第12話 お家で勉強会1
約束の週末、俺は有希乃から住所を教えてもらい今まさに薄野邸の前に立っていた。豪邸とまでは行かないがなかなかに大きいお家である。
緊張するがいつまでもこうしていれば有希乃といる時間が減ってしまう。俺は意を決してインターホンを押す。
――ピンポーン
『はーい!ちょっと待っててね!』
と有希乃の言われた通りに待つ。
少しするとガチャと扉が開く。そこには私服姿の有希乃の姿が。
Tシャツにショートパンツといった簡単な装いだったが不思議とおしゃれに見えた。
――それにしても胸元が緩いタイプだからかがむともしかしたら見えるか?とか考えたのは秘密。――
有希乃の私服姿を見るのが何気に初めてだった俺は
「か、可愛いな...。似合ってる。」
とベタな台詞しか吐けなかった。まったく、一体どんな育ち方をしてきたのか。そいつの顔が見てみたいよ。
――鏡見ろと言うツッコミは無しで。
「えへへ...ありがとう。さ、入って入って。」
「お、お邪魔します。」
「私の部屋でいい?」
いきなり彼女の家に行ってさらに部屋まで拝めるのかと少し戸惑いながらも俺はうなずきそのまま有希乃の部屋に案内される。
入って見るとそこは俺の想像通りのThe女の子部屋といった感じできれいに整頓された棚、透明感のある白いカーテン、ベッドには枕の周りにかわいらしいぬいぐるみが。
「さ、座って。」
有希乃は小さめの机を二つ出してくっつけると座るように促した。
すると急に部屋の扉が開き、そこから有希乃の母親と思しき人が飲み物を持って入ってきた。
「いらっしゃい優一君。まぁまぁ!大きくなって。私のことは覚えてる?小さかったからねぇ。」
「すみません。あまり...。」
「いいのよ。これからもうちの有希乃をよろしくね。」
「はい。あ、飲み物ありがとうございます。」
「ええ。じゃあがんばってね。」
そう言って有希乃母は出て行った。
「...じゃあ勉強始めよっか。」
「ああ。」
そう言ってペンを取る。今日は楽しい1日になりそうだ。
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