第三章・一「助けた理由」
「それじゃ秘密基地を目指すか」
衣類売り場での一件の後、食品売り場でユニの分の麦茶を買い、今度こそ俺達はデパートを出て秘密基地を目指す。
外は既に夕方で日が傾き、空がオレンジ色になっていた。
なんだか今日は疲れた。
よくわからんカラスマスクに追われ、白髪美少女とデパートで買い物? したり日頃の俺の生活からは考えられないほどにハードだった。
女の子と二人で買い物か。
見た目は十二、三歳くらいに見える。
年下彼女か、悪くないかもな。
いやいや、このぎりぎりランドセル背負ってそうな子が彼女とかアウトだろ、学校の奴らに見られたら俺はロリコンのレッテルを貼られるは!
「どうしたの剣次、ユニのことジロジロ見て、もしかしてユニが可愛いさに見惚れちゃった?」
楽しそうに笑うユニ。
初めて会ったときのような影はまったくなかった。
しかしこの時間も後少しで終わってしまう、そう思うと少し寂しく感じる。
「一つ剣次に聞きたいことがあったの、剣次はどうしてユニを助けてくれたの?」
「それは………」
聞かれて気づいたが、俺自身深く考えていなかった。
どうだろう助けた理由か、困っていたからだろうか………
「難しいな………ユニが困っていたから、いや、俺がユニに助かって欲しかったから……かな」
「よくわかんないや、ユニがあの公園で力尽きても剣次には関係のないことなのにどうして?」
うつむき寂しい表情を浮べる白髪の少女。
「後味悪いじゃん、俺が見捨てたせいで誰かが死んだら」
彼女は理由を聞くと笑う、これが理由なんだから仕方ない。
これ以上の理由は俺には思いつかいない。
「良かったユニを助けてくれたのが剣次で」
夕日をバッグに立つ白髪の少女、その微笑みを見ていると自然とこちらも笑ってしまう。
「別に気にすんな」
「お二人さんデートは楽しんだかい?」
何気ない日常は唐突に終わりを告げた。
目の前に全身黒ずくめの男が現れた、顔を覆う特徴的なマスク、奴はレイブン、リベリオンファミリーからの使者だ。
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