第4話 伝えたい想い
「(はあぁ...。私やっちゃったなぁ...。)」
ユウ君と町中でぶつかってしまってから私――
何しろ想い人とぶつかってしまったのだ。それも今日告白しようとしている人に。思い返せば思い返すほどに陰りが募ってゆく。
「(でもやっぱりかっこよかったなぁ。)」
彼の目つきが好き。彼の手が好き。彼の気配りが好き。彼の...いけないいけない。また妄想に
彼のことになるとたまにこうなってしまう。このせいで電車を乗り過ごしたことまであるのだから気をつけないと。
実は彼と私は幼稚園で会っているのだ。もっとも彼は覚えてないだろうけれど。
あの頃はとても楽しかった。思えばいつもそばには彼がいた。
一人でいたときは一緒に遊んでくれて、いじめっ子にいじめられていたときには助けてくれた。
小学校は私が親の都合で引っ越しちゃって離ればなれになったけど高校に入る頃には戻ってこれたし。まさか高校まで同じだったなんて。私ってば運がよすぎてこの後嵐にでもなるんじゃないかな。
「ふふふ...。」
ついついにやけてしまう。でも仕方ない仕方ない。
『扉が閉まります。ご注意ください。』
軽快な音とともに電車のドアが閉まっていく。
窓の外には私が降りるべき駅の名前が。
「あ...。」
今回も考えすぎてしまったようだ。
幸いまだ時間には余裕がある。今日の放課後へ向けて覚悟を固める時間ということにしよう。
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