伝えられなかった真実

ツヨシ

第1話

高田は死ぬほど幽霊が怖かった。


言葉では言い表せないほどに。


だから引越しが決まったとき、場所、家賃、間取りなどはもちろんだが、絶対的な条件が一つあった。


それは事故物件ではないことだ。


高田は体がでかくてふてぶてしい顔をしているので、見た人は怖いもの知らずという印象を受けるようだが、実はお化けが大の苦手なのだ。


そういうものが怖くて怖くて仕方がない。


だから事故物件は絶対に避けたかった。


「そうですか」


不動産屋営業の中谷はそう言って、思わず高田の顔を見た。


その見た目からは想像もできないようなことを強く要望されたからだ。


「ご心配にはおよびませんよ。うちの物件には事故物件は一つもありませんから」


「それはよかった」


高田は数箇所まわってから、そのうちの一つを選んだ。


八階建ての古いマンションで、その最上階の一部屋だ。


立地や家賃も問題はない。


高田は契約をし、そこに住んだ。



住み始めてから、特になにかあったということはなかった。


変な音や怪しい影などもない。


幽霊に対して異常とも思えるほどの警戒心を持つ高田も、三ヶ月も経つとすっかり安心するようになった。



そんなある日、中谷のもとに警察から連絡があった。

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