第7話 二人で歩く道

 あれから彼氏彼女の関係となった俺たちは二人並んで夕日の中を歩いていた。

 なんだか誇らしい気分だ。帰ったら言われたとおり晃德のやつにも報告しておかないとな。

 あ、そういえば...、


 「えっと、俺たちどこかで会ったことが?」


 「急にどうしたの?」


 不思議そうに薄野さんが返す。そりゃそうか。


 「いや、あのときユウ君って言ってたからどうしてだろうと思ってね。」


 すると薄野さんはどこか暗そうな顔をして、


 「やっぱり覚えてないんだね...。」


 ――付き合い始めて一問目の選択肢を間違えるRTAの世界記録保持者は私です。

 今作ったけど。


 「あ、いや...そういうわけでは...。」


 「ううん、いいの。とても昔のことだから。ユウ君は幼稚園の時のこと覚えてる?実は私たちそのときに会ってたの。」


 「幼稚園...。あ!まさか俺が守ってやっていた子か!?」


 そうだ。確かそのときめちゃくちゃ弱いやつがいていじめられていた時には毎回助けに行ってやったっけ。

 その子は幼稚園を卒業してから全く見なくなったけれどまさかこんなにかわいくなって戻ってくるなんて。

 昔とは違って今じゃ男女ともに人気がありまくりなんだもんなぁ。


 「まさか好きになった理由も...?」


 彼女は恥ずかしそうにコクリとうなずいた。


 「最初はただの憧れだったと思うの。私もあの子みたいに強くなりたいって。でもね、そう思い続けているうちにだんだん頭から離れなくなっちゃって。そのときに私はユウ君のことが好きなんだって意識し始めたの。」


 そう思ってくれていたなんて意外だ。いつもクラスではお淑やかにしていて色恋沙汰には縁がなさそうなのに。ここはより彼女の好きな俺に近づけるようにしないと。


 「じゃあ、俺もまたを守れるようにもっといい男になるよ。」


 すると彼女はパアァと明るくはにかみながら、


 「...うん!」


 と力強く返してくれた。

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