔術を一切の縛りなく扱う事ができるスキル。魔術の発動には魔力を消費する。
現在扱う事のできる魔術
火属性・水属性・風属性・地属性
光属性・闇属性・雷属性
==========
◇
==========
メーベル=ブルームの皇盾
究極の防護を求めた男が至ったスキル。仲岡秋専用スキル。
◇メーベルの盾
スキルを任意で発動できる。このスキルが発動した際にはステータス等の上下に関係してそのダメージや衝撃をカットすることができる。
◇ヴァリアーセの盾
スキルを任意で発動できる。このスキルが発動した際。発動の初めのみ魔力を消費して一時的に『メーベルの盾』のカットの割合を上昇させられる。
◇ブルームフィードの盾
スキル所持者が生命の危機に瀕する攻撃を受けると判断した際に発動される。その攻撃を一度だけ90%カットする。1日一度のみしか使用できない。
==========
◇
==========
皇帝の隻眼
究極の眼を求めた男が至ったスキル。仲岡秋専用スキル。
◇『皇帝眼』
常時発動。千里眼・魔眼・透視・時空眼・王魔眼・叡智眼の能力の内どれか二つを同時に発動することが可能。皇帝眼のスキル能力以外でこのスキルたちを発動させることはできない。ただしこのスキルを通してのみ魔力消費を25分の1にまで減少が可能。
・王魔眼
自分を中心に半径30mの範囲の全てを観測する事の出来る能力。障害物等一切を無視して相手の魔力などを確認する事が出来る。だが詳細な状態や状況などは確認することはできない。あくまでも魔力の様子と漠然とした情報のみを伝えることができる。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・叡智眼
“見たいものを見る事が出来る”能力。発動条件としては必ず確固たるイメージを常に思い浮かべ、その目に一定量の魔力を流し込むと発動する。だがその際目に全意識を向けておかないとならないため、体を動かしながら、などの作業は不可能。そして高確率で気絶などの効果がかかってしまう。発動にはある程度のリスクがかかる。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・時空眼
魔力を注ぎ込む事で発動する。魔力が一定量注ぎ込まれている間のみ、2~5秒間後の未来を知ることができる。ただし魔力消費は多く、発動には注意が必要。
(このスキルは『皇帝眼』を通してしか発動できない)
・魔眼
魔力を見通すことのできる眼。それらの魔力は術式などの魔力なども見通せ、自然に存在する魔力か、人が術式として使っているかどうかなど様々な事が魔力を通してみることのできる眼。
(このスキルは『皇帝眼』をとしてしか発動できない)
==========
◇
==========
最終王化
究極の絶対を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル
◇王化
任意発動。得られる経験値・ステータス上昇幅・スキルレベルなどが全て使用者の意思によって最大5倍まで増加させられる。
◇最終王化
任意発動。全ステータスを5倍まで、3分間の間強制的に引き上げる。効果終了後に強制的に意識をシャットダウンする。
==========
◇
==========
帝王の宝異箱
絶対の普遍を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル。
◇帝王の宝箱
異空間に物体を収納できる。生命体は不可能。容量は無限。
◇帝王の時空箱
異空間に収納した物の時間を遅くしたり早くしたり、戻したりすることができる。
◇帝王の私用箱
入っているものを調べることができたり、ロックをかけたりなどの便利な機能を付け加えることができる。付け加えるときはスキルに魔力を通して念じることで付け加えることができる。
==========
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます