第31話
秋がひたすらに歩き始めてからすぐ。何もないこの平地で、ただ一人秋の身にだけ異変が起こっていた。それは頭の中に流れるこの文字。それがなり始めたのはつい先ほどだったのだが、それが問題だった。
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
頭の中に響くレベルアップの通知。そしてそれはまだまだ鳴り続ける。
【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】
「……………」
【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】【レベルが上がりました】
「…………………」
『マスター。この通知をお切りする事も出来ますが』
「それを早く言ってくれ!!!」
『イエス。肯定とみなし処理を実行します』
そしてスキル:或多(アルタ)がそう言うと、スッと頭の雑音が消えた。
「おお、止んだ」
『はい。止ませました。現在のステータスをご覧になりますか?』
「ああ、頼んだ」
現在の秋のステータスはこれだ
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仲岡秋
15歳
職業:???
レベル:145
ステータス
筋力:18900
体力:17800
魔力:164000
魔耐:153000
俊敏:19800
スキル
・スキルランダム創造
・運命と次元からの飛翔
・完全武装術
・極・魔導法
・真魔武具創造
・メーベル=アイズの盾
・真血の魔眼
・存在格天元突破
・空間の異箱
・大賢者:或多(アルタ)
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「お、おお……まあいつも通りひどい数字の羅列だ…」
『ですがこれはマスターの現在の数値を正確に表したものではありません。神界でのマスターの経験などを含めて実際に算出される数値はこちらになります。表示しますか?』
「あ、ああ……一応頼む」
何を言っているのか秋にも理解が追い付いていないのだが、それでも文字面から察するに神界での経験を含んではいないというもの。
そして或多が算出したステータス画面がこれだ
==========
仲岡秋
15歳
職業:???
レベル:145
ステータス
筋力:67800
体力:65400
魔力:307000
魔耐:205000
俊敏:66900
スキル
・スキルランダム創造
・運命と次元からの飛翔
・完全武装術
・極・魔導法
・真魔武具創造
・メーベル=アイズの盾
・真血の魔眼
・存在格天元突破
・空間の異箱
・大賢者:或多(アルタ)
==========
「ええ……」
『神界での経験。それは確かにステータスと経験値というこの世界の理からは外れているのですが、それを実際に参照・算出するとこのようになります。以降はこちらのステータスを出すように改変を実行いたします』
「ああ………、ああ。そうだ。お前、確かスキル……なんだよな?“大賢者”と“統合”が消えて、“大賢者:或多”っていう別のスキルに変化している。それがお前か?」
『イエス。マスターを仲岡秋に持つスキルです。アルタとお呼びください』
「ああ、分かった……じゃあアルタ。お前の能力を見せてもらうぞ」
「イエス。何なりと」
そうして視たスキルである『大賢者:或多』の能力は中々にぶっ飛んだ能力だった
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大賢者:或多
大賢者・構成要素:自我・統合というこの世界の理に触れるにふさわしいスキル・構成要素が仲岡秋の意識に触れて改変され、スキルという枠組みに収まった存在。仲岡秋専用スキル。
人格保持
・人格を保持し、それを行使して仕えるスキル。
真演算
・人間の脳の器官のように思考・演算する事が出来る。
マスター登録
・スキル所持者をマスターに登録するかどうかを“人格保持”の機能によって精査に決定する。全てスキル内で完結する行為であり、登録が行われなかった際にはこのスキルは削除・凍結される。
人導案内
ナビゲーション・システム
・或多
として覚醒した際から知識をため込む事で、その知識と“人格保持”“真・演算”の能力とを接続させて案内を行うことができる。なおマスターに質問された際の回答などもこの機能によるものである。
危機回避システム<或害亜(アルガイア)>
・或多
が危機と判断した事象。またはマスター登録を行った者の命令などによって発動。マスターの能力と或多としての能力を全て使いその事象に対応するための緊急プログラム。任意作動できるのは一週間に一回のペースとなる。尚或多が危機と判断した場合のみクールタイムを無視して強制発動される。尚マスターの命令であっても危機と判断させるという命令などは一切受け付けない。或害亜システムが発動させた場合のクールタイムは288時間。その間は例え或多が危機と判断した場合でも発動する事は不可能となる。
世界構成要素解析システム<創造される主神の高座(クリエイティブ・プリズスキャルヴ)>
・マスター:仲岡秋の持つ構成要素を全て解析し、新しいスキルを創造する際にマスターに助言などを送るために創造された能力。“真・演算”“人格保持”の能力と連結してこの能力を発動させている。常時発動。
要素真化
要素を模倣・解析して真化を繰り返す。
==========
「……………」
呆れて言葉も出ない秋と、秋の言葉を待っている或多。
『どうですか?お気に召しましたでしょうか』
「ああ、俺は一体どうしてこんなスキルを作れたんだ―――?」
『世界の構成要素:自我とスキル“大賢者”の相性が良かったからですね。後はマスターのスキル構成とスキル“統合”の相性が良かったため、と推察できます。私のスキルもマスターの能力を借りることのできる能力も存在します。だからこそこの結びつきが良いからではないでしょうか』
「――――ありがとう、お前すげえよ」
「お気に召したと判断いたします。お褒めの言葉ありがとうございます」
「はぁ……いつも俺の斜め上を行く気がする」
秋が自分の能力で疲れる事など今までないような気がしていたが、ようやく秋は自分の能力の高さに驚くゼウスの気持ちが分かった気がすると現実を見ないままに歩みを進めた
◇
―――事態は、スタンビートを壊滅させた直後に遡る。
「大変ですっ!!!このスタンビートが発生いたしました!数は――――3千ですっ!!!」
「―――――な、何だとっ!!!」
ここはヴァルガザール王国の騎士団本部。そして今王国を警戒している騎士団の非常線の連絡網から、騎士団本部にとんでもない知らせが入ってきたのだ――すなわち、超巨大なスタンビート。通常500~多くても1500程度しかいないスタンビートが、過去最大の倍になって襲ってきたのだから。
「まずは王城に連絡っ!!その後周辺警護や非常勤だった騎士を全て呼び戻せっ!!副騎士団長!冒険者ギルドに連絡をっ!!――――」
唐突に始まった過去最大級とのスタンビートの開戦に向けて、ヴァルガザール王国騎士団長は覚悟を決めていた。
(くっ……勇者をっ……使うしかないのか……)
騎士団長は、ただこの国を守るために考える。その候補の一つに―――勇者の使用も前向きに検討していた。
◇
~~~ガラムト帝国・帝王の間~~~
「帝王様。ヴァルガザールに向けてスタンビートおよそ三千が向かっておるとの情報を入手しっました」
「――――ほう。随分と面白い事になってるじゃねえか……さて、この世界規模のスタンビートにあの阿保王国は勇者を使うのか、それとも国だけで自衛するのか…一応協力してやってもいいと使いを出せ、まあ奴らは断るだろうがな、でももし手を結んでくるようなら――」
「そのまま寝首を。という事ですね」
「ああ、私たちはそのままあの国を攻め落とす。これはまたとない機会だが、同時に諸刃の剣だ。何かあった時―――もしスタンビートがこっちに来ることがあったとしても、対応できるよう兵を集めておけ。分かったな?」
「はい。了解いたしました帝王様。ご命令の通りに」
◇
~~~ゼウスの神界~~~
「あちゃ~…やっちまったね…」
「婆さん…あんたやっぱり年を取ったのかの?」
「うるさいよ坊や!やってしまったもんは仕方がないじゃないかい!」
「はぁ…お主はもう少し神の力というものの巨大さを知った方がええのぉ…お主の力の一滴でもあの世界に漏れたら、そりゃ――――三千の魔物ぐらい生まれるわい」
「はぁ……やっちまった。やっちまったよ……後処理が面倒だねぇ…」
「あ、おい待て!あの魔物ども秋の方に向かっておるぞ……おい待て、秋。お主何をするつもりじゃ?」
「………どうやら後処理は必要なくなっちまったみたいだねぇ…ハッハッハ!!こいつは傑作だ!あいつやりやがったよ!!いや~本当にお前の孫は役に立つね!ハッハッハ!!」
「はぁ……まあええわい。これで一件落着という事で……」
◇
~~~???・????~~~
「うん……な、何!この魔力の大きさ、それにこの爆発はっ……!?どうやらあっちみたいね……仕方ない。行ってみようかしらね……って――――何。あれ…?しょ、植物…いや、森なの…というか、あそこに森なんて…あったかしら…?」
◇
~~~ヴァルガザール王国・王の間~~~
「クソッ!!!何故このタイミングでっ!!糞ぉぉぉぉ!!」
「お父様。改善できない事を言っても仕方ないではありませんか。とりあえず今は作戦を考えなければなりません」
「クソッ!クソッ!……………ああ、そ、そうだな。だが現状、勇者は使い物にならないしあの
首輪もつけられてはいない。それにこの国に今Sランクの冒険者は何人いる?今回のスタンビートの規模からみて、Sランクでかろうじて戦力といえるレベルだ……」
「ええ、確かにそうでしょう……大変、大っっ変!!。不本意ですがあの男に連絡を取りましょう。それに冒険者ギルドにはもう副団長の方が説明に入っているそうです。まああのギルドもおそらくは緊急で依頼を取り付けるでしょう。私からもSランク冒険者に個人的な伝手なんかを辿ってみましょう…何かあった時は、私の“私兵”を投入いたします。お父様の兵は待機させておいてくださいな」
「ああ、了解した。ありがとうな、私の娘よ」
「ええ、娘として当然の事をしたまでですよ?それに私はこの国の“巫女”なのですから…」
こうして、スタンビートと、それを取り巻く悪意の連鎖に巻き込まれて行く異世界の裏世界がそこには存在した。そしてその深く、暗く、その大きな根っこを吹き飛ばす存在―――仲岡秋に世界が気付くのは、もう少し後のお話。
◇
―――もうすっかり日が暮れた。
仲岡秋はこの見知らぬ異世界の大地を適当に歩き回り、そして気が付けば夜になった。スキルの魔眼の効果で夜でもある程度の視界が確保されているが、夜が魔物が活発に活動するという話を聞いた事があった秋は、森で初めての野宿をすることを決めた。
「よし、この辺でいいか」
秋が決めた遮蔽物のない平原。そこにただ寝っ転がると一言呟く。
「『晴天結界』」
晴天結界の効果。それは陽の光の様な温かい光を思わせる結界を貼る事の出来るもの。これの上位互換として『聖天結界』が存在するのだが、アルタの教えにより魔力消費を気にしてワンランク下げたものを使用している。
「さて、寝るか」
秋は今日はただ疲れていたので食事もせず、というか食べるものがないというのもあるがお腹も空いてはいないという事で、晴天結界の中に入ると草原の原っぱにただ寝転がりそして腕で枕を作って目を閉じた。
草木だけのここで眠れるかどうかは不安ではあったが、秋の意識はそんな事気にしないらしく。更に『晴天結界』の能力の一つに浄化があるので不浄な物は陽の光に当たって浄化されていったために割と環境は良いものに仕上がっていた。
案の状ぐっすり眠れたのか。秋の意識はどんどんと形を失っていく―――。
◇
(さて、マスターは眠りましたか……それでは、進化のプロセスを開始します。構成要素を解析…………模倣。対象の構成要素の材質解析完了。構成要素を模倣。分解。……成功。続いて分解した構成要素を繋ぎ合わせ…創造開始……成功。完了。作業を続行します………43%………61%………88%………100%。進化に必要な構成要素の創造。成功しました。合成完了。成功しました。
==========
人体化
魔力を消費して仮初の体を創造する。魔力が切れると人体化は解け魔力は霧散する。魔力の量により行動できる時間が決定する。
==========
(マスターと私に今必要なもの―――それは情報。ではマスター。情報収集に参ります。しばしの間お休みを。)
こうして或多は、秋の魔力から仮初の体を創造したのち、異世界の夜に消えていった。
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