探偵喫茶へようこそ

あめのかっぱ

第1章 第1煙 初依頼

「ったくとうとう家追い出されたか…ちくしょう…朝比奈んちは金持ちだって聞いたけどあいつ変わりもんだからな」


神崎天馬(かんざきてんま)はそう思いながら喫茶店ブロードへ向かっていた


「うぃーす。ってまたお前いんのか京介」


「居たら悪いか?」


そう言うのは獅子京介(ししきょうすけ)

喫茶店ブロードの用心棒と言われるほど喧嘩は強いが普段は至って冷静。天馬とはここブロードで知り合った


「なんだその面。なんかあったか?」


京介が聞く


「なんだもかんだもねぇよ。家追い出されてんの!こっちは!」


「なんだそんなことか。お前閉店過ぎてもここいるんだからここに住めばいいじゃねぇか?」


京介が答える


「マスター!ちょっとやっかいになってもいいか?ほら知らん顔じゃないだろ?」


「…いいよ」


マスターが答える


「流石に毎日って訳にはいかないから俺らもなんかしねぇとな京介」


「俺はパチスロで稼いでるからいいんだよ」


京介は所謂パチプロで生計を立てているが家はなく用心棒としてこの喫茶店にずっといる。


「パチスロってもお前も家ねぇじゃねぇかよ」


「るせぇんだよ。お前も家ねぇじゃねぇか」


「そりゃそうだな!!笑えらぁ。あーぁ虚しいな。」


「文無し2人で何が出来るってんだよ天馬」


「なんとかなるだろきっとよ」


「カランカラン」


ブロードの鐘が鳴った。客だろうか


「初めまして。コーヒーを1つ」


恐らくマスターに挨拶したのだろう。女性はコーヒーを頼んだ


「あの女性に金になること聞いて見ようぜ京介」


「俺は知らねぇからな。勝手にしろ」


京介は聞きに行く気がないらしい


「あのーすみません。俺神崎ってもんなんですけど金になる話ありませんか?」


「あら。金になる話?そうねぇ…相談に乗ってくれないかしら?」


「相談?」


「私は安田末子って言うんだけど私からの依頼を受けてくれたらお金を出すわよ?」


「は!?」


急に依頼を頼まれた天馬。

引き受けるしかない状況にあるのも確かだ


「その依頼っていうのはある女性を探してほしいの」


「人探し…ですか?」


「報酬は手付金として5万。その後はまた支払うわ」


「ご、5万!?そんな危ない依頼なんですか?」


「危ないというより。若い子のほうが怪しまれないし…」


「なるほど…で。その女性の特徴とかは?」


「キャバクラでかのんって名前で働く女の子。としか知らないわ。」


「かのん…源氏名ですか?」


「恐らくね。だから私も本名は知らないのよ」


「んでなんでお姉さんが女性探してるんです?」


「あら。依頼人のプライバシーは守ってくれると思っていたのだけど。答えなきゃいけない?」


「あぁ!いえ!答えなくても大丈夫です」


「それじゃあ5万円。ここに置いてくわ。手付金よ。取っておいていいわ。それじゃあ」


「あぁ!はい!ありがとうございます!」


「カランカラン」


女性は帰ってしまった


「おい天馬。まじかよ。その依頼。どうみても危ない予感しかしねぇぞ?」


「んだよ京介。なんかあったら助けてくれよ。」


「だせぇ男だな。獅子家の家訓にはそんな言葉ねぇの。ほら。1万よこせ。増やしてきてやるよ」


「どうせジャグラー縛りだろ?俺は行かねぇぞ京介」


「ジャグラーの何が悪い。行ってくら」


パチスロへ向かった京介

依頼を訳もわからず受けてしまった天馬

これがどんな依頼かも知らずに…

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