第25話 エンカウント
はぁ~夏休み、夏休み。すがすがしい日だよな外は。小鳥は歌い(幻聴)、花は咲き乱れ(幻覚)...。
今日この日を迎えるために校長の長~いお話を聞き流したまである。
「こんな日こそどこか散歩へ出かけるか。」
そうと決まれば善は急げ。いざ、ゆう散歩へ。
――と思って出てきたのはいいものの、目的地や行きたい場所もないためグダりそうな散歩だなぁ。
「とりあえず図書館にでも行ってみるか。」
と思った瞬間。
「あっ!先輩!」
体から血の気が引いてくのが分かる。地獄の業火に焼かれたような気分だ。
その声の主はこちらの姿を確認するとすぐに小走りでこちらにやって来る。
「お久しぶりですね!先輩!」
「うわぁ...。」
「うわぁ...。じゃないですよー!」
目の前にいるのは中学の時の後輩である桃宮美琴。
黒くてつやのある長髪、笑う時に出るえくぼが特徴的な女の子だ。
スタイルも良く、引き締まった体をしているのにどこがとは言わないがしっかりと主張はしていて...。いや、大きさ的には有希乃の方が大きいと思うがな?――思いたい。
「どこ見てるんですか?せ・ん・ぱ・い?」
美琴が効果音でイヤ~ンと聞こえてきそうなほどわざとらしく胸を覆い隠す。
正直そんなことしても柔らかい胸が歪んで逆にエロい。
「ば、馬鹿言ってんじゃねぇよ。」
「先輩のエッチー!」
「そういうこと大きな声で言うなよ!」
ほら、痛いじゃん周りの視線。
あ、そこ!おもむろに携帯を取り出すんじゃない!
「...と冗談はこの辺にして。先輩、どこへ行く予定だったんですか?」
「はぁ。お前の冗談は心臓に悪い。」
あ、あのお兄さんが携帯をしまった。やっぱ通報する気だったんだ...。
「さりげなく無視しないでくださいよ~。」
そりゃ無視したくなるだろう。はぁ~こんなことなら散歩に行こうなんて思うんじゃなかった...。
「ごめんごめん。ちょっと図書館に行こうと思っただけ。」
「...奇遇ですね!私も行こうと思ってたんですよ!」
嘘つけ。なんだよ今の間。その予定絶対今作っただろ。
「お前なんか図書館に用があんのか?」
「勉強しに行くんですよ勉強!」
「あぁそれはやった方が良いな。うん。」
実を言うと美琴はかなりポンコツなのだ。顔立ちこそ良いが頭の中身がとても残念なことになっている。
中学の時も何かにつけて面倒を頼まれていたような...。うっ...!頭が...!
「ほら~私もそろそろ高校受験じゃないですか~?だから~だめな私に教えてくれませんか~?」
悪魔から地獄への誘いが。
「おっと!やらなければならないことがあったんだった!悪い!帰るわ。」
「えっ、ちょっ。」
俺猛ダッシュ。美琴には悪いことをしたが貴重な夏休みの初日を後輩の面倒見で潰すわけにはいかない!
「いつか面倒見てやるから~!」
その後は家で打倒晃德を目標にストブラの練習にふけっていた。
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