遠くを行く人たちを見て追いつかないなとそう感じることが、あるだろう。彼らが超人に見えることも。……しかし、彼らも時に傷つき貶められ、誰かの言葉を待っていることもある。そんなとき、言葉をかけてくれた、詩を書いてくれた――それで救われる命もある。ただ抱き締めるだけでも、人は救える。力が及ばなくても、懇願が救うこともある。そんな、実は判り易い事実であったものを、この作品は掘り起こして明示してくれている。
実を言うと、筆者は私のことを追いかけていた。そしてあるとき、私は杭を打たれて倒れた。しかし、そんな私を筆者が救ってくれたのだ――生きるのをやめようとした私を。