パニッシュメントその14、新光皇暦2008年
「バンゲナッタ・ネネバネ、バンゲナッタ・ネネバネ」なんだ音楽...。接触通信...?触手の本体からか?「バンゲナッタ・ネネバネ...東アイサの言葉で"死すべき時が来たのだ"という意味だ...」海の中のアームヘッドからの通信!
ダークサードはじわりじわりと海へ引っ張られる!ダメージを負った機体のパワーで耐えられない。「使え!」雪那だ、リアルメシアは刺さっていた剣を抜きこちらに投げた!股関節を損傷し崩れ落ちるリアルメシア!剣をキャッチするダークサード!触手を切断!「お、のーれ...」海中からアームヘッド!
セイントメシアだ!触手、いや尻尾を切断された青いセイントメシアが姿を現す!「これもテストのうちか?」「違う!フォールン・エンゼルのセイントメシアサードアンダーだ!」「どーも、フォールン・エンゼルの観舌座虎雄です、この機体はセイントメシアサラマンダーだ...」「くっ、なまっていた」
「セイントメシアはマーダー・エンゼルの専売特許ではない...。我らが勝って統一...」「セイントメシアを奪いテロリストになった集団がフォールン・エンゼルよ!」「なるほどテストは終わり、実戦と言う算段だぜ」サラマンダーが構える。「負傷したみで勝つ気とは屈辱...。村井を出せ...」
「負傷はお前も同じ、自慢のものは切断ずみの萎えたボディでまだ粋がるかテロリスト?」「愚か...」サラマンダーの尻尾がとかげめいて再びはえる!「な?」「調和能力...。リザードマン...。再生能力...。隠さない男らしさ...」「なるほど!こちらの調和は...」「言う必要ないわ!」
セイントメシアサラマンダーは通常のセイントメシアとは違い、エラめいたフェザーに長い尻尾というデザインだ。得物はもっていない、恐らく尻尾が武器なのだ。「サードアンダーは水中特化、水中戦はしないで!」「サラマンダー...」どっちだか分からんが突撃だ!サラマンダーは隙がない!
ワープで後ろにまわる!「観ていたから...わかる...」サラマンダーの最大の武器は尻尾!つまり後ろは弱点ではない!調和能力もこれでつきた!万事休すか?だがサラマンダーが大きく揺れる!リアルメシアがサラマンダーに体当たりをした!隙ができた!剣でサラマンダーを刺す!
コクピットは外れている。サラマンダーは尻尾で跳躍!水中に入った!「不味いわね、こちらの戦力は損耗した二機のみよ」「幸太郎は...」「バカンス気分だから、持ってきてないわ...」「流石だな」「敵はまだいるかも、奪われたセイントメシアは六機...」「そんなに?」水中から飛び出た!
「安心しろ...我のみ...絶対の自信...」サラマンダーは剣を抜きこちらに投げた。更に傷が再生。サラマンダーが着地する。「マキータ...」「なんだ?」「勝機が見えたわ」続く。
日が沈む!「バンゲナッタ・ネネバネ...」サラマンダーから音楽が漏れる!リアルメシアのフィジカルライフルが火を吹く!砂煙がサラマンダーの視界を奪う。何度も何度も撃つ!弾切れだ!「なんという...見苦しさ...無意味...。ヌッ?」衝撃的光景だ!
「なんの真似だ...」「俺はお前たちにつくことにしたぜ!」「マキータ!どういうつもり!」ダークサードはリアルメシアの首に剣を突きつける。リアルメシアは脚部を失い、移動不能だ。「分が悪いし、こいつらにつく義理もねえ。七機になればよりメリットがあるだろう」「ほう...」
「では...とどめる故...逃がすなよ...」「おお、頼むぜ」サラマンダーが突進する必殺の尻尾ヅキだ!「ただし...お前ごとだ...猿芝居...効かぬ...」「バレたぜ」サラマンダーがリアルメシアのコクピットを貫く!だが、ダークサードはかわす!「調和は回復したぜ!」すぐ横に移動!
リアルメシアから飛び出た尻尾を剣で貫きサラマンダーの動きを奪う。ダークサードはリアルメシアの視線をサラマンダーに向ける。「おらあ!」膝の上に座る雪那が叫んだ!サラマンダーにダメージ転移!コクピットが裂けるサラマンダー!「こしゃく…」「このままとどめをさせ!」
「こしゃく...こしゃく...」ダークサードは行動不能に陥りつつあるサラマンダーにアームキルを試みる!しかし猛スピードで迫るもう一機のアームヘッド!四足歩行のアームヘッドはサラマンダーとの間に割り込みサラマンダーを抱え海へ撤退!「よくぞ来た!ミスターヴァカ!」「ナサケナイ」
「フォールン・エンゼル、もう一人!」コクピットの雪那が叫ぶ!増援?「一人で来たんじゃないのか?」「ハッタリよ...」「オレ、コイツラタオシタイ」「待て...オレが死ぬ...ピンチだ...」「セイントメシアトロルハムテキダ」「催眠...弱まって...弱る...」トロルが来る!
しかし、さらにもう一機トロルとダークサードの間に割り込む!セイントメシアサードだ!サードはトロルに剣を向ける!「コイツ、カナリノジツリョクシャ、フショウシタミカタイルトカテナイ」トロルが遁走する!手を前足めいて四足移動!逃げるのも速い!サラマンダーを抱え海へと消える!
「やった...」雪那が胸を撫で下ろした。だが急に「さっさと下ろしなさい!狭い!」雪那を下ろしながら、新たな敵について考えていた。
カッフェ!「あちらでお客様がお待ちになっております。ウエイトレスエイワズの案内。あのあと手紙が来た、果たし状だ。「イチャイチャカップル、会いたいので来い、フォールン・エンゼル」という内容だった。傍らには雪那がいる。「ちげーし」いざとなればエイワズがいる。
「バンゲナッタ・ネネバネ」携帯音楽プレイヤーから漏れる音楽。「来たか...」目付きの悪い女がこちらを見る、隣には筋肉質の男!「ハジメマシテ、ミスターヴァカデス。ヨロシクオネガイシマス」「座んなよ」女が言う。「お前が座虎雄か?」「そうだ...なにかがおかしいか...?」
「どうりで男らしさは必要ないわけか? 」「そういうことだ...」「ご注文はドーナツですか?」「はい」「バナナモオネガイシマス」「了解いたしました」「ロールキャベツよ」「あんたは」「ザコオニモバナナヲ」「はい」注文は終わった...。「マッチポンプというわけか?」俺は問いただす。
座虎雄はバナナをしゃぶりながら言う。「違う...ただ...研究所は...恐らく...セイントメシアで...最強...のものを...必要としている...」なんのために?エクジコウのため?「オソラクセイントメシアノサイキョウヲツクルタメオタガイアラソウアームヘッドホロボスタメ」
あるいはこいつらもまた古代の意思というものに突き動かされるているかもしれない。俺はスカージのことを思い出す。あのまま取り込まれたら俺はどうなったのだろう?実際にアームヘッドに取り込まれ操られているものもいるかもしれない。「チュパ...なるほど...」座虎雄がこちらを見る。
「実際に...見てみたかった...」「アームヘッドノルタタカウテキノコトワカッタツモリナルダガジッサイアワナクバワカラン」「テロリストがうろついていいの?」「オレタチ、マダケンキュウジョシカオソッテナイ。ウラリズイル、アンイニテヲダスムイミ」リズの手先...。
「リズが...」「どうした雪那?」「いえ、少し昔のことを思い出しただけよ...」「リズニツイタ、セイントメシア。オレタチハジメテジャナイ。カノジョムカシノウラギリモンサラワレタトラウマ」「本当に大丈夫か?」「大丈夫!」「イチャイチャしやがって...」「イチャミタイイッタノザコオ」
「そういうの...ちょっと...好きなだけ...黙れ...」「オレタチサラウシナイ。ヒキョウモアームヘッドノタタカイノウチダケ」「そうか?」俺は確かに襲われるリスクも警戒していた。「俺は...リズに金もらい...お前らちょっかいで生きるだけ...」「オマエラカネヅルシヌコマル」
「勝手ね」「リズも...利用する...そうだ。いいこと教える...。リズ...第三勢力援軍...」援軍?「機密とかじゃないの?」「オレタチトノカンケイヒコウシキ。リズミトメルナイ」「なぜ...教えるか...次の敵は...インベイダー...」「宇宙人?」「リズキンキオカシテル」
「エクジコウ...トンドル...」俺は遺跡でのことを思い出した。「エクジコウシラナイガ、トンドルノクニ、リズトドウメイ。デモアキラカニオカシイ。アームコアソウイウ」「トンドルの月...の文明...リズと同盟...。だがアームコアは言っている...。おかしい...」
そしてドーナツが届いた。「オレモクッテイイカ」「食べろ」料理を食べながら俺は考えていた。セイントメシアのこと、トンドルのこと、エクジコウのこと。雪那のことをだ。
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