魔王軍の害悪幹部

CHAMPES

プロローグ ある狂人の戦場

炎の上がる戦場。攻めてきた人間に対する魔王軍の応戦という形で始まった

この戦争は、人間が攻めてきて僅か数秒で決着がついた。

魔王軍の勝因は一人の男、人間の敗因は男に対する対策不足。


「フヒヒッ。辛いだろう?苦しいだろう!?ほらほらもっと耐えなあ!」


狂人のそれとしか思えないような言葉が響き渡る。

まだぎりぎり意識を保っていたと思われる兵士の一人が、声を振り絞り、遺言のようにぶつぶつとつぶやき始めた。


「……あ…わ…我が妻…よ。む、娘を…たの…ん…だ…」


狂人は、ふとその兵士の方を見た。


「妻ァ?娘ェ?くっははは!貴様には家族がいたのか!そんじゃあ、

そいつらも一緒に連れてってやる!」


もともと上がっていた口の端を更に吊り上げ、わざわざ兵士を絶望させるような

発言をするその姿はまさに極悪非道。

どんな戦場でもこのような人種はまれだ。


「この…オ!貴様!それでも戦士かあっ!!!」


怒りをあらわにした老兵士が剣をつき立ち上がった。

狂人はその姿を見るや、老兵士に粉末状の何かをまきつつ、笑みを消して言った。


「戦士だァ?ンな甘いこと言ってられる暇があんなら、もっとに対する耐性を整えるこったな」


粉末を吸い込んだ老兵士は、白目をむき倒れた。倒れ行く手練れに転がる兵士、

あまりに絶望的な状況に狂人は再び笑みを浮かべた。


「さあ!邪魔なもんもいなくなったしよー!この戦い!もう終わりにしてもいいよなア!」


狂人は、兵士にとどめを刺すべく、5つの球を取り出した。

そしてそれを空中にほうると、魔法で着火。


「O☆YA☆SU☆MI!りっぱな兵士諸君!ハハハハハァ!!!」


火がついて少しの間、球は最高到達点まで浮かぶと共に爆発を起こした。

先ほどのものと同じであろう粉末が飛び出す。

こうして、一人の狂人によって凄惨な戦場は幕を閉じた。

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魔王軍の害悪幹部 CHAMPES @nockback

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