第14話 ユンシクと真珠楼
真珠楼は、このあたり1番の妓楼だ。その日の夕方の開店前の時間も、
「男はほとばしる熱い心を残すように、静かに背中を見せ、ゆっくりと扉に手をかけた。いやよ、その扉を開けないで……女がそう思ったその時だ。突然男が振り向き…………」
「きゃー!」
妓生たちの黄色い声。
「ねえ、どうなるの?」
「ちょっと、ユンシク、早く続きを読んでよ」
「続き続き!」
待ちきれない姐さんたちが口々にせかした。
「この続きが読みたければ、2両に負けてあげるよ〜!」
ユンシクがついたての陰から本を広げてちらりと挿絵を見せると、姐さんたちは大喜びで群がってきた。実に迫力のある光景ではあるが、女のユンシクには刺激はない。
ホミンの恋物語は好評で、売り上げは上々だった。さすが、向こうの世界で二次小説を書いていただけのことはある。絵も綺麗なので、女性には大人気だった。
「ユンシク、今日は大繁盛ね」
真珠楼の女主人、
「満月の夜、また来るんでしょう? 準備して待ってるわ」
「ああ、頼むよ。」
ユンシクはにっこり笑って真珠楼を後にした。日が落ちてしまう前に帰らなければならない。
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