第一章・ニ「二つの勢力」
滅多に人が通らない裏通り。
ここで密かにうごめく者達がいた。
「まだあのガキは見つからないのか?」
「はい以前としてユニコーンセカンドは見つかりません」
真夏にも関わらずフードを深くかぶった集団。
彼らは十年ほど前からこの町の片隅をねぐらにするマフィアの戦闘員。
この町に逃げ込んだ少女を探していた。
「まずいな、このままでは
「レイブン様からの報告は?」
「レイブン様も今だ発見できていないと」
「仕方あるまい、再度捜索しよう」
「は〜い不審者諸君、その話詳しく教えてもらおうか」
フードの集団の密会に謎の人物が現れる。
長身の女性、艶のある黒のショートヘアー、その豊満なボディーラインは服の上からでもはっきりと見える。
女性は不敵な笑みを讃えフードの集団に話かける。
「お前は
「私も銃士の端くれだからね、パトロールの一つや二つするのは当たり前」
「悪いが我々はまだ捕まるわけにはいかない、目的を果たすまではな!」
フードの集団の一人が拳銃を発砲、
千花は握っていた二振りの刀構える。
弾丸は千花に迫ることはできても、その身体を射抜くことはなかった。
二振りの刀は銀の軌跡を描きながら振るわれ、弾丸は阻む。
「クソッ、一斉掃射だ!」
一人の合図を皮切りに他のフードの人物達も拳銃を構え発砲する。
視界を埋めるほどの弾丸。
しかしこれだけの弾丸ですら千花は止められない。
片方の刀を横薙にもう片方の刀を真っ直ぐ振る。
バク転の要領で残りの弾丸を弾き飛ばす、ワイヤーアクションさながらの剣術で全ての弾丸を撃ち落とす。
発砲したフードの人物に一太刀浴びせ、その横にいたフードの人物、更には後にいた人物も次々と薙ぎ払う、ほんの数秒で五人を気絶させた。
「よし! 仕事終わり、さてお昼でも食べ………」
千花がお昼に何を食べようか算段しようとしたときだった。
軽快な音楽が流れ始める、それ胸ポケットにしまってある携帯電話から流れた音楽だった。
『千花今どこ?』
携帯を耳に当てると落ち着き払った女性の声がした、この声の主は彼女の姉だ。
「姉さんどうしたの?」
『虹ヶ丘病院をレイブンが襲撃した、目的は白髪の少女、その子はその場にいた青年と逃亡中、至急むかって』
「了解、なるほどね………全部繋がったよ、実はこっちに
『リベリオンファミリーに狙われるってことは、その
「はぁ、今日は定時で帰るつもりだったのに、姉さんこっちの片付けよろしく」
通信を切ると千花。
二振りの刀が千花の手を離れ一つになり人の姿へと変わる。
「どれ妾も協力しよう」
黒い着物に身を包んだ美女。
高い鼻に宝石のような瞳、腰はしっかりと引き締まり、その反面胸は着物から零れそうなほどに大きい。
頭には狐のような二つの耳が生えていた。
「人型にならないでよ、目立つしお荷物だし」
「辛辣じゃのう、妾こんなに健気なのに、今日はまだ迷惑かけておらんだろう」
「そんじゃ探してみますか、その青年とやらを」
「無視か!」
にやりと不敵な笑みを浮かべる千花。
千花は内心ワクワクしていた。
少女を救った青年が自ら行動したのか、それとも巻き込まれたのか。
千花は勇敢な者が好きだ、弱くても強くても構わない。
前者であることを願い裏路地を後にした。
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