パニッシュメントその10、新光皇暦1215年
コツーン。「ここは...?」コツーン「マキータ、久し振りだな」コツーン「ヒレー?」コツーン「みんないるぞ、しかしこの格好...?」コツーン「ぬう、これは...」
アマナが手でしたを隠す。「あなたは誰?」「俺はヒレー・ダッカーだ」「俺が体を持っているのも関係するのか?」見知らぬ全裸の男、いやシリアスだ。「殿、これは...」白樺がしたを隠しながら問う。「俺が聞きたいわ!」「44444,222,11,4444,000?」麺状の球体が震える。
「いや違うぞ、チーノ」「4444※,6?」コツーン、足音が大きくなる。「皆さん、こんにちは」仮面を着けた男が現れた。「私はサイクル」
「わたしはサイクル、新光皇にしてムスタング、アウタ・ゴッド・フレンドでありそしてお前だ」サイクルがポーリーを指差した。「私?」サイクルが仮面を外すとポーリーと似た中性的な顔。機械的な体とは大分違和感がある。「ポーリー、ゴレンを救ってくれ」
「ゴレン?」「私の友人の名だ、今はエクジコウと名乗っている」「お前が御蓮建国の新光皇だというのか?」アマナが問う。「そうだ、タツトモ君、彼の地には我が友人の名をつけ私はこの地へとやって来た、友人の眠りを見守るため、だが彼は目覚めてしまった。エクジコウは歪んだ復讐に囚われている」
「歪んだ復讐...」「君はそれを克服したね、マキータ君、だからわたしは君に会いたかった。君なら彼を止められるかもしれない。ただムスタングの考えは違った」「ムスタング・ディオ・白樺...」「そう、もう一人のわたしは代替特異点を止めるためにエクジコウが必要と考えた。それは違う」
「違う?」「代替特異点を止めるのはエクジコウではない。ゴレンだ。理想を追ったマトラン、我が友人のゴレンだ。偉大なるものたちもそれは理解していまい。わたしは彼らを心底軽蔑している。ゴレンをエクジコウをただの道具として思っておるまい。哀れなヴァイス・マクータ・プラント同様にね」
「俺は道具ではないぞ...」アマナが言った。「ならば代替特異点を御して見よ力を正しいことだけに使うのだ。そしてそれを無為に消耗することもするな。わかってるかシリアス、君の力はムスタング達が継承した。君が代替特異点のような暴走したパワーにならぬよう消そうとした力に向き合っている」
「決着を着けようぞ...」「望むところだ」シリアスとアマナが向き合う。「マキータ君、ムスタングとゴレンを頼んだぞ」サイクルがポーリーと同化し消えていった。戻る現実...。アマナとシリアスは共に自分の機体に乗り対峙。ブラックシープとアマナが交差する。アマナの触手がそして落ちる。
「シリアス!」代替特異点を切り離しコクピットへアマナが飛んでくる。シリアスは飛び出しアマナのぬきてをとめ、逆にぬきてで貫く。「死に場所を探していると言ったな...。残念だがここではなかったぞ」ブラックシープが同調するように肉塊巨人と肉塊島を切り裂く。代替特異点が爆発する。
「3,888,5,9」代替特異点アーリオ・オリオ・ペペロンチーノは爆発し四散した肉塊が蒸発しモザイクめいた見た目に変化しながら消えていく。俺の体もポーリーも消えていく。視界が暗転していく。
このあとシリアスは時間の特異点のパワーを現在のみ残しマリーに未来の力を渡した。
パトリシアは一人残された、過去の特異点の力を得て。マリー・ダッカーはロボ・ヒルドールヴとリズに駆け落ちし消えた。このあとヒルドールヴ家は没落の一途をたどったという。パトリシアは英雄として孤独に死んだのか。そうではなかった。白樺有恒と結ばれたパトリシアは現代に白樺家を残している。
それは語られておらぬ歴史。けれど白樺家は代々パトリシアのパワーをシリアスの忘れ形見を継承してきた。「それが過去の特異点なんだぞ」ムスタング・ディオ・白樺が言った。遺跡だ。戻ってきたのだ。俺は身構える。幸太郎が驚き飛び起きる。「そう身構えるな、諦めたぞ。こんなのはもうごめんだぞ」
「え、どうなってるの?」幸太郎が寝ぼけ顔で言う。「終わった」「え?」「とくに得るものもなかった、帰るぞ幸太郎」「う、うん」「またな」「俺はもう会いたくないぜポーリーさん」「ふふ」その笑い方はムスタングというよりはポーリーぽかった。
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