第2話
「ええっ、ほんとうですか?」
どうやら本当らしい。
警察がたちの悪い冗談を言うはずもない。
電話を切った後、中谷は急ぎ支度を整えて外に出た。
夜に高田が部屋でくつろいでいると、チャイムが鳴った。
出ると中谷だった。
「どうしました?」
「ああ。高田さんですか。あなたに伝えたいことがあります」
「なんでしょう」
「実は警察から連絡があったのですが、高田さんの住んでいる802号室で一年ほど前に殺人事件があったそうです」
「なんですって!」
「数日前に知人を殺した犯人が捕まったのですが、その人が高田さんの前に802号室に住んでいた人で、その部屋で人を殺して死体を山に捨てたと自供したそうです」
「……」
「人を殺した後もその犯人は半年もそこに住み続け、犯人が引っ越した三ヵ月後に高田さんが住みはじめたという経緯になります」
「……それで?」
「警察が言うには、殺しがあったのは一年も前だし、そのあと犯人が半年も住んで、今度は高田さんが三ヶ月住んでいるので、その部屋から今さらなにか見つかる事はないと思われるが一応近いうちに捜査をしたいとのことです。それと。ここからは相談なのですが」
「相談? 何の?」
「事故物件でないと思っていた部屋が事故物件だったわけです。知らなかったとはいえ、それを高田さんに伝えないまま部屋をお貸ししたことになります。ですから家賃を減額してそのままそこにすみ続けるか、それとも家賃は変わりませんが事故物件ではなく空いている隣の801号室に引っ越してもらうか。どちらになさいます。もしそれ以外の希望があれば聞きますが」
「801号に引っ越す!」
高田は即答した。
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