第75話
「…………はぁ……」
夜天の世界で、一つため息が木霊した。秋は人外から、たった今只の人へと戻った。
(さて、ここからが賭けだ。スキルの創造。今から作るのは実用性のあるスキル。自分が使いこなせるスキル。自分が使い、その力を100%まで引き起こすことのできるスキルだ。)
秋は再び決意する。もう後戻りはできない。ここで作られたスキルが今後の新たな二代目として、秋の生命線へと成っていくのだ。
「じゃあ、作るか。」
こうして、覚悟の籠った秋の言葉が、夜天の世界に木霊した。
◇
(まずは……あれだな)
秋の指す“あれ”とは、最も使用頻度の高かったであろうスキル。魔剣を使役する人の業成らざるスキル。元の名を【真魔武具創造】
そして秋は力を込めて形をイメージする。構成要素の星々が光を放ち、その光はやがて秋の立つ地面へと降り立つ。そしてそれらが形を成し、球体と至り、それらが群れを形成する。それらは秋の周りへと集まり周りを回り始める。一つ。二つ。やがて何百ともあろう構成要素がグルグルと周りはじめ、そして秋の眼が閉じられる。
(わかる……これはすごいぞ…)
秋の頭の中には、鮮明に構成要素の詳細が頭の中に浮かぶ、頭の中で必要な構成要素。足りないと思っていた構成要素が直感で伝わってくるのだ。
そう、夜天の世界がついに秋に祝福を授けたかのように。
(これはいける……いけるぞっ!!!)
秋の心が高ぶる。自分の思い通りに形になる。思った通りの形になる。スムーズに、全く違和感を感じさせない。素晴らしい。間違いなく会心の出来となるに違いない。そう確信するまでに至る。
その間にも集まってきた構成要素は千を超えた。そしてついに形を成し始める。すべては秋の思うがままに。
そして完成したのがこのスキルだ。
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【魔剣創造・皇】
魔剣を創造する事に究極を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル
◇皇魔剣創造
魔剣を思うがままに創造できるスキル。一切の縛りは存在せず。ただ自分の思うがままに魔剣を創造することができる。
魔力消費は存在しないが、『ある一定』のラインを超えた際には魔力の消費が発生する。
◇皇魔剣異界保存術
一度創造した皇魔剣を異界へと保存することができる。容量は無限。
◇皇魔剣複製術式<アルカイーダ>
一度創造した皇魔剣はもう一度創造する事ができる。魔力消費は発生しない。
※このスキルは【魔防具創造・帝】との二対で一つのスキルとなる。
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【魔防具創造・帝】
魔の力を持つ防具を創造する事に究極を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル。
◇帝魔防具創造
帝魔防具を思うがままに創造できるスキル。一切の縛りは存在せず。ただ自分の思うがままに魔防具を創造する事ができる。
魔力消費は存在しないが、『ある一定』のラインを超えた際には魔力の消費が発生する
◇帝魔防具異界保存術
一度創造した帝魔防具を異界へと保存することができる。容量は無限
◇帝魔防具複製術式<ヴァースレイク>
一度創造した帝魔防具を複製することができる。魔力消費は発生しない
※このスキルは【魔剣創造・皇】との二対で一つのスキルとなる。
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「おお……おお。おお!!!」
秋の声が夜天の世界に木霊した。それは間違いなく昔の魔剣創造スキルの持ち味を継承しながら、シンプル。実用性もあり、そして何より魔力消費が発生しないという弱点を補ったスキル。その完成度の高さに秋は思わず声を漏らしたのだ。
「これはすごい…。すごいぞ。これは」
そして興奮が収まった秋は、この世界でこのスキルを眺めながら考える。
「スキルは分解しても大丈夫と、このスキルは、スクラップ&ビルドの作戦が成立する…か」
そう、スキルを分解してほとんど同じ能力のスキルを作ることはできた。さらに分解した魔剣創造のスキルの構成要素もこの新しいスキルの中で6割ほどが使われていた。つまりこれは分解したスキルの構成要素も問題なく使えるという事だ。
これが分かっただけでも大成功なのに、秋はさらに自身の生命線を太く強くすることに成功したのだ。大成功と言って差し支えないだろう。
◇
次に秋が新たに作り始めたのは、何も持たない少年に武とは何かを教えてくれた武のスキル。元のスキルの名前を【完全武装術】
構成要素が形を成し、群れを成し、そして再び形を成していく。個体から群体。軍隊から個体へとたった一人の絶対的権限を持つ主の元に、その力を振るわんと完全なる個に進化していく。
こうして進化した先にできたスキルがこれだ。
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極武皇闘術
究極の力を求めた男のスキル。仲岡秋専用のスキル。
◇極武
全ての武器の扱い方に関して達人級以上に扱うことができる。常時発動可能。発動のON・OFFも可能。
◇皇闘
様々なありとあらゆる武術を魔力を消費して一時的に武術の合成や再現を行う事ができる。魔力消費はこのスキルを発動したときに常時消費する。
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「おお……さすがだな」
二度目の成功を収めた秋は、確かな感触と感覚を掴めたことに確かな成長を覚えながら、【完全武装術】を【極武皇闘術】へと進化する事に成功した。
この【極武皇闘術】への強みは、なんと言っても『皇闘』だろう。このスキル能力の効果は、魔力を支払えばどんな武術でも、たとえ見ていなくてもその武術の再現が可能という事にある。自分がどんな動きをしたいか、などを念じることでそれを武術の技に当てはめ最高の攻撃力や火力として放つことのできる使い勝手のいいスキルなのだ。
「さすがだな…俺も、進化しているというか…それでも、強いことはいいことだ。さて、次のスキルを創造するか…」
こうして秋は次のスキルを創造する。次に創造するスキルは、仲岡秋の魔術の全てを統べていた至高の魔術系スキル。元のスキルの名を【極・創魔導法】
「ふう……」
深呼吸を一つ挟む。秋も度重なるスキルの創造で少しばかりの疲れを見せている。その疲れを見せないように、慎重に一つづつスキルを形作っていく。
そして秋は構成要素の選別を開始していく。秋の周りで丸く光る球体が、まるで秋の新たな力に対して祝福しているような神秘感の中、こうして三度目の新たなスキルが生誕した。
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創皇魔導法
究極の魔術を求めた男のスキル。仲岡秋専用スキル。
◇創造魔術
魔術を創造して放つことのできるスキル。番外系統・基本系統などを一切無視して魔術を創造することができる。魔術の創造には魔力を消費しないが、創造した魔術は発動する際には魔力を消費する。消費する魔力は様々な事象から統合されて決められる。
◇普遍魔術
人々が最も得意とする四属性とある程度の番外系統の魔術を一切の縛りなく扱う事ができるスキル。魔術の発動には魔力を消費する。
現在扱う事のできる魔術
火属性・水属性・風属性・地属性
光属性・闇属性・雷属性
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「はぁ……はぁ……で、できた…」
秋は新しく作り直したスキル【創皇魔導法】を見て、笑顔を浮かべながら肩で息をした。それは間違いなく会心の出来だったからだ。
まずアルタのおかげで生み出された構成要素の中に、基本系統の四属性の構成要素が含まれていたため、これで秋はこの異世界イーシュタルテで基本属性である火・水・風・地の四属性の力を手に入れることに成功したのだ。
そして創造魔術は基本系統と番外系統などを使って創造できる魔術。汎用性が高く使いやすいのは明白だろう。
「はぁ……はぁ…さ、さすがに疲れたな…」
秋はさすがに自身の心身の疲れが体に出てき始めていることを察し、この夜天の世界から一度抜け出すことを決めた。
そして秋は、今ある力を捨てて、さらに新しい力を求めて賭けをした。そして賭けに勝ったのだ。
◇
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仲岡秋
15歳
職業:???
レベル:156
ステータス
筋力:70100
体力:68100
魔力:320000
魔耐:225000
俊敏:67500
スキル
・スキルランダム創造
・運命と次元からの飛翔
・アルタ・セラフィム
・魔剣創造・皇
・魔防具創造・帝
・極武皇闘術
・創皇魔導法
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