2,TOCHANGETHEWORLD
「おまえ達、計画は話しただろ!?とっと行ってこい」
と俺たちの雇い主は言った。俺たちのほかには車椅子に乗った少女がいた。そう俺たちの雇い主リトゥナ・ヒルドールヴがいるだけで、この応接間にはほかに誰もいなかった。
「言っておくが、俺は失敗は許さないからなあ。とっと連れて来いよ。時間がないんだぜ」
リトゥナは言う。
「年下に命令されるのが、俺は気にくわないんだがなあ?」
よせばいいのにMACHINEGUNがいつものように突っかかる。
「けっ、じゃあてめえは帰れよ。もう調整もしてやらないからなクソガキが」
「こんな体にしたのはどいつだよ!」
「おまえ達の望みを、俺は叶えてやっただけだぜ。この人もどきどもが、その辺覚えているか?」
毒舌の応酬に俺とほかの3人は嫌気がさしているに違いない。そしてRIFLEが止めにはいる。
「あいつは毎日不機嫌デーなのかよ」
MACHINEGUNが外に出た後つぶやく。
おまえもだよ。
7
山田 太郎は最悪だった、つきあっていた相手がオカマだったのが人生で3番目に悪いことだとすると、結婚詐欺にあったのが2番目で、これが一番悪いことだった。
なんでだよ?疑問に答えはない。答えがあったとして納得するのか?言左右衛門との思い出を振り返るしかもう無いのか。呆然としていながら3度目の太陽が昇った頃、彼の友人の父から連絡が来た。
8
久しぶりの再会で気分が悪いのはどういうことだ。木戸は思った。
旬涼が死んだときのことを思い出し、俺は気が重くなった。今回も俺は何も出来なかった。
ガレージの中を歩きながら、周りをぼーっと見ているあるアームヘッドが目に入った。炎の剣を持った機体、スルトだ。もうおまえに乗る奴はいないんだよな・・・。そう思うと俺は悲しくなった。
9
警報が鳴る。アームヘッドが接近している。視認では4機だ。こちらが使える機体はヘズ、ヴィーザル、スルト、ヘルの4機だ。ほかは出払ってしまったり改修中だ。
敵のアームヘッドを視認で確認する。武蔵は知っていた。ハイブリッドレインボウ、 フリービーハニー、ターミナルヘブンズロック、そして ロックンロールシナーズだ。ヒルドールヴの試験機だ、つまり奴らはこちらに対し先手をとってきたと言うことだ。
10
山田 太郎は迷わず親友の機体に乗った。悲しみに暮れるもう一人の彼の”親友”を起こすことが出来るのかはわからなかった。正直出来ない方が可能性が高いと思った。
「応えてくれ・・・スルト」
彼はまだ沈黙している。
11
ルミナスだって泣きたかった、でもまだ進まなくてはいけないと分かっていた。宝生が再び立ち上がるまで待つつもりはなかった。自分の故郷のことは自分で決着をつけたい、彼女はそう思った。泣いてはいられない自分のセイギを貫き通す。ヘルは応えてくれた。
12
ヘルの発進を確認した。ヴィーザル、スルトも発進準備中。ヘズに乗り込みながら、スーは現実が信じられなかった。目の前でみたのに、いや目の前でみたからか。夢なら、これが悪夢なら良かったのに、ヘズの振動がその幻想を振り払う。
13
俺はこいつで、フェンリルの奴に復讐をした。いやそう思っていただけだ。仇を討つということになんの意味があるんだ?現実は変わらないのに。
ヴィーザルの中のトールに問う。答えは知っている、答えは自分で見つけろ。それはまったくその通りだよ。ヴィーザルは火花を散らしながら宙を舞う。
14
「こちらフリービーハニー、アナザーモーニングを援護する」
俺は作戦通り、菊田重工の内部へと向かった。予想外だったのはまだガレージにアームヘッドが残っていたことだ。あれはスルト?良かろう俺が始末をつける。
「拙者はSWORD!尋常に勝負せい!」
返事がない、なめているのか?
15
SWORDは大型の剣で斬りかかった。山田が絶体絶命と思ったとき、スルトが反応した。炎の剣はSWORDを受け止めた。
「ほう」
SWORDは感心したように第2撃をしかけようとした、しかしおかしい点に気付く、どうやら敵のアームヘッドが覚醒していないということに。
「どういうことだ?」
フリービーハニーを止めコクピットを蹴飛ばしたSWORDははすぐにスルトのコクピットに飛び移った。コクピットをこじ開けるとSWORDは山田に問いかけた。
「どういうつもりだ?貴様」
16
敵のパイロットは少年だった。そしてこちらにとどめを刺すのではなくコクピットに来てなにやら説教をしている。
やはりスルトは、まだ応えてくれなかったか。だが・・・。
17
「ここが弱点か」
RIFLEはヘズの弱点を調和”HEART IS THERE”でみつけた。彼のロックンロールシナーズとヘズは相性がいい。実に相性がいい。彼は思った。
スーがロックンロールシナーズの位置を見つけたときすでにそれは終わっていた。ヘズの機能では攻撃が探知できなかった。
白い十字架が現出していた、ヘズの後ろに、ロックンロールシナーズの能力で現れたそれを熱で察知することは出来ず、カメラを持たないヘズにそれを見つける手段はなかったのだ。
18
「ヒャッハー!どうしたよどうしたよ!」
MACHINEGUNはヘルに対して弾幕を張っていた。向こうのアームヘッドはなぜか動きが鈍い。いやこのハイブリッドレインボウが強すぎるだけだな。そう断定してばらまいている弾で向こうの哀れなアームヘッドが産廃になるのを待つだけだ。
19
「そいつがヴィーザルって言うアームヘッドかい。いいですねえ」
AIRはつぶやいた。おそらくこちらのアームヘッドより目立つ機体に違いない。そうに違いない。
オーツードックの効き目が悪い、ならドッカーンだ、ドッカーン。この空気がふるえる音が好きなんだ、最高だ。俺も一緒にふるえるぜ。
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