アフター・ザ・レジェンドその4、新光皇暦2008年


男は誓っていた、自分の前で散っていった少年の仇をとると。自分のアームヘッドはここにあり、その仇も地獄から帰ってきたようだ。木戸陽仁はこのヴィーザルで仇をとると。


「このヘズって機体、なかなかイイデキのようね」

自分にロキの変わりに与えられたアームヘッドはそれなりの性能のようだ。ラグナロクの時以来の実戦だがこのことならやっていけるだろう。

「ヘズ、カミーニャ・アルドランいきます!」


ヘズとヴィーザルが出た後、セイントメシアのように白くオーディンのように力強いもう一機のアームヘッドが出撃した。


ユミルの前には通報を聞きかけつけた御蓮軍が集まっていた。

それをみるとユミルは全身に花を咲かせその名からアームヘッドほどの大きさの巨人を生み出した。


多くのアームヘッドがユミルに接近しようとするが同じくユミルのなから現れた巨大な鳥と蛇に妨害され近づくことができなかった。


同様にブリュンヒルデも傷ついていた。雪那は焦っていた、メシアは工場内で改修中だった。スルトがいるとはいえ文字通りの怪物となったユミルの前では御蓮軍は手も足も出ないだろう。


菊田も焦っていた。ユミルは巨大すぎるのだ。100メートルを超えるサイズの前では勝利の剣も役には立たない。だが焦ってる理由はそれではなかった。


あいつら遅すぎないか、道草でも食っているのか。


その時だ、槍が巨大な鳥の神話機関を貫いた。

「ヘズか、間に合ったのか」


「きどちゃんはどうした」

そのきどちゃんのアームヘッドはユミルを見てオオカミの口へ突っ込んでいったのだ。


だが、きどちゃんはその行動を後悔した。ヴィーザルの耐酸性アーマーではフェンリルの溶鉱炉に効果は薄かったのだ。


なんてことだ、返り討ちに遭うなんて、自分はなんてマヌケなんだろう。

旬涼の声が聞こえる。


あなたの怖い顔なんて天国では見たくない。


ヴィーザルが発光した。


ユミルは大きく割れそこから一機の輝くアームヘッド、ヴィーザルホッドミーミルが姿を現した。


旬香は小さく、

「やった」

ともらした。


「まだだな」菊田はつぶやいた。


ユミルの割れ目からあの忌まわしいファントムが姿を現した。ラグナロクだ。ラグナロクはヴィーザルをハエを払うかのように払いのけた。


木の根から生えたラグナロクの背中から木が一瞬で生長した。


絶望に包まれる中一機のアームヘッドがブリュンヒルデとファニオ、スルトの前に降り立った。

そのコクピットから出てきた男を見て雪那は驚愕した。

行方不明になっていた父幸太郎だ。


「みんなよく頑張ったね、後はこのバルドルで私がケリをつける」

「乗せて」

雪那はいった。

「だが、しかし」

「いいんじゃないの」

バルドルのコクピットからもう一人の男が姿を現した。

「勝手に失踪してたんだから娘さんのわがまま聞いてもいいじゃない、後お嬢ちゃん、このバルドルは二人乗りだ、そこのお友達と一緒にどうだい」

「テーリッツ!」

幸太郎はドーナツやろうが娘を危険な目に遭わせようとしているのが気に入らないようだ。

「私もう以前の私ではありません、だからユミルとラグナロクと決着をつけさせてください」

「だとさ、バルドルも野郎二人乗せるよりイイってさ」

マキータが適当なことを言う。

「いいだろう、とうさんとこのへんなおじさんがセイントメシアで支援する、死ぬんじゃないぞ」


「ありがとう変なおじさん」


マキータは後でドーナツをやけ食いしようと心に誓った。

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