第24話 前代未聞

ある日の休日。俺は珍しく晃德と通話しながら一緒に某乱戦ゲーで遊んでいた。 


 「なぁ晃德。お前なんか夏休み予定あんの?」


 俺の魔槍がヒット。


 『そういえば来週から夏休みだな。俺は彼女と遊びに行ったり、お前とこうしてたり、宿題したり、勉強したりでいろいろあるぞ。』


 晃德が復帰阻止をかわして崖に捕まる。


 「宿題と勉強は違うのか...。」


 俺は回避上がりを予想して魔斧を用意。


 『当たり前だろっと。』


 晃德は予想と反してその場上がりを選択し、隙をさらした俺に横ストライクが当たる。


 「おっと...さすが秀才。考えることが我々と違う。」


 離れた俺にさらに爆弾とブーメランのオンパレード。

 なんとか近づこうとする。


 『お前がずぼらなだけだ...よっと。』


 俺が近づいたところに晃德の空前がヒット。致命傷のエフェクトとともに俺のキャラが撃墜される。ゲームセットだ。


 「だぁ!お前のその飛び道具なんとかならねえの!?」


 あの爆弾連続当てなんて相当練習しなきゃ身に付かんだろ。


 『また俺の勝ちだな。もう一回やるか?』


 「もういいよ。こんだけ負けりゃやる気なくなるわ。」


 今のところ10戦やって晃德の全勝。そりゃそうなるわ。


 『ごめんごめん拗ねるなよ。うまくガードしたら飛び道具くらいなんとかなるって。』


 「ふん!練習しまくって絶対お前に勝ってやるからな!覚えてろよ!じゃあな!」


 強引に通話を切る。

 そうと決まれば練習だ。訓練モードでしばらく基礎コンボの確認と...。

 突然電話が鳴り出した。晃德が何か言い忘れたか?そう思い発信者を見ると、


 「有希乃から?何だろう?...もしもし。」


 『あ、ユウ君突然ごめんね。ちょっと夏休みの予定を聞きたかったから。』


 そんなことを言われるとわくわくすっぞ。


 「そ、そうか。俺は基本いつでも暇だけど。」

 

 『ほんと?じゃあまだ先だけど8月中旬辺りの予定を空けておいてくれないかな?あ、大丈夫!お盆とかにはしないから!その他にも空いていたら一緒に...どこか行きたいな...。』


 恥ずかしいのか語尾がだんだん弱くなっていく。可愛いなぁ。

 

 「分かった!場所考えとくよ!決まったら連絡するな!」


 『ありがとう!私も詳しい日にちが分かったら言うね!じゃあ。』


 と言って通話を切った。こんなに楽しみな夏休みが今までにあっただろうか。

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