第14話 勉強会の後1

 帰宅後、しばらくして俺はすみれに呼ばれて夕飯の準備のため下に降りる。


 「お兄ちゃん早く~。働かざる者食うべからずだよ~。」


 「はいはい。分かってるって。すぐ行く。」


 至って通常のように見えるがこの男、中身は後悔に満ちあふれていた。


 「(ぐっはぁっ!調子に乗りすぎたぁっ!我が人生一生の悔い!)」


 「あんた何やらかしたか知んないけど早くこれを運んでおくれ。」


 母さんに言われてドキリとする。


 「べ、別にそんなことないし。」


 何だおめーメンタリストか!?これもう運ってレベルじゃねぇぞ!

 もしかしたら心の声が漏れる呪いでもかかっているのだろうか。後で聖水でも探しとかないとな。


 「お母さん終わったよ~。」


 「そうかい。じゃあとっとと座っておくれ。」


 「「はーい。」」


 家では皆そろってご飯を食べるようにと言った暗黙のルールがある。

 ちなみに父は仕事の関係で東京の方へ単身赴任しているため今は不在だ。


 「じゃあいただきます。」


 「「いただきます。」」


 今日の夕飯は牛丼だ。

 オーソドックスだがそういうのもいい。事実とてもおいしい。


 「ねぇ優一。あんた今日の勉強会どうだったの?しっかりできたんだろうね。」


 母さんにはまだ俺が有希乃と付き合っていることは言っていないので行くときも友達と勉強会してくる、としか言っていない。

 俺は突然の質問に少しむせながら答える。


 「うっ。ああ、自信は無いがそこそこ捗ったと思う。」


 「そうかい。あんた今の高校に入れただけでも奇跡みたいなもんだからもっと勉強しないと蹴落とされるよ?」


 「うっさいな。今はその心配は無いって。」


 「今は、ね。はぁ...。本当にそんなんで大丈夫かね。」


 「お兄ちゃん言われてやんの~。」


 「お前は口を挟むな。」


 俺のいじりとなれば毎回この盛り上がりようである。

 後で高級耳栓のスキルでも習得しておかないとな。

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