第4話 幕間
ここは…どこ?部屋…ベットと、小さな机と椅子が対面して2つ。その1つに私が座っている。
目の前には魔法使いの格好をした、右側をサイドテールにした可愛らしい少女が座っている…。
「ユーゴ、今日はボスに行くんでしょ?私も付いて行って良い?」
両手を合わせて、お願いのポーズをしてくる。
見た目が可愛いので、ポーズがあざとく見える。
「欲しい装備があるんだけどお金が足りなくて…良いでしょ?最弱の闇魔法使いの仲でしょ?」
私の体は勝手に動き「仕方ないな」と言う。
「ありがとう!一緒に闇魔法の真髄を見つけよう!暗黒騎士!」
「ああ、ミツハ…」
私は勢いよく起き上がる。
私は眠っていて、前世の記憶の夢を見ていたようだ。
「マリーお嬢様…!目が覚めたのですね!」
横を見るとメイドのヘレンが涙目になり喜んでいた。
死んだとばかりに思っていた…。ヘレンは私の看病をしてくれていたようだ。
「ヘレン?本当にヘレンなの?死んだとばかりに思っていたわ…!」
「はい。私は何とか生き延びました…他の者も無事です!」
「良かった…」
それにしても…ここは?
私はベットに寝ていたようだ。けど、私の家は燃えてしまってるはず…。
「ヘレン、ここはどこ?」
「ここは冒険者ギルドです。屋敷が全焼してしまったので今は冒険者ギルドに匿ってもらっております」
「冒険者ギルドは無事だったのね…」
「はい、あの魔物達は妖精女王様の宝具が眠る屋敷だけを襲いましたので、他の場所の被害はゼロでした」
良かったと思うべきなのだろう。
不思議なことに家が燃えて無くなったというのに全く悲しくもなかった。
剣を握って前世の記憶を思い出してからマリーとしての記憶は、まるで他人の記憶を見ているようなかんじだった。
「そう…。私はどれくらい寝ていの?」
「丸1日程でしょうか…」
そんなに寝ていたとは。私がミノタウロスを倒したあと、あの妖精さんや他の魔物達はどうなったのだろう?
「襲ってきた魔物達や、私と一緒にいた妖精さんはどこにいるの?」
「妖精さん…?魔物は突然消滅しました。推測ですが…魔物は召喚されたもので、召喚した主人を誰かが倒したことで消滅したのだと思います。お嬢様を地下に向かえに行った時には誰も居ませんでしたが…」
召喚したのはミノタウロスだったのだろう。
それより、妖精さんは何処に行ってしまったのか…。
「お嬢様。申し訳ありませんが、私は少し席を外します。ダシウス様にお嬢様がお目覚めになられた事を報告してきます」
ヘレンはそう言い部屋から出て行った。
「いつ、勇者の石を探しに行くの?」
「きゃあ!」
突然目の前に妖精さんが現れて驚く。
「今までどこに居たの?」
「ずっと貴女の側で隠れてた」
「そうなの、全然気づかなかったわ…」
妖精さんはジッと私を見つめてくる。
「どうしたの?妖精さん?」
「前世の記憶を思い出したのに性格や話し方は変わらないんだね」
「え?そうね、でも前世の記憶があるからか物事の考え方が賢くなった気がする…」
多分だけど、私と同い年の子はこんなにしっかりと話さないし賢くない気がする…嫌味とかではなく。
「それより、勇者の石を探しに行くってどういう意味?」
「妖精女王様に言われたでしょ。勇者の力を集めてもらうって」
たしかに言われたけど、その集めるっていう意味が分からない。
「集めに行くっていうのは?」
「そんなのも分からないの?各地にある勇者の石を残り9個集めて魔王を倒すんだよ!」
「え〜…」
めちゃくちゃ大変そうだ…。今年で10歳になった子供に果たして出来るのだろうか…。
でも、妖精女王様の最後の願い…。でも…。
「ごめんなさい…。妖精さん。もう少し時間を頂戴…」
「なに言ってるの!…いいえ、分かった!けど今日中に決めて!明日の朝になったら聞きにくるから」
そう言い妖精さんは窓から、何処かへ飛んで行った。
入れ違いで兵士のダシウスとメイドのヘレンが戻ってきて、今後の話をして、1日が終わろうとしていた。
布団で寝転がりながら明日の朝のことを考える。
勇者の石を探しに行く旅に出ても良い。けど、こんな中途半端な気持ちで良いのだろうか?
妖精さんも、もしかしたら同じ考えだったから明日まで時間をくれたのかもしれない。
私は考えていると意識が遠くなっていく。寝てはいけないって思うと人って寝てしまう生き物だよね。
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