第ニ章・三「帽子」

 「ふふ似合うかしら?」


 白髪の少女は麦わら帽子をかぶりこちらの反応を待っていた。


 「すごい似合ってるよ、向日葵畑とかに立ってそう」


 「えっと次は………」


 フードコートを後にした俺達は服売り場に来ていた。


 おしゃれな女性者の服を置くお店、彼女もいない俺には縁遠い店だ。


 しかし今日は少し違った。


 「次はベレー帽」


 別に俺に彼女ができたわけではない、そうだったら良かったのに………


 カフェ『秘密基地』に行こうとしたが、外は炎天下このまま彼女を連れ出すのも気が引ける。


 そこで彼女のかぶる帽子と素足だったので靴を買うことにした。


 「これにする、これにするわ剣次!」


 ユニがかぶっていたのは白のキャスケット帽。


 特に柄や刺繍が入っているわけでもない、白一色のキャスケット帽だった。


 「おうそれじゃレジに持って行くか、ん? どうしたの」


 キャスケット帽をレジに行こうとしたとき、急にユニがもじもじし始めた、もしかして


 「お花つみですか?」


 「剣次の馬鹿、全然違う」


 「えっとじゃ何?」


 「そっ、それは、わかったユニの正面に立って」


 さっきまでのハイテンションと打って変わって彼女は顔赤くしもじもじし始める。


 「?」


 「早く!」


 「おっおう」 


 指示された通り彼女の正面に立つ、これにどんな意味があるのか、えっ


 「こう言うこと、だから………」


 状況を説明しようと、目の前では病衣をたくし上げたユニの姿がある。 


 シミ一つないもちもちと柔らかそうなベージュ色の肌。


 少女らしい控えめな胸、それが惜しげもなくさらされていた。


 「あまり見ないでぇ………」


 彼女は顔を真っ赤にして今にでも泣き出しそうだった。


 非の打ち所が一切ないこの美少女ユニ。


 だが彼女には絶対的に足りないものがあった、それは 



 下着だ



 男だろうが女だろうが幻想銃だろうが絶対にあるべきものが彼女にはなかった。


 「悪りぃ、帽子と一緒に下着も買おうな」


 こうして俺はキャスケット帽と一緒に女性物下着(子供用)をレジに持って行くことになった、幸いユニが一緒にいてくれたおかげで誤解は免れた、しかし思春期の俺の精神とお財布に多大なダメージを残った。

 


 

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