第11話二人は別の世界を生きている

なんとか下校時刻になった。 

はぁ今日も疲れた。

千歳はテニス部、それに比べたら僕は帰宅部

「よし帰るか」そう思って立ち上がると、

「ねぇ、今日一緒に帰らない?」

そう言って、南さんは話しかけてきた。

「え、いや、別にいいけど。友達と一緒に帰らなくていいの?」 

「いいの。今日泉君とかえりたいから... 」

「別に南さんがいいならいいよ」

そう言うと南さんは、ぱぁとびっきりの笑顔になった。

「じゃあ帰ろうか」そう言って廊下にでると、「ねぇ今日一緒にカラオケ行かない?

「ねぇ一緒に行こうよ」 と南さんのことを誘ってくる女子2人が来た。

「南さん別に無理しなくてもいいよ。また今度帰えろ」僕が南さんに最後まで言うまでに「ごめん今日は泉君と一緒帰る約束してるから」「あっそうなんだごめんね」そう言って女子たちは気まずそうに帰っていった。

そして南さんは僕の袖を引っ張って

「ほら泉君帰ろ!」

そう言って僕たちは一緒に下校することになった。

何を喋ったらいいんだろ。別に女子と帰ったことがないわけじゃないよ。別に。うん。

何か喋らなきゃ。そう思って話そうとすると先に南さんが話し始めた。

「ねぇ泉君。今好きな子とかいるの?」

えっ?「どうしたのいきなり?南さん」

「いいから答えて」なんでそんなに...

「今はいないよ」僕はそう答えた。

すると南さんはホッとしたように肩をなでおろした。「別にそれがどうかしたの?」

「いや別になんでもなーい!」そう言うとまた小悪魔的な笑顔で俺を見つめて来た。

そして南さんは唐突に「ねぇ、泉君..その...私のことお、覚えてる?」今にも消えかかりそうな声でそういった。 

えっ。どういうこと。何故か懐かし感じはするけど別に見覚えがあるわけではない。

「ごめん。前にどこかであったことあったっけ?」

そう僕が言うと南さんは下を向いて

「い、いや、べ、別になんでもない。忘れてくれて構わないから!あっ、あたしの家この近くだからまたね。」南さんはいきなり会話を終わらした。「どうしたの?」僕がそう聞くと、「ごめんまた明日」そう言って南さんは早足で帰っていってしまった。

 

でも僕は南さんが泣いているようにみえた


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