第3話

高田があまりにも大きな声を出したので、中谷は思わず一歩下がった。


「そっ、そうですか。では明日鍵を渡しますので、自由に越してください」


「明日ですね。間違いないですね」


「はい。間違いないです」


「では明日よろしくお願いします」


「はい、わかりました。お手数掛けます」


「いえいえ」


中谷は去った。


部屋に戻った高田は部屋を見回した。


ここに住み始めてから三ヶ月が経つ。


完全に安心しきっていたこの部屋が、先ほどまでとはまるで異質なものに思えてきた。


見慣れたイスやテーブルも。


壁から天井にいたるまで、この部屋の何もかもが不気味で暗く怖いものに見えてきたのだ。


――!


怖い。


とてつもなく怖い。


怯えた目で部屋を見ていると、ふと玄関が気になった。


何故気になったのか高田自身にもわからない。


何も見えないし何も聞こえない。


しかしそこに何かがいる。

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