パニッシュメントその16、新光皇暦2009年

救護室。皇帝はかなりの巨体であうベッドがなかなかなく二つのベッドをあわせた上に眠っていた。プラントの皇帝は彼で28代目だ。彼の一族が五百年間アイサ大陸を統治してきた。アームヘッドを彼の国で導入を決めたのも彼だ。俺は思うこともあり彼のところへいった。まだ帝国の者は来ていない。

  


俺はふと彼の顔をのぞき込むと不思議なことが起こった。

皇帝の閉じた目が急に見開き、光。目に吸い込まれるような感覚。「あいつの息子か...」「え?」「いや、すまない500年たっているんだったな。俺もだいぶ耄碌したようだ、俺はヴァイス・マキータ・プラント」「あなたはダクシア帝では?」「そうだったな今は」

  


「今は?」「俺はアキ...、なぜか思い出せぬ。俺の名を知っているか?ザーニ」「大丈夫ですか?」本当にこいつ大丈夫か?「もう少しで死ねる、やっと呪われた運命から解放される...」シリアスみたいなこと言いやがって、んsにがおきたんだ。「少し、俺の昔話を聞いてくれ。ザーニ」

  


「いいですけれど」「しばらくは誰も来ないだろう、500年ぶりだしつもり話もあるよな?」「...ええ」誰かと勘違いしているのか?「俺はいつもの農作業をしていると天から声がしたのだ、あれは神の声だと思ったね」皇帝自ら農作業する国なのかー。「アイサの天啓でしたっけ?」「そうだ」

  


「俺は救えと言われた」「何をですか?」「この星をだ、おかしいだろう。一人の農夫に過ぎなかったこの俺がだ、そしてあとは歴史の知る通りだ」「何から救うのですか?」「エクジコウ...って聞いたことがあるか?」皇帝もまた知っているのか?当然か?「ええ」「流石だ」「隕石ですか?」

  


「そうだ、500年前からあの隕石がこちらに向かうことは分かっていた。特異点が目覚めたことに誘因されエクジコウもまた目覚めた」「どこまで知っているんですか」「俺はな、全てを知った。来るぜ...」ふと扉を見ると開き幸太郎が入ってきた。

「俺は未来の記憶を持つ、来るべきときが来てその記憶はだいぶ薄れた。だがまだ覚えているぞ。セイントメシアの騎士よ」幸太郎が入室。静かに入室。「どうも陛下」「俺は陛下ではない、しがない男に過ぎぬ」「いえ、あなたは王、それも暗黒のね」「くくく」ヴァイスが笑う。

  




「俺は王だ、だが暗黒の邪王と融合した我が魂は呪われていると!そうだ!だが俺は奴を巻き添えに死ぬ!それが運命なのだ!」「運命ですか...」幸太郎が言う。「何か不満でもあるのか?俺の秘密に幻滅したとでも?そうだろう。俺は結局帝国を見捨てねばならぬのだ」「それもまた運命ですか?」

  


「そうだ!セイントメシアの騎士よ!」「お前!」幸太郎が皇帝を殴るが、かわされる。「運命なんてもうたくさんだ、ふざけるのも大概にしろ!」「お、おい」「だから…俺はお前が好きだ。幸太郎。会うのがずっと楽しみだった」「…」「誰も俺を信じることはないだろう俺のパワーを信仰したとしても」


「いったい何の話をしているんだ?」「俺は作られたのだ、エクジコウと戦うために。未来を見る力を与えられ来るべき時にアームヘッドを導く為に」まだわからない。「調和か?」「そうだ、幸太郎。調和能力ビジョンズだ。これは運命を縛る力だ。そしてそれを破る方法も教えよう」「なんだそれは」

  


「それは知ることだ」

皇帝はその夜失踪した。アームヘッドが一機消えていたという。

  



その夜!俺はアームヘッド格納庫に皇帝を連れてきていた。その前に何があったか?そうだ、俺の部屋にヴァイスが来た。ではなぜ来たのか?皇帝ヴァイスの記憶がそうさせたのか?あるいは能力が?俺は彼が完全に狂ったと思っていた。狂言の能力。

  


いや能力故に狂ったのか?そうではないどちらでもない。能力は薄まって来ていると彼は言った。彼の能力を知っている(勿論信じた訳ではないが)俺は彼の能力の範疇の外であるわけだ。俺はある種哀れに思ったのか?いやもしくは希望を感じていたのか?エクジコウに勝つための?なぜ。彼は知っているか?

  



落ち着いて話をしてみようとそう思ったのだ。  

廊下でふと出会った皇帝はまるで幽霊みたいだった。ダクシア帝?ヴァイス?とにかくその夜は色々あったのだ。

  


「何をそんなに驚いているのだ?」いやでかいし...。だが先程よりは落ち着いているようで安心した。「どうしてこんなとこに?」「探しているのだ...」皇帝の探し物...。「本名とかです?」「そうではない...近いが」「未来予知で見えません?」「見えぬ...」そうですか。

  



「未来予知で見えるものは頼りにならん、運命でも因果でもないものが必要なのだ、ビジョンズでは見えぬ...」「はあ...」「話をせよ」それはこっちが言いたい...。「アキナ...」「うぬ?なんだそれは」「娘ができたらどんな名前つけるか考えていたんですアキ...とかって言ってたでしょ」

  


「で?」そう言われても困る突拍子もない話をしてやろうと思ったまでだ。「アキ...なんとかって言うんでしょあんた」「アキトだ。明輝斗だ、今思い出した」「え?」「マキータ・テーリッツと言ったな?」「あっはい」「案内せよ!」どこへだ...?そして来たのは格納庫だった。そこには創生。

  


「いいことを思いついたのだ」アキトが笑う。アキトは近くにあったアームヘッドに向かい乗った。「退いていろ」起動覚醒...。「マジかよ...」なぜ普通に他のアームヘッドを動かせるのだ。「運命を破壊せよタイラント」タイラントが創生をアームキルした。すると不思議なことが起こった。

  


そのアームヘッドは復活祭(イースター)と呼ばれていた。だが今の名はタイラントだ。創生を殺したタイラントは光を帯び変質を始めた。融合か?違う...。タイラントの襟が肥大化し巨大なアームホーンと化す。まるで創生が乗り移ったいや力を奪ったのか?「マキータ・テーリッツよ」「...」

  


「俺は新しい調和を得た」「よかったね」「しばらく消える」「どこへいくのです?」「宇宙だ」「え?」

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