第2煙 最終推理と意外な結末
「おー!流石ジャグラー縛り!帰ってくんの早いな。京介」
「るせぇんだよ。ほら2万。やるよ」
「お前相変わらず店潰す勢いで勝ってくるよな。さんきゅ」
「残りは俺の取り分だ。いくらだと思う?」
「6000円とかだろ?」
「ざんねーん!2万でした〜」
「京介お前!2000枚出したのか!?」
「ったりめぇだろ。儲け儲けっと。
それでよ。依頼のほうはどうなってるんだ?」
「んまぁいろいろ調べたんだが、かのんって源氏名の女の子たくさんいてよぉ。困ってるんだわ」
「あぁ。だろうな。それじゃその5万返さなきゃな。」
「んなわけにいかねぇだろ。5万だぞ?」
「捜査費用って訳だ。頑張れよ」
「京介。お前にパチスロ軍資金渡したの覚えてるからな。お前も付き合えよ。」
「しゃーねぇなぁ。俺は王道だがあの女性こそが、かのんって可能性を考えていたんだが」
「どうして?」
「まぁ暇つぶし程度に頼んだのかと。でもそうじゃないとしたら厄介なことになるぞ」
「どして?」
天馬が京介に聞く
「だっておかしいだろ?女性はキャバクラなんかに縁はない。なのにキャバクラ嬢で名前までヒントに出てきた。おかしいと思わないか?」
「んまぁ確かにそうだな」
「おい。京介。ちょっと待てよ…安田末子って言ったかあの女。なんであんなに情報持ってんだ?」
「それも妙だよな。またこの店に来た時にでも聞けばいいんじゃねぇか?」
「来るまで待つしかないか…そうだ!京介!お前の取り分と俺の金でキャバクラ行かねぇか?」
「とち狂ったのか?」
「当てずっぽうでもいい!とにかくキャバクラ回るんだよ。で、かのんって名前のキャバクラ嬢がいないか探すんだよ」
「2人でか?」
「京介スロットもそうだろ?数打ちゃ当たる。この近辺のキャバクラは6店舗しかない。それより遠ければ無理だ。6店舗だから3店舗ずつ回ろう!」
「しゃーねぇか…」
2人は合計6店舗回ってきた
得られた回答を合わせる為にブロードに
集まっていた。
「京介。まずはお前から成果発表だ頼む。」
「えーと。結論から言うとかのんって女の子は2人いた。もちろん顔も特徴も聞いてないからその子なのかは不明だがな。んじゃあ天馬の番だ。」
「驚くなよ京介。俺はかのんって源氏名の子がいるかはもちろん調べた。そして過去にその名前の人物がいないかも調べた。これはミステリー小説では必ずやる調べ方なんだ。そしたら1人だけ辞めてる子がいた。名前は桜井夏帆。その後行方不明らしい。警察にも行ったんだが行方不明のままだ。」
天馬はミステリー小説好きな天馬らしさを活かした推理をしていたようだ
「その桜井ってやつが1番怪しいな…」
「それにだ京介。恐らくそいつはこの世にはもういない。」
「なんでそんなことが言える?」
「その桜井。まぁ源氏名はかのんだが。在籍時に女性客が珍しく来てかのん。まぁ桜井を指名したようだ。その日を境に辞めてるらしい」
「その女性が安田末子か?」
「確信はない。その代わり安田末子と思われる女性が連絡先を置いてったらしい。店としては処分に困ってるとか言ってたが、その隙に俺はこっそりメモを取った。つまり安田末子をここに呼べる」
「真実を語ってもらおうぜ京介」
「お前…そのセンス仕事に出来るんじゃねぇか?」
「まぁ今回のことに関しては仕事だな。ともかく安田末子をこの店に呼ぶぞ」
それから安田末子が来るのに1時間とかからなかった。
「あら。依頼は完了したの?」
「あぁ。恐らくだがな。んで先に報酬の金額を知りたい。いくらだ?」
「言い値でいいわよ?」
「そうくるだろうな。100万だ。黙っといてやるから用意してもらおうじゃねぇか。事が事だろ?」
「いいわ。近くの銀行で下ろしてくるから少し待っててちょうだい」
「逃げるんじゃねぇぞ?」
「それなら依頼はしてないわよ」
それから10分くらいしてカランカランと店の鐘が鳴った
「随分早いな。そんなに貯め込んでたのか?」
「あら。お兄さん。喋り方に違和感を覚えるのだけれど」
「こっちはあんたに踊らされた。怒るのは当然ってもんだろ」
「そこまで読めてるなら推理を聞こうかしら」
「まず桜井夏帆って名前に心当たりがあるだろ?」
安田末子は無言だ
「それでだ。お前はかのん。もとい桜井のいる店に行った。その直後に桜井は店を辞めてる」
「それで?」
「桜井夏帆についても調べさせてもらった。行方不明だと警察に言われた。さぁ答えを話してもらおうか。安田末子さんよ」
京介はタバコを吸っていた
「そうね。そこまで知られたらもう私の
負けだわ。答えをいいましょう。それと報酬は先払いってことで今渡すわね」
「札束だ…札束だぞ京介!!」
京介は無言でコーヒーを飲んでる
「私が殺したのよ。桜井夏帆をね。」
「やっぱり殺したのか。行方不明ってのはどっかにバラバラにして捨てたとかだろうとは思っていたがな。だが動機が掴めなかった。けど。キャバクラっていったら男が行くところだ。男関係の問題だろ?」
「あら。そこまでバレてるのね。うふふ。侮ってたわ。桜井に旦那が貢いでうちは崩壊。幸い子供はいなかったのだけれど。数千万は使っていたようね」
「つまりこの100万も桜井夏帆から脅し取るなりなんなりした金ってことか?」
「そのお金は綺麗なものよ。私から全てを奪った女の金なんて燃やしたわ。もちろんその女と一緒に。」
「人を…燃やしたのか?この近辺は工場が多いが。夜のうちに入り込んだんだな…」
「それも正解。桜井の全てを燃やしても私はそれでもバレなかった。全てが終わって自首する前にコーヒーをと思ってこの店に立ち寄ったのよ」
「それでこの自作自演めいたことを依頼したのか?」
「殺人だもの。しばらくは外に出て来れないわ。そこにお金に困ってるあなたがいた。だからゲームでもしようと思った訳」
「ゲーム?」
「バレなかったら逃げるつもりでいたわ。バレたら素直に自首しようってつもりだったの。それじゃあ。私はこれで失礼するわ」
「ちょっと待てよ」
「なにかしら?まだ聞きたいことでも?」
「その。こんなこと言うのもなんだけど。黙っといてやってもいいと俺は思う。」
「あら。優しいのね。その優しさを捨てたらもっと素敵な探偵さんになれるわよ」
「その。悪いことしたかもしれねぇけどよ。安田末子。罪は償って真っ当に生きろよ」
「優しい探偵さんね。ありがとう。それとマスター。ご馳走様でした。」
安田末子が帰ってから2時間後
「あれでよかったと思うか?京介。」
「事件は解決しただろ?それに100万だ。いいじゃねぇか。」
「勘なんだよ。気づいたのも全て勘だ。俺の力じゃないんだよ京介!」
「そうカッカすんなって。ほら。タバコ」
「お、おう。ありがとうな。けど取り分どうするよ。俺が100万だと申し訳ねぇ」
「マスターに預けたらどうだ?捜査費用がかかる事例に巡り会ったんだ。今後の活動資金にでもしようぜ」
「そうだな…マスター預かっといてくれ」
「お前と俺は居候だ天馬。マスターが盗まねぇかしっかり見張ってねぇとな!」
「んなことしねぇってマスターは。そうだろ?マスター?」
「…」
「黙るなよ!!?」
その後安田末子は捕まった。地元の新聞にも載った。そして安田末子は最後までゲームを続けた。というのも喫茶店のことも天馬や京介のことも話したのだ。それ以降いつしか探偵喫茶と呼ばれるようになった
依頼は続く…
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