第13話 お家で勉強会2
カリカリとペンを進める。教え合えるように二人で同じ教科を勉強している。
今は英語を勉強しており、苦手な俺は早速苦戦していた。
「なぁ。ここの穴埋め問題空欄足りなくねえか?」
「ちょっと見せて...。ううん。そんなことはないよ。ちゃんと与えられた空欄で入りきるよ。」
実は有希乃も晃德ほどではないがかなり頭が良く、定期テストでも2~5位を常にキープしている。だから教え合うと言っても俺の質問一方だ。
「ほら、授業で言ってたのを思い出して。discuss の後にabout は使って良かったっけ?」
「うーんそんなことを言ってたような言ってなかったような...?」
「言ってたよ!ほら!discussは他動詞で訳に~についてが入ってるから改めてaboutを置く必要は無いって。」
「そうなのか...。」
「もう...ちゃんと授業聞かないと置いて行かれちゃうよ?」
「う...善処します...。」
しばらくして国語、物理基礎、日本史などなど教科を変えていったが俺の質問ラッシュに有希乃は俺の欲しい答えを的確にくれた。
するとそろそろ休憩しようと有希乃が提案したので疲れてきていた俺は即答で提案に乗った。
「4時間くらいぶっ通しでやったんじゃないか?」
「そうかもしれないね。私も疲れちゃった...。」
部屋に沈黙が訪れる。気付けば空の色が変わってきていた。
すると有希乃が隣へ座ってきて俺の肩に頭を寄せてきた。
「ゆ、有希乃?」
「少しだけ、こうさせて?」
上目遣いでこう言ってくるものだから俺の理性は瓦解。そのまま有希乃の方へ向き直して抱きしめる。
「きゃっ!どうしたの?」
「ごめん急に抱きしめたくなって。嫌だったか?」
「ううん。もっと抱きしめて...。」
俺はたっぷり抱きしめた後、有希乃の顔をのぞき込む。
うるっとした瞳に吸い込まれるように顔を近づけていき、有希乃もそれに応えるように顔を近づけていく。
お互いの顔が、唇が、触れる寸前――
――コンコン
『入るわよ~。』
と有希乃母の声がした途端、お互い我に返り猛スピードで離れる。
有希乃母は扉を開けると飲み物を持って入ってきた。
「おかわりいるかしら~ってあら?もしかしてお邪魔だったかしら~?飲み物はここに置いておくから続きをたのしんでねぇ~。」
とニヤニヤしながら部屋を出て行こうとする。
「お、お母さん!別にそういうのじゃ...。」
「いいのよ有希乃。お母さんにもそんな時期があったから。若いっていいわねぇ~。じゃあね~。」
と言って有希乃母は扉を閉めていった。
もちろんムードもくそもないので続きをすること無くその後少しだけ勉強をして帰った。
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