第14話 第一回ATM貯金引き下ろしRTAを行います。


 ※少しファンタジー色が強いです。ちょっとついて行けねぇ!ってなる方が出るかもしれません。それは作者の表現力不足なので申し訳ないです。そういうものだと思ってお読みいただけると幸いです。

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 そっと、トイレの扉を開ける。

 ずっと、こちらを見られていた場合もうどうしようもないのでここは素早く行く。さっと、扉から抜け出ると幸いにも霜月さんは向こうを向いていた。

 そして、どうやら人目にも監視カメラも映らない位置のようなので人間の出しうる速度を優に超えるような超速でさっと、霜月さんの死角の通路に移動する。こういう人間を辞めた動きをしているとやっぱりスノウはゲームの中のキャラなんだなと思う。

 もうこれ以降は、霜月さんの目につく場所は無いのでさっさとファミレスを出てしまおう。


 下手に怪しまれるのも嫌なので軽いランニングくらいの速度でカウンターを通り過ぎて外に出る。また幸運にもカウンターには夜だからか店員はおらず素早く外に出ることが出来た。


 よし、どうしても入店音はなるが恐らく問題ない。急いでコンビニに向かってしまおう。

 夜なので人通りはほとんどない。

 あまり霜月さんを待たせるわけにはいかないので、人に見られていない間は速度を出して走ろう。というか、ケープもないしあまりこの姿を人に見られること自体好ましくないんだよなぁ。

 今度は不幸にもというべきか今日は綺麗なまん丸のお月様が出ていて俺の姿をしっかりと照らし出している。スノウの長く美しい銀髪にはさぞ月光が映える事だろう。というか、映える。

 はぁ、急ぎはするけど人目も気にして急ぐとするか。


 そうして、駆ける事約3分。前方の方に小粒程の人影を発見。如何やら自転車を使ってこちら側に向かっている模様。俺の方から近づかなければ接近まで約2分というところか。次の十字路で一本道を横にずれるか。


 ずれた先で次は再び前方から車が。先程同様まだ距離はかなり離れているので元の道に戻って対応することにしよう。

 おっと、まだ先程の自転車が通り過ぎてないのか。一瞬顔を出したもののさっと、首を引っ込める。見られたかもしれないが首だけだし急いで姿を隠せば気のせいに思うはず。

 車との距離はまだぎりぎり大丈夫と信じて逆方向に人並みの速度でダッシュする。車が来る通りを抜けてコンビニへの道を二本ずれる。これはかなりのロスだが仕方ない。いっそ、屋根の上でも移動した方が早いのかもしれないが流石にそれは悪目立ちし過ぎるだろう。


 1分ほど走り数本の十字路を抜けたあたりでそろそろコンビニに近づいてきたので元の通りに戻る。……前方にも後方にも人影は無し。よし、後はコンビニを目指すだけだ。


 そうしてたどり着いたコンビニ前。最悪な事にコンビニの前にはたむろしている不良のような男達。うわぁ、最悪。

 コンビニは自動扉なので流石に全力疾走で入るなんてことは出来ないし、監視カメラもあるので常識的な行動を心掛けないといけない。向こうは絶対気にしないのになぁ。

 他のコンビニに変える?ここから5分程の所にも別のコンビニがあったはずだが流石に霜月さんを待たせすぎるのはなぁ……。よし、仕方ない。いくか。


 嫌々ながらも不良たちの前に姿を現す。そうして、さっとコンビニに入ってしまう。視線は感じたが店内に追ってくる様子はない。よかった、取り越し苦労で済みそうだ。

 そうして目的のATMに何とかたどり着いた俺は懐から財布を取り出しカードをATMに挿入。当分の間、困らないようにと10万円程をおろすことに成功した。よし、ファミレスに戻ろう。


 そうして外に出ると嫌な視線が絡みついた。

 ちらりとそちらを向くと先程の不良な感じのお兄さん達。速足で道に出てファミレスに戻ろうと歩き出したのだが後ろからぞろぞろとついて来ている気配を感じる。はぁ~、最悪。超絶不快だ。


 とりあえず十字路で右に曲がってみる。……うん、これは確実について来てるな。ホントに最悪。

 そんな感じで曲がった先の十字路で幸運にも点滅している赤信号を発見。走るか。

 小走りで十字路を左折する。結果的にコンビニからファミレスまでの道を一本右に逸れた形になった。

 携帯を取り出して写真モードにして背後を確認。躊躇なく赤信号を走って渡ってくる男達。あ、これ、そのまま俺のとこまで走ってくるな。はぁ~。嫌だなぁ、この手段は出来れば取りたくなかったんだけどなぁ。

 ため息を一つ吐き、携帯をしまって俺は走り出した。当然、その走りは人並みに加減したものだが、素人の走りとは思えない速度で走る。突然の俺のダッシュに虚を突かれたのか男達が急いで追いかけてきている気配が何となく背後から感じられる。ただ、明らかに俺の方が早いのでどんどん距離は離れていく。ちらりと振り返れば少し走っただけなのに結構な距離が開いていた。容姿だけでも印象に残るのにそれ以上に印象に残るのもどうかと思ったんだけど絡まれるよりは断然ましだ。よし!こうなったらさっさと撒いてしまおう。


 十字路を再び右折。そして、また次の十字路で左折する。完全に男達の視界から外れた瞬間に数秒かけて周囲をしっかり確認。人目も監視カメラがないことも確認して軽く地面を蹴り一息で人様の塀に降り立つ。

 勝手にお邪魔して御免なさいと心の中で謝りつつ今度は立っている塀を一蹴り。一足飛びに二階建ての民家の屋根に着地する。うわ、分かってたけど手が届かない屋根の上って汚ねぇな。少し、屋根の汚さに辟易しながらも上からこっそり下の様子を伺う。それから十秒ほどして男達が到着する。あっちに行ったこっちに行ったと言いあいながら別方向へと別れていった。


 ……あいつら俺に追いついてからどうするつもりだったんだろ。ナンパにしてももう少しやり方があるだろうに。無いわぁ。

 下を覗きこむのをやめて屋根の逆側に向かう。二階って結構高いと思ってたけどスノウの目線で見るとこの程度なら全然高く感じないな。

 そんな事を思いながらとんっと屋根を蹴り、ふわりと道路に着地する。スノウは足腰も人間離れしているのか二階から飛び降りてもほとんど衝撃を感じる事は無かった。


 さて、あいつらは撒いたし霜月さんが待ってるファミレスに急いで戻りましょうかね。

 屋根から降りる時に人目は無かったのでまた全力ダッシュを慣行し、無事俺はファミレスへと帰還する事が出来たのであった。



第一回ATM貯金引き下ろしRTA


かかった時間:17:06.02


評価:割と人間離れした身体能力をフル活用して頑張ったと思います。by三芳。


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 ……お久しぶりです。大変お待たせ致しました。

 実に二週間ぶりの更新です。いやぁ、思ってたより遅くなりましたね。のんびり更新とは言っているものの少し申し訳ないです。

 先週は近況ノートでも呟いたのですが久しぶりに風邪をひいてしまい更新できずじまいでした。もう少し更新頻度を上げたいなとは思っているのですがなかなか上手く行きませんね。

 これからものんびり更新になると思いますが楽しんでお読みいただければ幸いです。

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